愛に乱暴のレビュー・感想・評価
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自業自得
初瀬桃子(江口のりこ)は夫・真守(小泉孝太郎)とともに、真守の実家の敷地内に建つ離れで暮らしていた。桃子は義母・照子(風吹ジュン)への気づかいや夫の無関心によるストレスを石鹸教室の講師や手の込んだ夕飯作りなどで日々を充実させていた。そんな中、ゴミ捨て場での不審火が有ったり、愛猫が行方不明になったり、桃子の平穏な日常が乱れはじめ、ついに夫に浮気相手を紹介され、離婚を迫られた。さてどうなる、という話。
元々、自分が前妻から夫を奪ったんだから自業自得だな、って思った。
携帯で見ていた不倫のコメントは夫の彼女じゃないよね?
アレの意味がよくわからなかった。
チェンソー買ってきて床下に穴を開け、土の中から取り出した箱に入ってたのは流産した子用に準備していた服なのかな?
魚を庭に放っていたのとか、最後、家を壊していたが、建物と土地も貰ってたって事?で、土地を売るために建物を壊してたって事だよね。
桃子の意味不明な行動を見せられるだけでちっとも面白くなかった。
今年観た邦楽で一番かも
大した前知識もないままフラりと鑑賞しました
オープニングから眩暈のするような生々しさが溢れ出してた
画面から体温や体臭が滲み出ているように感じました
小さくメンタル削られ続ける筋金入りの丁寧な暮しをしている桃子さんのあのゴツい手
不穏な空気の塊です
桃子さんの報われない丁寧さが観ていて痛々しくて堪らない
風吹ジュンの絶妙に嫌なババアっぷりも最高でした
そしてこの映画にはまともな男は一人も出ていません
そもそも存在感がみな薄い
孝太郎の桃子が楽しそうにしてると自分は退屈だみたいなセリフだけはピカ一だと思いました
初めてタクシードライバーを観た時に感じたような後半になるにつれて高まる孤独と緊張感が
ホームセンターで買ったチェーンソーで爆発します
でも血は出ません
切るのは和室の床と柱だけです
切ないけど笑いそうになりガッツポーズしたくなりました
悲劇だけど、どこか可笑しく
可笑しいけど、どこか悲しい
そう感じられただけでもうこれはいい映画なんじゃないかと個人的には思ってます
桃子さん好きだなー
また観よう
夫を献身的に支え、姑とも良好、ゴミ捨て場の掃除や無添加石鹸のセミナ...
良い意味で気持ちが悪い
女は三界に家無し。されど、女は強し
その一家は、一見平和そうに見えた。
妻『初瀬桃子(江口のりこ)』は結婚を機に退職し専業主婦に。
綺麗好きで、家の中はいつも整っている。
以前勤めていた企業の協力で、
手作り石鹸の教室の講師をし、これが好評。規模の拡大をも目論む。
夫の『真守(小泉孝太郎)』は毎朝のジョギングが日課。
母の住む母屋の隣に離れを建て、夫婦で住む。
しかし、子供はまだいない。
母の『照子(風吹ジュン)』は夫を亡くしてから日も浅いが、
気丈に振舞っている。
むやみに息子夫婦を頼ることはせず、
身の回りのことは(朝のゴミ出しを除き)なんでも自分で行う。
が、描写されるそうした生活の節々に、
なんとはなしの違和感を覚えるのは穿ち過ぎか。
もっとも、一家の周囲では不穏な動きも。
決まって餌を食べに来る野良猫が、近頃は一向に姿を見せない。
給餌皿は空になっているし、時として鳴き声も聞こえるのに。
近所のゴミ置き場では、連続放火と思われる火事が立て続けに起き、
警察は警備を強化中。
主人公の家の近くのゴミ置き場は
ルールを守らない捨て方する人が多く、鴉の溜まり場に。
彼女は独り、(綺麗好きなので)掃除をする。
その近くのアパートに住み、ホームセンターで働く外国人も、
怪しげな気配を漂わせている。
物語りが進むにつれ、一家が内包する複数の難儀が露わに。
とりわけ夫の『真守』は想像を絶するクズ男で、
確かにルックスも人当たりも良いものの、
こと女癖の悪さは唖然とするほど。
嫁姑の関係も、傍目ほど良好ではない。
喉に刺さった骨のように、互いに心を開けずにいる。
順調そうに見えた『桃子』の石鹸教室も
企業の論理の中で政争の道具にされつつある。
そして幾つかの事件は起きる。
主人公にとって弱り目に祟り目のように。
ただそれを乗り越えた先には、
