愛に乱暴のレビュー・感想・評価
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もう少し「突き抜けた」感じがほしかった
息苦しくなるようなスタンダードの画角、いなくなった猫、ゴミ捨て場で続く不審火、子供がいないことへの負い目、家庭に無関心な夫、どことなくぎこちない義母との関係と、不穏な空気が漂う序盤の展開には、これから何が起きるのだろうかと引き込まれる。
やがて、夫の浮気が明らかになった上に、講師を勤めていた石鹸の手作り教室の廃止が決定したことで、主人公のストレスが爆発し、チェーンソーを駆使した奇行が始まることになる。
ただし、民家の床に穴を開けて、その下の地面を掘るとか、柱に切り込みを入れるとかといった行動は、確かに常軌を逸しているのだが、「乱暴」と謳っている割にはこじんまりとしていて、何だかおとなしい印象を受けてしまった。
どうせ、溜まりに溜まった鬱憤を晴らすのであれば、家全体を滅茶苦茶にするような、突き抜けた破壊力があっても良かったのではないかと思う。
それから、主人公が頻繁に見ていたスマホのブログは、てっきり夫の浮気相手のものだと思っていたので、浮気相手の妊娠を知らされ、離婚を切り出された時の、主人公の取り乱した様子には、「知っていたはずなのに」という違和感を覚えてしまった。後に、このブログが、主人公自身が過去に投稿したものであるらしいことが分かり、ようやく納得がいくのだが、ここのところは、ミスリードをしようとして、かえって混乱を生じさせてしまったように思えた。
また、主人公が、床下から掘り起こした赤ちゃんの肌着にしても、いつ、誰が、どうやってそこに埋めたのかが分からず、モヤモヤさせられる。もしかしたら、この肌着は、因果応報の念に苦しむ主人公の幻覚なのかもしれないとも思ったが、義母も、それを手にしているので、確かに実在するのだろう。
他にも、放火事件の犯人は誰なのか、いなくなった猫はどうなったのかなど、残された謎が多過ぎて、釈然としない気持ちになってしまった。
ラストで、夫や義母の口からは決して聞くことのできなかった「ありがとう」という言葉を、思いも寄らない人物から掛けられて、主人公の心が救われるという展開には、胸が熱くなるものがある。
その一方で、取り壊される「離れ」を眺めながらアイスキャンデーを食べる主人公の姿から、何となく解放感のようなものは感じられるものの、もう少し、未来への希望が実感できるようなエンディングにしても良かったのではないかと、少し物足りなく思ってしまった。
離れの方に飾られた写真が、この家の歪さを物語っていた
2024.9.3 MOVIX京都
2024年の日本映画(105分、G)
原作は吉田修一の同名小説(新潮社)
夫の浮気が原因で不可解な行動を取る妻を描いたヒューマンスリラー映画
監督は森ガキ侑大
脚本は森ガキ侑大&山崎佐保子&鈴木史子
物語の舞台は、日本のどこかの地方都市(ロケ地は神奈川県綾瀬市)
専業主婦の初瀬桃子(江口のりこ)は、夫・真守(小泉孝太郎)とともに、夫の実家の離れで暮らしていた
義母・照子(風吹ジュン)との関係は普通で、そこまで干渉し合うこともなかった
桃子は前職のツテで手作り石鹸教室を開いていて、元後輩の浅尾(青木柚)が彼女のサポートにまわっていた
彼女は、石鹸教室をもっと広範囲にしたいと考えていて、元上司の鰐淵(斉藤陽一郎)にコンタクトを取っていたが、良い反応は得られていなかった
夫との関係は可もなく不可もなくと言う感じだが、夫は桃子のことには興味を示さず、いつも生返事ばかりを繰り返していた
最近は出張が多く家を空け、夕食も外で済ますことが多く、団欒を築くような時間も持てなかった
桃子はいつも義母のゴミ出しを手伝っていて、その際に不法に投棄されたものや、汚れたところを掃除して回っていた
ある日のこと、数区画先で火事が起き、それはゴミ置き場の放火であることがわかった
地元の警察官(西本竜樹&堀井新太)は住民に注意を促し、桃子もその注意喚起を受けることになった
映画は、街の中で不穏なことが起き始めるのと同時に、夫の様子がおかしくなっていく様子が描かれていく
急に香港に出張が決まったと思えば、帰国したスーツケースのワイシャツなどは綺麗にアイロンがけがされていた
また、桃子の言葉に過剰反応になるかと思えば、聞こえていないふりをするなどして、夜の生活も拒否され続けてくる
