愛に乱暴のレビュー・感想・評価
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主人公桃子の凄みと哀しさ
江口のりこさん観たさに公開試写会へ。
主人公桃子の凄み、哀しさ、後悔、いじらしさが滲み出ていて今作も期待を裏切らない。日常のルールを守り、好みのインテリアや食器、石鹸づくりを大事にしている桃子。元上司との会話からも、きっとコツコツ真面目に働いていたのだろう。
ラストのニットの色が鮮やかだったのは桃子、夫(この時点では元夫かな)、姑、おのおの自分の選択ができたなら救いだ。
ありがとうの一言が沁みる時ってある。過去の出来事が桃子の心を脆くしているけど実はどこか強か。まだまだ若い。もう少し自信持って生きていって欲しい、なんてエールを送ってしまったのは私が江口さんのファンだからか。
彼女は試写会等で軽妙なトークで司会や私たちを沸かせる。ケレン味もない。本当にお芝居が大好きな女優さんなのだろう。そしてスタイルがよく、かわいらしい。
次回作は‥明るさ溢れるエネルギッシュな江口のりこを観てみたい。
「ありがとう」の発想がないひとたち
ありがとう、を言わないマモル。
言えないとかでなく、ナチュラルにありがとう、という発想がないよう。
でもって、その母親もそう。嫁にゴミ出してもらっても、捻挫した足を心配してもらっても、ありがとう、の一言がない。「はい、これ」「もういいわ」「呼び立てないで」って自分の感想や都合だけを相手に伝えて終わり。
だいたいあの年齢の一人暮らしのおばあさんなら、近所に茶飲み友達のひとりやふたりいると思うがいつもひとり。あれじゃトモダチいないよね、と納得した。
でもって、マモルは確かにこの母に育てられたんだと分かる。
嫁が流産した事実を、実母と一緒になって騙したとか騙されたとか、そういう発想しかできない親子。嫁の体や心を思いやるということが頭の隅にもない。
ここまで他者への共感力がないのは脳機能的に健常者ではないのかも。
ぴーちゃんは猫じゃなく。泥まみれで真新しい産着と添い寝する桃子が可哀想で胸がつまった。
略奪婚が成功しても、そういうオトコはまた同じことをしますね。
そういう性質だから。桃子は自分のしたことが盛大にブーメランとなって戻ってきたわけです。このオトコとも距離を置いたら良かった。
桃子の元上司みたいな調子がよく無責任な人も、関わるとこちらが傷つく。
だから距離を置きたい。
桃子は距離を置いて然るべきな、関わると毒にしかならない人たちと、自分を殺して丁寧に接し続けて、知らないうちに自分を傷つけ、傷を深くしていったよう。
どうしようもなく傷ついたときに、レジで顔を合わせるだけのホームセンターの外国人店員に、そっと自分のサンダルを差し出され、「いつもゴミ捨て場を綺麗にしてくれて『ありがとう』」と言ってもらって、涙を流す桃子は、どれほど自分が傷ついていたかそこで気付いたよう。
彼女が「明日からゴミは別々に捨てにいきましょう」と、姑に宣言、遅まきながらいい嫁辞めて自分を大事にする決意をしたのが痛快。
桃子がひとり、すっきりした顔で(多分)添加物満載のアイスを舐めながら座っていたのが母屋の方で、彼女はそこから離れが解体されるのを眺めていたような気がするが、姑がくれてやる、と言っていたのは離れの方だったはず。
桃子がマモルと姑とハナシをつけて、母屋をゲットしたならGJ!