生き方の新しい地平が開ける。
出ずっぱりの『江口のりこ』が出色で、
彼女の演技を観るための一本。
映画の出演本数は多いものの、
ほぼほぼが脇役で、主演作は片手を僅かに超えるほど。
とは言え力量は間違いのないところで
本作でも狂気にとらわれたように見えても、
奥底に潜む冷徹さとシニカルさを的確に演じる。
ギャグにも見える唐突な行動の表現も絶妙。
とりわけ、チェンソーを動かす時にわずかに浮かべる薄笑いには、
ぞっとすると同時にカタルシスを感じる。
各エピソードの繋ぎとエスカレーションの仕方が職人芸。
サスペンス映画のように、不穏な空気を漂わせ
次第に押し迫ってくる。
事故が起きたり死人が転がるわけではないのに
胡乱さを感じる構成は、
次の展開が待ち遠しく、一時も画面から目を離すことができない。
自分の居場所にしがみつく毎日。日常位潜む狂気。江口のり子の独壇場!
家庭と社会から居場所を奪われて、追い詰められた専業主婦の怒りがついに爆発する。
江口のり子の独壇場!
チェーンソーを振りかざす、が、想像していたようなことはせず、床下と強度に問題がない柱の切断のみ。
ちょっと残念。
あの無表情で淡々とした様子からの暴走が、日常に潜む狂気をよく表現。
終盤、ホームセンターで働く中国系男性からの思いがけない一言が泣ける。
江口のりこだけが目立った作品
江口のりこの孤軍奮闘が際立った作品。
江口のりこの演技を観ただけでもこの作品を観た価値がある。
ただ、テーマからしたらよくあるストーリーでありきたりな作品だと感じた。
原作は吉田修一の作品からだが、作品の内容から見るとむしろテレビドラマや配信ドラマの方がいいかもしれない。
あるストーリーで何故、江口のりこが演じたももこがSNSで知ったのか言及がなかったのは残念だった。
今イチの作品だが、江口のりこの奮闘ぶりを観てワースト作品にはしない。
ひとつの絵画を観ている様な。
小泉孝太郎の駄目夫役。この発明的な配役が猛烈に良い。
江口のり子
ぴーちゃん
ミステリアスな雰囲気に包まれる作品
献身的で“良い妻”
姑にも積極的にコミュニケーションを取り
ゴミ捨て場の清掃も自主的に行う
まるで完璧な主婦
しかし夫はそんな妻に無関心
それでも妻は毎日の勤めを果たしていく
夫の不倫が発覚
終始、妻が見ていたSNSは
実は自分の過去の投稿だった
まるで夫の不倫相手のアカウントかもと
思っていたが
心理的トリックにハメられた
つまり“妻”も
実は夫の“元不倫相手”だと言うことが判る
しかし再婚後流産し
そこからかなり精神的ダメージがあったのだろう
床下に埋められていたのは
我が子に着せるはずだったロンパースと靴下
それは
お菓子のカンカン詰めて
床下の土の中奥に埋めたのだ
きっと悲しみも悔しさも
全ての感情をそこに埋めたのだろう
実家に寄った時の
姪や甥に見せた“あの顔”が
彼女の本来の顔だったのでしょうか
あの時の笑顔はあのシーンしか見れない
クズ男は
一生クズ男
きっと彼女は
これからも大丈夫
きっと大丈夫
岩代太郎の
不穏でミステリアスな音楽が響く
江口さんの多彩なワンピースが映画の雰囲気の救い
力作だとは思う。思うが、、
どんな話か全く知らず、だけど怪しさはキャスティングから充分感じられ、期待はかなり高くしてしまったが、テーマと手法がちょっとあってないのかな。。
そして江口のりこは大好きなのだけど、この役はもっと凡庸なアイドルめいた人のほうがうってつけだったような気もする。
個人的には演出過多な印象。追い詰められていく江口のりこを淡々と追っていく前半部「いいわね、あなたにはたくさん選択肢があって」ひとことで全部を伝える構造はとてもいいのだけど、カメラが江口のりこに肉薄し過ぎてる感じがする。
この、世間ではまったく忘れられそうな主婦のため込んだため息の充満する危険な空気の話は、アケルマンのジャンヌディエルマンから『ワンダ』からアルトマンの『雨に濡れた舗道』とかでもいいのだけど、その系譜に連なるものだと思うけれど、それらの作品と違ってカメラが主演に肉薄し過ぎて狂気が伝わらなくなっている。物事を客観的に、冷静に突き放して観客もその想像合戦に参加させるのはとても強い演出力と観客を信じる力が必要なのだと思うけど、比較的サービス精神に溢れて動く江口を見せることに終始する。カメラがバックショットで江口のりこをずっと捉えていて、観客がそこに共感できれば、という作りなのだと思うけど、これは江口のりこの叫びを捉えようとするのならもうちょっと距離を離して観客が身を乗りだすような辛抱強さが必要だったのではないかと考えたり。出来事の展開と世界観はいいのだけど、、惜しい気がする。