桃子は誰かいるのではないかと疑うものの、決定的なものはなく、独り言のように呟くだけ
だが、夫はその小言に大きな意味を感じていて、とうとう「告白」をすることになったのである
夫の不倫相手は教員をしている三宅奈央(馬場ふみか)という女性で、彼女は妊娠5ヶ月だと知らされる
その後、彼女のアパートを見つけては乱入し、そこで妊娠が本当かなどと詰め寄るものの、母子手帳を見せられて唖然とする
さらに実家にフラッと寄ってはみたものの、そこには自分の居場所はなく、兄一家と母(梅沢昌代)の二世帯住宅のような感じになっていて、桃子の部屋は子どもたちの遊び場になっていた
そして桃子は、何を思ったのか、ホームセンターでチェーンソーを買い、離れの床を切り壊して、そこにあった丸い缶を引き摺り出す
そこには、かつて桃子が妊娠していた時に購入したベビー服が仕舞われていて、彼女は夫との婚前に流産をしていたのである
映画は、桃子自身も妊娠を理由にした略奪婚をしていたことが判明し、そのことを告げずに結婚した桃子は義母に不審な眼差しを受けていたことがわかる
その秘密の蒸し返しによって桃子の中で何かが壊れ、そして、奇行にも思える行動を繰り返していく
いわゆる略奪婚の連鎖となっていて、わかりやすい因果応報に晒されている、と言う内容になっていた
いずれにせよ、江口のりこの演技を堪能する内容で、まともな人は一人もいない印象だった
元上司も口だけの男で、元部下はまだマシに思える
桃子の居場所が一つずつ壊れていく中で、どこかに行かざるを得ない状況になって行くのだが、唯一の救いはホームセンターの店員である近隣住民の李(水間ロン)の言葉だろうか
本来は夫から言われたかった言葉だと思うが、劇中では一度もその言葉は聞かれない
そう言った関係性を続ける意味があるのかが問われていて、それは義母がこぼした「若いうちに」と言う言葉に集約されている
それがラストの決断に繋がっているのではないだろうか
探し物は何ですか?2回目鑑賞!
数々のベストセラーを届けてくれる吉田修一先生の同名小説を森ガキ侑大監督が映画化。
&江口さん主演ってだけで震える。
原作はか〜なり昔に読んだから、すっかり忘れてまして、フライヤーで思い出した感じ。
上巻では、不倫の女を描いているかに思わされたが、下巻ではそれがひっくり返される。
お〜う!そういう事なのねコワッ!
"因果応酬"でした。
本作は、ボリュームのある原作の筋はしっかり押さえ、ウマくまとめた印象。
だんだんと思い出した原作のアレもコレも入れて欲しい所ではあったが、終始不穏な緊張感に包まれた、原作の良さを凝縮した作品だったと思います。
冒頭のあのシーン!
特に男性陣はビックリだったのでは?
実際はお股の所でカーテン閉まってますからDr.と顔を合わせるなんて状況にはなりません。
だけど、あれはインパクトありますよね。
婦人科のあの検診は、何回やっても女医さんでも苦手です。。
酷い生理痛に悩まされながらの妊活なのかな?
後々効いてくるシーンです。
Dr.からも配慮なしの言葉をかけられ落ち込み、夫の真守(小泉孝太郎さん)からも向き合ってもらえず寂しさが募る。
姑(風吹さん)に対しても良い嫁であろうと日々気を遣っているのにも関わらず、一言の
お礼もない。ありがとうって言え!!
あの母にしてあの息子だった。
あまり肉食べないでしょ魚が好きなのよ
いや食べますよお肉好きですよ
キィィィ〜!私もこの会話した事あります爆
まぢで困る!
丸のままの魚なんて要らん( ̄∇ ̄)
一応は家族の形をしているが、嫁姑の微妙な関係性が見事に表現されていて苦しくなった
(°▽°)
元上司の鰐淵(斉藤さん)からも調子良くかわされ、実家にも居場所はなく、順調に見えた仕事までも失う。
荒れたゴミ置き場の掃除。。
少〜しずつ少しずつ、確実にストレスが溜まる桃子(江口さん)
加えて
行方不明の愛猫、ホームセンター勤務の無愛想な近隣住人、李君(水間君)の存在。繋がるのか?と思わせるゴミ置き場の不審火。
桃子の周囲に不穏な空気が広がる。
そんな日々のストレスに向き合わない様に、敢えて丁寧な暮らしをしていたんだと思う。
ある種の現実逃避かのようだった。
もうやめて!これ以上桃ちゃんにストレスかけないで!と感情移入しちゃってるから辛いのだが、蓋を開ければ
"因果応報"なのです。。
いやいや、お、おおん。。(°▽°)
真守はクズなのは大前提だが、桃ちゃんお前もだったんか!
