「すべてのバスケ物語は《スラムダンク》である」リバウンド Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
すべてのバスケ物語は《スラムダンク》である
かつては強豪だったけど、いまはすっかり落ちぶれたバスケ部を立て直していくって話なのね。そして部員が6人しかいないのに、全国2位になってしまうという。
「ええ話やのう」と思って観たけど、これ実話ベースなんだよね。そしたら、実話の方は、こんな良い話じゃないでしょ多分。
6人で勝ち上がれるって、相当6人がうまくて、それを集められたってことは、色々やってるよね。コーチが良い人だから集まりましたって話じゃない気がする。
映画的にはコーチがどんどん困るのがいいね。
なかなか部員が集まらなかったり、集まったと思ったら「こいつがいるならやめる」と言い出したり。
「こいつがいれば勝てる」というセンターは強豪に引き抜かれて、ボロ負けしちゃうとか。
物語的に、やっぱり弱い人の動きが気になるね。
ずっと試合に出られなかったのにバスケを続けたジェユン。これ本当にバスケが好きなんだよ。そのジェユンが出場せざるを得なくなってスリーポイントを決めるところは泣けるね。
『木暮、フリーだ、打て』と言われたメガネ君みたい。《スラムダンク》だよ。
最初からいたのに、途中で親にやめさせられちゃうバスケ部の二人も気になるんだよね。本当ならやりたかったろうねって。その二人が応援サイドで描かれて、いいよね。
でも、この二人をバスケ部に戻さないってことは、その時点で超少数精鋭のエリートチームになってると思うの。だからジェユンも下手みたいに描かれてるけど、恐らく普通の基準でみるとめちゃ上手いんだと思うよ。
そして数々のピンチをこえて勝ち上がり、さすがに決勝では負けるんだけど、チーム内で反目していたエース二人は理解し合う。《スラムダンク》だね。
そんなこんなで、実話を描きながらも、きちんと登場人物を困らせて葛藤を描いてくるところが、しっかりしてるなと思ったよ。