放火犯が誰だったか、夫と愛人がどうなったか、結局わからないが、どうでもいいことのように思えた。
江口のりこが素晴らしい。
基本的に仏頂面、仏頂面で全部の感情を使い分けているような顔の表情が秀逸です。
悲しみのピーちゃんと怒りのチェンソー
原作未読。何の話か全く知らずに観に行きました。観ている途中で、これは傑作だと思いました。
個人的な感想です。
ピーちゃんは野良猫じゃなかったんですね。映像を黒枠で囲っていて、まるで他人の私生活を覗いているような雰囲気で、興味津々で見ていました。
桃子はゴミ集めの清掃をするマメな性格で、夫とは対照的なホームセンターの男性店員のような誠実さを求めていたのだと思います。
その男性店員もお客に怒られたりして、誰もが一筋縄ではいかない生活を送っていることに気づかされます。
ラストは、これまでの生活に別れを告げるものの、離婚の権利は握りしめたままということでしょうか。
江口のりこさんの怒りの沸点に達する演技が素晴らしく、終始画面にくぎ付けでした。
江口のりこ➕チェーンソー➕リフォーム➕スイカ
タイトルの4つのワードが桃子(江口のりこ)の心理と
複雑にリンクして
パワーアップするのが凄く面白かったです。
《ストーリー〉
不倫して妻なった女が、また不倫した夫と不倫相手に、
心理的に追い詰められ、正気を失ってゆくストーリー
江口のりこの演技に釘付けで、朝イチの回15人の観客が固唾を呑んで
凍りついてく緊張感が、堪らなかったです。
基本、桃子ってルールを守る良き主婦で、良き嫁で、
良き妻なんだと思います。
だけど報われない。
誰にも感謝されない・・・
夫(小泉孝太郎)に、日常の些細なの出来事を話しても、
生返事ばかり。
(またくだらない無駄話し、的な・・・)
実は桃子は夫の浮気に少し前から気付いています。
ワイシャツをクンクン嗅いでいましたし・・・
だから夫が浮気を告白しても、驚きません。
「いつもの通り、早く別れてくれれば文句は言わない」
そう言う腹づもりでした。
ところが、「妊娠してるんだ、彼女・・・」
不倫相手(馬場ふみか)は、
会ってみればおとなしそうに深々と頭を垂れて
消えいらんばかり。
桃子が馬場ふみかのマンションに乗り込む時、庭のスイカを
持参しますが、
このシーン「何故、スイカなのか?」
と、出品されたカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭(チェコ〕で、
若いチェコ人の観客に質問されたそうです。
森ガキ侑大監督の答えは、
「無料だから・・・」不倫相手にも手土産を持参する律儀さ、
無料(ただ)は言っても、スイカってめっちゃ重いですが、
桃子は軽々(ww)
(不誠実な元上司にも甘納豆を・・・真面目さが鬱陶しい、多少、
「別れない」と言い張る桃子に、
夫が最後に言ったセリフ。
「君といても楽しくない」
「楽しそうに話してると気持ちが冷めていく・・・」
(これは禁句、NGワード、
どうも真守は桃子の前にも、結婚してたらしいし、
2度あることは3度ある・・・
桃子が床下で聞いてしまう義母と夫の会話・・・
(悲しい過去、妊活しても報われず・・・傷を心にずうーっと、
(抱えて、耐えて、ストレスで壊れてゆく日常が、徐々に、
そんな桃子がもっとショックを受けたのは、
不倫相手(の職業が、なんと知的専門職・・・だった
おまけに若くて綺麗で従順そう(多分、どの女だって、最初はそう)
ムムッ専門職!!
この敗北感・・・(うーん、脚本上手い(森ガキ監督だけど、
【江口のりこ】の持ち味が最大限に生かされた映画でした。
どう見てもチカラ強そうだし、行動力も頭も切れる。
そんな江口のりこが普通の従順な主婦??!!
な、訳が想像通り、無いのです。
予告画面で持ってるものが、まさかまさかの電動ノコギリ。
★でも、誰かの手や脚をチェーンソーで切り刻むのかも?