略奪婚した桃子が今度はされる番に。
妊娠した愛人との対面、離婚を突きつけられる。
この事が決定打となり桃子の心は崩壊してしまう。
コップの水は溢れてしまった。
頭に浮かんだのは以前ホームセンターで見かけたチェーンソー。
それ目掛け一目散に売り場へ向かう桃子をもう誰も止められない。
初瀬家の「離れ」で丁寧な暮らしをして来た桃子。頑張って来た桃子。
子を失い、心の拠り所であって欲しかった夫までも失う。
もうカウントダウンがはじまってしまった。
チェーンソーを味方につけた桃子。
(私も匂いフェチだが、桃子パイセンはチェーンソーまでもクンクンうっとり!
狂気w)
床を破壊し、泥だらけになってもお構いなし。
その異常な行動からベビー服と横たわる姿に移るシーンは、狂気と、何故か可笑しみまでも含んでいる。
相反するそれ(しかし紙一重か?)を
同時に見せられ、こちらもゾワゾワッとした落ち着かない気持ちにさせられる。
私ね、
わざとおかしいフリしてあげてるんだよ!!!
真守はクズだが、桃子に放った強烈な本音は、悲しいかな少し気持ちがわかってしまう。
しかし桃子の常軌を逸した行動は、
複雑な人間の感情と、その裏にある愛を表現していたのだと思う。
その暴走は、正しいのか否かでは判別出来ない、愛の形であったことは確かなのではないかな。
同情し難いはずの桃子を見捨てられないのは何故だろう。
欲しかった人からは何ももらえなかった桃子。
まさかの人物からかけられた
「ありがとう」に自分を取り戻す姿に安堵する。
彼女の再生にホッとし、壊される
"離れ"にスカッとした気持ちになるのは何故だろう。
母屋の軒先でガリガリってる姿には、解放と、又歩き出す覚悟も見えた気がしました。
フライヤーにはスイカを抱える桃子の姿が載っています。
出産を「鼻の穴からスイカを出すくらいに大変(痛い)」などと例える事がありますが、スイカを抱えて愛人宅に乗り込むその姿は、皮肉にも妊婦さんに見えるから切なかったです。
「教員です」喰らったわ〜(´ཀ`)
愛人のものと思われたSNSが実は。。ってのも一瞬フリーズしてしまいましたね(°▽°)
"愛に乱暴"だった桃子。
それでも生きて行くしかないんだなぁ〜
終始不穏な空気感と緊張感に包まれて、細部にまで侵食し、迫って来る不快さはトラウマレベル。
もういいって〜(°▽°)って位、たたみ込まれます。
だもんで、あのラストは好みが分かれるか?
私はというと、あれ?これで終わるんか。と、ちょい肩透かしだったのが本音。
だけれど、巧い俳優陣が魅せる乱暴な愛から目が離せませんでした。
風吹ジュンさん。
居る居る!こんな姑!で、嫌悪感有り有り!
無駄に美人なのがイラつきポイント加算w
子離れ親離れ出来ないイタイ親子。
はぁ〜嫌いだわ。
無意識の悪意溢れる台詞がリアル。
愛人役がよく似合う。彼女が愛人だったら
負け確( ̄∇ ̄)
今回は大人し目な役でしたが、馬場ふみかちゃん。良かったですね。
おぱいまで披露(ケドアレイル?)
いつも期待に応えてくれる安定の江口さん。
多江さんと江口さんに幸せは似合わない?!?!
その快演は言わずもがなだが、小泉さんが〜!ビックリ気づきませんでした。
ムロさ〜ん!
孝太郎が酷いゲス野郎でしたぁ〜!
◎桃ちゃんの事が頭から離れず、本日おかわりして来ましたw
よく考えると非常に日本的だな〜と思いました。
子ができたら籍を入れなくてはという考えって、戸籍制度に縛られている日本ならでは。
女は子が出来たとわかった時点で男の戸籍に入るのが"普通"とされている中で、不倫相手の子を身籠った時。。
1人で育てますなんて簡単に言うが、実際はとても厳しい現実があります。
金銭面は勿論のこと、社会的にも差別的な視線を向けられる事もあります。
だからこそ、"籍"を入れ"普通"に収まるのをヨシとする。
そこを目指したい。
勿論不倫の末の懐妊なんて、道徳的に間違ってはいますが、どんな事情であれ、妊娠した女にも様々な選択肢が用意されていれば、桃ちゃんも愛人も違った人生を歩めたかもしれません。
(結果桃ちゃんは流産してしまいましたが。。)
結局女なんて子を産めば母親になるわけで、いつまでも男が望むかわい子ちゃんではいられません。
好きだよ〜だけで繋がっていた、お花畑の中にいる弱々しく見えた愛人もどんどん強くなるわけです。
そこで真守は又気づくのでしょう。
"君といてもつまらないんだ"
哀れなるものたちかっ!!
