劇場公開日 2025年1月24日

「報われて良かった」雪の花 ともに在りて ハッセルホフさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0報われて良かった

2025年1月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

ラストで幼い子供たちが主人公の漢方医笠原を囲み「せんせー」「せんせー」と言って海辺で拾ったきれいな桜貝を渡すシーンで堰を切ったように涙がこぼれた。
「(先生の辛苦が)報われて良かった」としみじみ思いました。
天然痘は不治の病で薬もなく無力感を感じていた福井の町医者の漢方医笠原(松坂桃李)。宿で金沢の町医者の蘭学医(吉岡秀隆)と出会い西洋医学を身に付けようとする。
天然痘の克服のために私財を投げ売り旅に出る笠原を支える妻ちほが良い。明るくユーモアがあり困難に負けない人で腕も経つ(見てのお楽しみ)
シーボルトの薫陶を受けたという京都の蘭学医日野先生(役所広司)が素晴らしいのは言うまでも無し。
旅籠の御主人役に山本學が出てて驚いた。渋くて良いおじいさんになったなと。
村で天然痘に罹り唯一生き残った娘はつ。顔にあばたが残り誰からも相手にされない中で山中にある天然痘で亡くなった人たちの小さな石で作った祠にお参りをしている。
そんなはつがかわいらしい赤ん坊を連れて天然痘の接種を受けに来たのもジーンと来た。
笠原の嘆願書を握りつぶす奉行所の役人や蘭学を心よく思わない藩の漢方医による嫌がらせなどがあるがそれを蹴散らすシーンは気持ち良かった。
福井の殿様松平春嶽公が開明的な名君だったからこそこの物語は完成したと思う。

ハッセルホフ