とザワザワ怖くなる、桃子は事実かなり怖い・・・
ともかく江口のりこさん大車輪の大活躍。
☆上品でうつくしい人妻、
☆お洒落な石鹸教室の講師、
☆心と身体の傷の痛みにじわじわ壊れていく心理、
★はたまたシャワーシーンのバストトップ露わな大サービス、
ほんとうに今や向かうところ敵無し状態の演技派女優。
あどけない笑顔で赤いセーターでアイスキャンデー、
童女のように可愛かった・・・
さては、吹っ切れたかなぁ‼️
江口のりこ
が僕は好きだ。
だけど、ヌードシーンを観ても勃起はしなかった。
つまり役者江口のりこが好きなのだ。
朴訥と、根暗な印象も
チェーンソーで柱を切る時の難しい笑顔も
この役者さんだから演じられるんだろうな。
と感心するばかりだった◎
なお、ストーリーそのものは
現代社会の日本で当たり前のように横行する
無関心と自己押し殺しにより
突発暴発し起こりうる恐怖を描いているように感じ
同時に当たり前のようで当たり前にできなくなった
日本人と他国人の対比のようなものがあり
納得感ひとしおだったことを記載しておこう(^^)
レザーフェイス…なわけないか
日常のストレスを溜め込んだ主婦が夫の不倫で暴走し始める話。
ちゃんとしていないと嫌な主婦がゴミ捨て場のルール違反や汚れた様子にイライラしたり、夫のや義母との感覚のズレにストレスを溜めていく感じだけれど、なんだか自己評価が高くて、自分や現実を受け入れられない人にもみえる。
そして夫のカミングアウトで爆発かと思いきや、1人で暴走し始めて…えっ?そんな過去(゚д゚)!?あーそういう人たちね…。
なんで家知ってるの?とか、どうやって埋めたの?とか、そういえば放火もあるし…と一瞬解離性障害?とか過ったけれど、そんな難しい話しにもならず。
そして大暴走にも大勝利にもならずなんだかモヤッと終わってしまった印象。
無関心さと無意識の圧。
義母照子から無意識な言葉の圧を受け、無関心な夫マモルの浮気を察し、夫の浮気相手三宅奈央のSNSをチェックしながら状況把握し日常を過ごす初瀬桃子の話。
夫マモルの実家の敷地内の離れに住む義母照子、日常生活で受けるストレスや圧を感じながらも気丈に振る舞う桃子だったが…、夫の浮気相手の妊娠を知り…。
何を話しても無関心で心ここにあらずな感じの真守と、真守の食生活の事で照子から圧を受けたり…、乗ったバスでは赤ん坊を抱いたママに気づかいながらと見せていくけど。
普段の生活で空回りだったり噛み合わない人とのやりとりのなか石鹸教室の講師をしながら自分のバランスを保ちつつ生活を送っていたけれど、浮気相手の妊娠知ってからバランス崩れ、それを機に講師の仕事、元職場から再雇用が駄目になったりのなか購入したチェンソー!?それで殺っちゃう!?
…が頭によぎったりするなかで、過去に駄目になってしまってた子供の傷が癒えてない桃子と、実は不利関係からの妊娠で籍を入れた桃子と真守の関係性が分かりながらも、ちょっと踏んだり蹴ったりな重たいテーマだったけど楽しめた。
ただ本作のストーリーってリアルな日常でも受けるストレスや圧だったりするので、このストーリーにリンクする女性の方は観ててキツかったりするのかも。とりあえず桃子を演じた江口のりこさんの照子にキレる顔とラストの放火現場から逃げる顔怖っ!(笑)
片言の日本語で言われた「ありがとう」で泣き崩れた桃子だったけれど、たったその一言で救われる事もあると思う。
ほとんどの場面に圧巻の江口のりこ!
とにかく江口のりこの圧巻の演技に脱帽です。
終始画面の暗さが不穏な空気感をつくりだしていて、
平穏な出だしかと思いきや、既に何となくズレを感じ、徐々に不穏感が増すというよりも
最初からなんだなと思いましたね。
自分がやってきたこと(不倫)が
自分にかえってくるというのが話の軸ですが、
最初から桃子は夫である真守が怪しいことは
わかっていて、それが明るみになるにつれ
感情が暴走を始めるという、
実に人間的であり、その異常ともとれる行動も
ちゃんと背景があるので、納得感がありました。
その異常性ともとれる行動にちょっぴり笑えてしまう
ところも良かったです。
例えば、チェンソーの刃のにおいを恍惚とした表情で
嗅ぐシーンとか。
ホラー映画のちょっと笑える感じにも似ていて。
ラストは桃子の日々の善行が少し報われた気がして
桃子も少しホッとしたんじゃないでしょうか。
江口のりこの表情や所作どれをとっても
感情や意味を感じとることができ、
あらためて凄い俳優だなと感じました。
江口のりこが主演じゃなかったら、2をつけていたと
思います。
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