まぁ、女だけが被害者でかわいそうではないですけどね。
お天道様は見ている。
改めて、因果応報でございます。
桃ちゃんが真守に何回も電話をかけ、繋がらず留守電に
「お義母〜さんに話しがあるって何?!?!
リフォームの事って言っておいたから!!!話しちゃんと合わせてよ!!!」
きょえ〜〜!!こわい〜〜!!
2回目だから?笑ってまったw
それから、
原作でチェーンソーの重さを赤ちゃんの重みに例えていたな〜と思い出して泣
そのセリフ欲しかったなぁ〜と思いました。
桃ちゃんのおぱい問題も。。
1回目は、なんでわざわざあのカットを?と思いましたが、今はもう誰も(大きなのっぽの古時計みたくなっちゃったw)あのおぱいを必要としている人間はいないんですよね。。
桃ちゃんの存在そのもの。
需要がない。。イタタタ( ; ; )
彼女を象徴している様に思えて哀しく切なくなりました。
実際そんな意図があるかはわかりませんが。。w
(だってふみかのだったら嬉しくない?)
何でしょうか。個人的にジワジワ効いてくる作品でした。今日消化出来て良かった。
明日からはナミビア!楽しみですね!
あ!ベビわるドラマもスタートしましたね!
録画見てきま〜す。
「日常」というサスペンス
描かれていた大半は「主婦の日常」だ。それがここまでサスペンスになるのかという事に驚かされる。何か大きな事件が起きるわけでもなく人が死ぬわけでもない。なのに怖い。
冒頭で「ぴーちゃん」の姿が見えないと捜し回る桃子。ぴーちゃんとはおそらく猫だと思われるが、そもそも猫に「ぴーちゃん」って名前を付けるかね?などと考えていると、何となく嫌な予感がして心がざわつき始める。一方で猫を毛嫌いする義母とまるで無関心な夫。それでもしつこく捜し続ける桃子の姿を観ているだけで少しずつ怖さが増してくるのは実に不思議だ。
桃子はあれこれ夫の世話を焼く。何かと義母を気遣い、頻繁に差し入れをする。以前の勤務先の上司に会いに行く時も、わざわざ上司の好きなものを用意して手渡す気遣いを見せる。でも誰ひとり彼女に「お返し」しようとしない。誰も彼女に気遣いせず、相手にしようともしない。それでも彼女は献身を続ける。でも誰ひとり彼女に関心すら持とうとしないのだ。
そんな彼女が後半では庭のスイカを荒っぽく引っこ抜いて、まるで「赤ん坊」のように抱きかかえて愛人宅へ突撃し、スイカを無造作に放り渡す。愛人にお金などかけてたまるか、と言わんばかりに。そして彼女の暴走が始まる。
彼女は頭が良く、とても気が利く女性だ。それはつまり人の気持ちを察するのが得意という事であり、ゆえに人の「無関心」という悪意も敏感に感じ取ってしまう。だからこそ自分が誰からも関心を持たれていない事、誰からも必要とされていない事に嫌でも気付いてしまうのだ。彼女自身も不倫からの妊娠、略奪婚という負い目もあって慎ましく生きてるし、少しでも誰かのためにと献身的に働き、自身の生活も充実させようと頑張ってみる。誰も見てないゴミ捨て場を誰に言われる事もなく毎回掃除する様子に彼女の姿勢が見て取れる。
そんな彼女を夫はまさに「ゴミ」のように捨て去る。確かに「因果応報」ではある。でも彼女なりに精一杯誠実に生きてきたはずだ。なのに報われる事は決してないのだ。そして彼女の日常は崩れ去り、彼女自身も壊れていく。子供を失い、夫という唯一無二の拠り所を失い、極めつけに彼女が綺麗にしていたゴミ捨て場すらも誰かに火を放たれてしまう。
何より強烈だったのは愛人のSNSをチェックしていた事だ。愛人の「つぶやき」を見ながら状況を確認し、夫が次に何を仕掛けてくるのか予想して対処する桃子。愛人のSNSを常にチェックするようになったらもうやばいだろ、と思っていたら…。
そのSNSは桃子自身の「過去のつぶやき」だったという衝撃。
これは怖い。あまりに怖すぎる。
終盤はそこら辺のホラーよりよっぽど怖かったかも。
チェーンソーをうっとり眺める桃子。
しかもそのチェーンソーを「正しく使ってる」のに怖い。
床下ってあんなに怖いの?