健全な傲慢さが救いになることもあるはず
辻村深月さん原作の『傲慢と善良』の別視点とも思えるような物語。
ホテルのカフェで対面することになった不倫相手の馬場ふみかさん。
もし、不倫相手が馬場ふみかさんでなく、桃子から見て明らかに自分より容姿も劣り、職業やその他の属性においても、桃子の価値観においては〝桃子より下の人〟であったならこれほど心を乱されるようなことにはならなかったのではないか。
こんな下衆な男、こちらの方から離婚してやる。
と、割と単純に割り切れた気がする。
(と割り切れたなら、江口のりこさんの無敵な演技も、そもそもこの映画のような物語も必要なくなってしまうのだが…)
人が人を自分より下に見ることで得られる心の平安。
他者を下に見る、なんて発想は差別的であるとか傲慢であるという批判はその通りだが、人間心理としては、言い方を変えれば、人間がプライドを保つためには誰しもが心当たりのあることなのではないか。
国家や人民を守るための政治リーダーであったり、スポーツや芸術においてより秀でたパフォーマンスを発揮する。
そのような人たちの持つ崇高なプライドとは次元が違う品性に欠けるプライドではあるけれど。
決して人には言わないし、人を傷つけることもない秘かな傲慢さ(品性に欠けるプライド)であれば、いつも自分は敗者側に追い込まれていると社会を憎んだり、心がズタボロになるよりはずっと健全だと私は思います。
※桃子が不倫相手に決定的に負けた、と思わせられた原因に〝懐妊〟をあげるのは、なんとも言えない不快感を覚えます。
「分かり易いもの、言われないと気づかないもの」・・・狂気とエロス
両端が黒くつぶされる4:3の画面比率の映画でしたが、冒頭、何十年も使い倒されて燻んだトーンになっている古びた家屋における台所仕事を詳細に描写されたりする中で、まるで古いドキュメンタリー映画を観せられてる様な錯覚に陥りました。まあ、スマホ出てくるし、LINEっぽい描写もあるから現代の話に違いないのだけど。
今思えばこの段階で既にわたしは監督の術中にはまっていた訳なのですが、この作品において徐々に顕在化していく沢山の「狂気じみたもの」は、今、目の前で突発的、偶発的に生じたものではありません。
過去の長い長い年月を経てその狂気は徐々に醸成され、当人にとってはそれは当たり前の事象、下手すると世間的にもギリ許容されるんじゃないかと・・・いわば拡大解釈や誤認がすすんでしまっていることに、とても恐怖を感じました。
若干のパート勤めはあるがほとんど専業主婦である桃子を演じるのは演技派女優、個人的に大好きな江口のりこさんです。
年齢的に最後の妊活に興味があるが亭主は全く協力的でなく、むしろその亭主の浮気が疑われる最悪な状況に追い込まれ、精神的に不安定さが増し、徐々に言動の異常性が目立ち始める桃子。
しかし、亭主はじめ主要な登場人物のほとんどは様々な要因で「ナチュラルに狂人(笑)」でして、言われないと気づかないくらいの程度に常識人の姿に化けています。その化け物達に囲まれる中、桃子の分かり易い狂気が正当性を保ちつつ物語をひっぱっていくという稀有なパターンとなっています。
原作未読ですので、原作が素晴らしいのか脚本もしている監督さんの腕が立つのかよく分かりませんが、これだけ目を背けたくなる狂気をとっちらかしながら何やら爽やかな読後感さえある締め方にとても好感を持ちます。
あと、着目点に品が無くて申し訳ないですけど、ストーリーに必要な必然的なエロスも、狂気と同様、「分かり易いものと、言われないと気づかないもの」をしっかり提示していて素晴らしかったです。「言われないときづかないもの」に関して言及しますと「不倫相手の部屋での演出、演技指導?」とか、フェチ目線?ではもう完璧としか言い様がありません。やはり敏腕ですね、森ガキ 侑大監督は!
