「「下剋上球児」のバスケ版のような、韓国での実話」リバウンド 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
「下剋上球児」のバスケ版のような、韓国での実話
日本ではあまり知られていないチャン・ハンジュン監督に、スター俳優もいないキャスト陣の映画にしてはなかなかの掘り出し物だ。2012年に韓国で大いに話題になった実際の出来事を映画化したそうで、エンディングに実際の選手たちと俳優たちの比較写真が映し出されるが、見た目のそっくり度はかなりのもの。試合中のプレーの演技もリアルで迫力があり、緩急をつけた演出もうまく、クオリティーの高いスポーツ映画に仕上がっている。
話の大筋としては、昨年放送されたドラマ「下剋上球児」に似ている。高校の弱小運動部に若い指導者が着任し、部員たちのやる気と能力を引き出してめきめきと強くなり、並みいる強豪校を次々に撃破して全国から注目されるようになる、という展開だ。
日本でバスケットボールを題材にした物語といえばもちろん「SLAM DUNK」だが、バスケに限らず日本のスポーツ青春系ストーリーは漫画・アニメが強力すぎるせいか、本格的な実写映画がなかなか作られない傾向があるように感じる。ボクシングのような個人競技はまだしも、バスケやサッカーなどを題材にする場合、身体能力と演技力を併せ持った若手俳優を揃えるのが困難という事情もあるのだろう。韓国のスポーツ映画といえば、卓球の南北統一チームの実話を映画化した「ハナ 奇跡の46日間」も面白かった記憶がある。邦画界もスポーツ実写の分野でもっと奮起してもらいたいものだ。
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