掘って出てきたものはまさかの「ベビー服」。
床下で添い寝をする桃子の孤独と絶望。
あれだけ小綺麗にしていた桃子が「泥」にまみれている。
庭にぶちまけられた魚はある意味どんな「死体」よりも怖かった。
人は誰だって愛されたいし必要とされたい。
そして居場所が欲しいのだ。でなきゃ生きて行くのは苦しい。
彼女は誰からも何も与えてもらえなかった。
でも最後に彼女は一番身近でない人間の「言葉」に救われた。
それを機に「依存しない生き方」を決意する桃子。
最後はどこかすっきりした表情でアイスを食べてる。
がんがん解体される「離れ」。
エンドロールで響く「靴音」が彼女の決意を物語る。
清々しい終わり方だった。
良かったと思う。
江口のりこさんだからこそ成立した物語なのではないだろうか。
小泉孝太郎さんの不気味さもたまらなかった。
苦手感拭えず
作家としての吉田修一さん、何昨か読んだのですがどうにも入り込めず疎遠になってしまいました。
そんな訳で警戒しながら観に行ったのですが、結果やはり苦手、没入できないというか理解が及ばず……
映像がシネマサイズではなく、手持ちカメラ風の揺れ動く映像ってのは江口のり子さんの心象を表しているのでしょうか?うーん……
ストーリーが展開して行くうちに、寝取り女からサレ妻になったこと、SNSに映る柄物スカートはクローゼットの中、など「あぁ、そうなのね」と設定が分かってくるのですが、そうなっちゃうと送りつけられた離婚届も過去の成功体験あっての行動なのかと。
なんだか因果応報な気がして、酸っぱい気分でエンディングを迎えました。
随分と予告編や作品解説のあらすじに目くらましを喰らってしまいました。
小泉孝太郎はまり役
小説未読です。ながら族なので、じっくり活字と向き合えないので
映画で見ています。
色々と伏線があって面白かったが、
ちょっと消化不良かな?結局放火犯は分からずじまい
(そこは本道では無いけど)
いまどきガソリンのチェーンソウ、ガソリン買えないですよ。
車から抜くとかしないと。電動チェーンソウの方が良いん
じゃないですか?床下はいまどきの家はコンクリべた基礎
湿気防止のコンクリも打ってるから、あの家の建築年数が
結婚してからの年数と矛盾が有りそうで気になってしまった。
(うちは20年以上前に建てているがべた基礎コンクリうち)
その前からたってた家なら埋めることは可能だが、その時にも
床板はがしているはずなので、チェーンソウ使う必要がない。
くぎ抜きで十分はがせる。と建築士の目線で見てしまった。
しかし江口さんの体を張った演技良かったです。
あれれ?
ちょっとオチがなぁ~全体的に冗長さも感じるけれど、静かに狂っていく描写には必要だったのかも。
江口ノリコさんも普通ぽい演技で、凄味を感じた。大股開きとオッパイには驚きましたが・・馬場さんは今回控え目♥物音に慌てて戻る江口さんに何故かホロリ。
サティもいかにも空虚な幸せって感じ。カマスで冷や汁って唸りました、ぶきぶき太ってホントにカマス?
少し肩透かしを食らった感じ
悪人や怒りと同じ感覚で見に行きましたが…。
監督が違うので、作者が同じでもテイストが違いましたかね。
愛人のSNSを見ているのかと思いきや、自分の過去のSNSとは。
何気ないありがとうの一言に感情が溢れ出すあたりとか、見ごたえはあるのですけど…。
不審火には何か意味があったのか?ただ犯人と思われて逃げるだけ?
ぴーちゃんは実在したの?
ラストでなぜ母家側に居て中に入っていったの?