江口のりこさんの体当たりの演技はじめ、演者の皆さんがその演技に静かな狂気を含んでいて本当に素晴らしかったです。
ぜひご鑑賞ください!
江口のりことチェーンソー
チェーンソー買うことまずないね(追い詰められているんだなー)
江口のりこ主演作が続きますね。
今作は吉田修一の小説を映画化。
主人公の桃子が、現実を見ないようにしながら、鬱屈とした日々を過ごす話。
夫の不倫をメインに、義母との関係や仕事の問題など、満足のいかないストレスフルな日々。
桃子が徐々に壊れていくのだが、正常な範囲とでも言おうか、理性はあり自分をどうにか保とうとする。
首輪してるのに捨てられる猫の話は、指輪してるのに捨てられる桃子?揶揄してるのかと思った。
*以下、小説のネタバレ含みます。
映画化を知って読んだ原作では、夫・真守の不倫相手の日記がところどころ差し込まれるが、実はそれは桃子自身のものだと、中盤辺りからわかる。
夫の真守は不倫体質か。桃子も二番目の妻なのだった。
設定全く違うけど、映画ではそういう女性の心のつぶやきが、不倫相手のものと思われるSNSだった。
チェーンソーで穴あけた床下でベビー服を見つけるが、二人が住んでる離れは、真守のおじいさんの愛人が住んでた場所なんですよね、原作では。ベビー服はその愛人の準備してたものだったかな?記憶も曖昧。。映画は家族のことにほぼ触れてないし設定違うのでしょう、その辺りはわかりにくかった。
あと…最初の方の婦人科の場面で、カーテン開けたままの診察にかなり違和感。
それと…江口さんの初ヌード?見せる必要ありましたかね。個人的にはない方が良かった。
さらに…ホームセンターの李君が近所の子っていうのも映像ではわかりにくかった。
以上で星3つです。
風吹ジュンさんは流石、わかりあえない姑役がうまかったです。
「ありがとう」と言ってくれてありがとう
江口のりこはこの5ヶ月で3本目の主演映画公開です。で、この「愛に乱暴」は本当に彼女ばかりカメラは追い、彼女のいないシーン(もちろんいないカットはありますが)はありませんでした。まさに主演映画です。
冒頭から10分ほどで彼女の現状がわかります。夫との関係や義母との関係、以前勤めていた会社が主催する「手作り石鹸」の講師などですが、確かに彼女にとっては不満な生活かもしれませんが、「それなり」に充実しているとも言えます。義母との関係もいうほど悪くはないと思います。
ただ、夫が若い女と関係を持ち妊娠させてしまうようなクズです(爆)しかも、同じような理由で現在の嫁も元嫁と離婚したうえでの再婚です。徐々に壊れていくヒロインですが、その壊れていくさまが鬼気迫るものがあります。江口のりこの演技はさすがです。ただ、誰のためのサービスカットなのでしょう(笑)私は好きですが。
彼女が正気に戻るのは、得体のしれない中国人青年との初めての会話です。
「いつもゴミ収集所をきれいにしてくれてありがとう」
劇中、彼女は夫に「あなたはありがとうって言わないよね」と一言いいますが、スルーされてしまいます。観ている方も・・・私もよく妻に言われるセリフなのでスルーしがちですが、この他人からの感謝の言葉こそが彼女を正気に戻し、あくまでも想像ですが彼との離婚にも応じたのだと思います。
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