そのあたりが謎で、見終わってからちょっと…「?」となった。
原作読むと母家と離れに意味がありそうな感じだけど…。暇ができたら原作読もうかな。
あと唐突な江口のりこさんのオッパイにビックリ(笑)
今年観た邦楽で一番かも
大した前知識もないままフラりと鑑賞しました
オープニングから眩暈のするような生々しさが溢れ出してた
画面から体温や体臭が滲み出ているように感じました
小さくメンタル削られ続ける筋金入りの丁寧な暮しをしている桃子さんのあのゴツい手
不穏な空気の塊です
桃子さんの報われない丁寧さが観ていて痛々しくて堪らない
風吹ジュンの絶妙に嫌なババアっぷりも最高でした
そしてこの映画にはまともな男は一人も出ていません
そもそも存在感がみな薄い
孝太郎の桃子が楽しそうにしてると自分は退屈だみたいなセリフだけはピカ一だと思いました
初めてタクシードライバーを観た時に感じたような後半になるにつれて高まる孤独と緊張感が
ホームセンターで買ったチェーンソーで爆発します
でも血は出ません
切るのは和室の床と柱だけです
切ないけど笑いそうになりガッツポーズしたくなりました
悲劇だけど、どこか可笑しく
可笑しいけど、どこか悲しい
そう感じられただけでもうこれはいい映画なんじゃないかと個人的には思ってます
桃子さん好きだなー
また観よう
自分の居場所にしがみつく毎日。日常位潜む狂気。江口のり子の独壇場!
家庭と社会から居場所を奪われて、追い詰められた専業主婦の怒りがついに爆発する。
江口のり子の独壇場!
チェーンソーを振りかざす、が、想像していたようなことはせず、床下と強度に問題がない柱の切断のみ。
ちょっと残念。
あの無表情で淡々とした様子からの暴走が、日常に潜む狂気をよく表現。
終盤、ホームセンターで働く中国系男性からの思いがけない一言が泣ける。
ぴーちゃん
ミステリアスな雰囲気に包まれる作品
献身的で“良い妻”
姑にも積極的にコミュニケーションを取り
ゴミ捨て場の清掃も自主的に行う
まるで完璧な主婦
しかし夫はそんな妻に無関心
それでも妻は毎日の勤めを果たしていく
夫の不倫が発覚
終始、妻が見ていたSNSは
実は自分の過去の投稿だった
まるで夫の不倫相手のアカウントかもと
思っていたが
心理的トリックにハメられた
つまり“妻”も
実は夫の“元不倫相手”だと言うことが判る
しかし再婚後流産し
そこからかなり精神的ダメージがあったのだろう
床下に埋められていたのは
我が子に着せるはずだったロンパースと靴下
それは
お菓子のカンカン詰めて
床下の土の中奥に埋めたのだ
きっと悲しみも悔しさも
全ての感情をそこに埋めたのだろう
実家に寄った時の
姪や甥に見せた“あの顔”が
彼女の本来の顔だったのでしょうか
あの時の笑顔はあのシーンしか見れない
クズ男は
一生クズ男
きっと彼女は
これからも大丈夫
きっと大丈夫
岩代太郎の
不穏でミステリアスな音楽が響く
江口さんの多彩なワンピースが映画の雰囲気の救い
チェーンソー買うことまずないね(追い詰められているんだなー)
江口のりこ主演作が続きますね。
今作は吉田修一の小説を映画化。
主人公の桃子が、現実を見ないようにしながら、鬱屈とした日々を過ごす話。
夫の不倫をメインに、義母との関係や仕事の問題など、満足のいかないストレスフルな日々。
桃子が徐々に壊れていくのだが、正常な範囲とでも言おうか、理性はあり自分をどうにか保とうとする。
首輪してるのに捨てられる猫の話は、指輪してるのに捨てられる桃子?揶揄してるのかと思った。
*以下、小説のネタバレ含みます。
映画化を知って読んだ原作では、夫・真守の不倫相手の日記がところどころ差し込まれるが、実はそれは桃子自身のものだと、中盤辺りからわかる。
夫の真守は不倫体質か。桃子も二番目の妻なのだった。
設定全く違うけど、映画ではそういう女性の心のつぶやきが、不倫相手のものと思われるSNSだった。
チェーンソーで穴あけた床下でベビー服を見つけるが、二人が住んでる離れは、真守のおじいさんの愛人が住んでた場所なんですよね、原作では。ベビー服はその愛人の準備してたものだったかな?記憶も曖昧。。映画は家族のことにほぼ触れてないし設定違うのでしょう、その辺りはわかりにくかった。
あと…最初の方の婦人科の場面で、カーテン開けたままの診察にかなり違和感。
それと…江口さんの初ヌード?見せる必要ありましたかね。個人的にはない方が良かった。
さらに…ホームセンターの李君が近所の子っていうのも映像ではわかりにくかった。
以上で星3つです。
風吹ジュンさんは流石、わかりあえない姑役がうまかったです。
最初から漂う不穏な空気感
がとても良かった‼︎
中盤あたりから段々と壊れていく日常、桃子が凄かった‼︎
好きなシーンは桃子がだんだんとおかしくなっていったけど最後の最後で「ありがとう」と言われる所です‼︎桃子にちょっとだけど救いがきたように感じれてとても良かったです
あとは畳の下にあるものには驚きました‼︎
そしてなんといっても主演の江口のりこさんの演技‼︎本当に凄かったです‼︎
愛は丁寧に!
江口のりこさん、
「戦争と一人の女」での不思議な魅力に魅了されてから大好きな女優さんですが、
今回は、一段とハマりまくりで最高でした!
そんな、江口のりこさん演じる桃子の
ヤバい一歩手前の危うさに目が離せず
どうにか理解しようと全集中している自分がいました。
もう、終始 心がヒリヒリした…。
たまに入る滑稽さが
余計に桃子をヒリヒリと魅せてくる。
家の縁の下から頭だけ出して
お義母さんと話す場面は、
シュール過ぎて苦笑いしてしまった。
ブログもねぇ…あらまぁ…ですわぁ。
とか言いつつも、わたしには、
ただただ真守がクソッタレでしかない気がしてしょうがない。
二度同じことするやつは、もう一回するんじゃないのー。
ホンマ、なんやねん!楽しくないって…
桃子が楽しそうにしていると楽しくないって…、
その言葉、痛すぎるよ、だいぶ。
そりゃ、楽しいが大事だけど、結婚するまで気づかないもの???
それとも、あれか、桃子本人が、結婚できて、真守が自分の物になった時点で、
優越感と満足で、人が変わっちゃったのか!???
原作読んだら、その辺りも解るかなぁ…。
でも、もっとヒリヒリしそうだから止めておこうかなぁ…。
とにかく、なんかオモシロ、という後味の作品でした。
どこが乱暴?
自分のスタイルがある妻と、適当な夫は合わないよなあと思いつつも、妻の暴走と言われるものもそれほどとは思わなかったし、作品として壊れたように見せつつ、主人公も壊れたように見せてると言っていたように、そうなんだろうと思った。追い込まれるとヒトってああなるよなあと思うし。。
夫が懲りない人で因果応報な話だなという結論だけど、結局何が乱暴なのかは原作見ないとわからないのかな、、匂いフェチの描写の意味も放火の位置付けも、、
身をつまされる所もあったので遠い目で見てました。
【”有難うって言ってくれて、有難う。”今作は一見、平凡な日常を過ごす主婦が周囲の出来事に心を惑わされ冷静さを失って行く様を描いたヒューマンサスペンスである。江口のり子さんの姿は、怖くて哀しいです。】
ー 今作でモモコを演じた江口のり子さんはとっても怖くて哀しい役を屹立した存在感で演じているが、愚かしき夫マモルを演じたのが小泉孝太郎さんだとは、途中まで全く気付かず。爽やかな雰囲気を一切封印している。マア、不倫夫を演じているのだから、そりゃあ、そーだ。
そして、今作では、マモルもマモルの母(吹雪ジュン)も、モモコのささやかな幸せを得るための様々な行為(料理、ゴミ出しetc.)に対して一度も【有難う】と言わないのである・・。
今作の胆は、モモコの幸いを求める行為に対し、それを当たり前と思い【有難う】と言わないマモルとマモルの母の姿であり、その姿を見て葛藤するモモコの言動なのである。私は、モモコは基本的に善人だと思うのである。ー
◆感想
・序盤から非常に不穏な雰囲気が漂う映画である。モモコは朝、同じ敷地内の本宅に住む義母の所に行きゴミ袋を貰い、ゴミ捨て場に持って行く。
モモコは、夫と”離れ”に住んでいるので、義母の存在は”軽いストレス”ではないかな、と思いながら鑑賞する。
そして、モモコが住む町ではゴミ置き場での不審火が多発する事も描かれる。
・モモコは矢鱈に匂いを嗅ぐ。隣で寝る夫マモルの匂いを嗅ぎ安心して眠ったり、”出張先”の香港から戻ったマモルのトランクを開け、ワイシャツの匂いを嗅ぐ。
そして、夫のために一生懸命”肉”料理を作り、カルチャーセンターで石鹸作り教室の講師として頑張る。
だが、義母からは自覚無き悪意がビミョーに含まれた言葉”マモルは魚が好きなのに、モモコさんは肉料理が多い。”とか”石鹸作り教室で、月どれ位になるの?10万くらい?”とか。
すると、モモコは心の平穏を保つが如く”ピーちゃん‼”と言いながら、愛猫(と言っても、一度も描かれない所がミソ)を探すのである。
・モモコは産婦人科に通っている。この意味も後半分かるのである。
■物語は、ドンドン不穏な空気になって行くのだが、序盤からモモコがスマホで見ている”妊活”のラインの言葉が怖い。そして、この意味が後半分かるのである。
更に、ヤッパリ告げられる夫からの不倫の告白。そして言われる”君といても、楽しくないんだよ・・。””彼女と会ってくれないか?”
ウワワワ。江口のり子さんの一重の眼が狼狽しながら、挙動不審になって行く姿がヒジョーに怖い。
・そして、モモコはホテルのロビーで夫の不倫相手のナオ(馬場ふみか)と会うが、離婚を激しく拒絶する。
更にモモコは、何故か自宅の庭で育ったスイカを抱えてナオのアパートに乗り込み、卓袱台の上に”ドン‼”と置いて、ナオに”妊娠何カ月なのか、職業、年齢は?”と問いただし、あろうことかナオが差し出した母子手帳を握り”良いな!逃げ場のある女は!”と吐き捨てるのである。で、アパートを出るがナオの部屋から大きな音がすると、急いで戻り戸を開けると割れたスイカが玄関に散乱しているのである。
・更にモモコは、義母から貰った冷凍してあった魚が庭に放り出されている中、一度は畳を上げたが戻していた畳を再び上げ、東南アジアから来た、たどたどしい日本語の職業実習生の青年がレジをするホームセンターで買って来たチェーンソーで床板を切り始めるのである、轟音を立てて。更にはナオの家から服を取りに来たの驚愕するマモルの前で、柱にチェーンソーで切り始めながら、”アンタもやるか?”と宣うのである。怖いよお。
・床下に潜ってモモコが土の中から取り出した金属の箱に入っていたモノ。それは、モモコが且つて、妻がいたマモルの子が着る筈だったベビー服であり、モモコはそのベビー服に顔を埋め匂いを嗅ぐのである。このシーンでそれまでのモモコの行為全てが氷解するのである。彼女も又、不倫の末にマモルと結婚した女であり、そのために義母に対し後ろめたい気持ちが有った事や、ささやかな幸福を求めようとしていた事が分かるのである。
<再後半、モモコはフラフラとゴミ袋を持って夜に道を歩いている。ゴミ置き場は炎に包まれている。警官に職務質問をされたモモコはゴミ袋を捨てて裸足で逃げ出す。
そして、転んだ時に居合わせたホームセンターの職業実習生の青年は、モモコに自分のサンダルを履かせてから”何時も、ごみ置き場をキレイにしてくれて有難うございます。”と言うのである。そして、その言葉を聞いたモモコは、我に返るのである。
【有難うって言ってくれて、有難う。】
ラスト、モモコは晴れやかな顔でアイスを食べながら、晴れ渡る夏の空の下解体される”離れ”を本宅の縁側で眺めているのである。
今作は、平凡な日常を過ごす主婦が周囲の出来事に心を惑わされ冷静さを失って行く様を描いたヒューマンサスペンスであり、且つ、人間として当たり前の親切な行為に対してはキチンと”有難う”と言う大切さを根本に置いて製作された作品なのである。>
たった一言の「ありがとう」だけで
この映画の印象を選ぶのがすごく難しい。
悲しいとも、難しいとも、怖いともちがうし
予告で見たような姑関係や浮気の発覚……
そしてチェンソー、軒下。
バイオレンスな流れかと思いきや
そんな突飛な事も起こらない(逆にそれがリアル)。
浮気相手の家に押し掛けるものの
母体に何かあったのでは!? と
心配して戻る桃子の姿なんかはすごく真っ当だし
姑も極端に嫁をいびると言うわけでもない。
ただ
夫、姑、社会、(元)上司、姪、甥、恋人、子ども……
生きがいなんて大それた事でなくとも
桃子はずっと
誰かに必要とされたいと思っている。
誰かからの「ありがとう」の一言
そのたった一言だけが欲しい
自分が生きている意味を見出したいからなのかな
最後の離れの解体は
そんながんじがらめになった自分からの解放にもなったのかも
桃子の顔は晴れやかだった
何気なく言っている「ありがとう」が
誰かの活力になっている可能性がある。
満たされたいと思う前に
まずは自分から誰かに声をかけられたらな。
一つどうしても気になった事!
産婦人科の診察のシーン
診察中は、カーテンを閉められていますから!
そこはどうしても気になった。
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