愛に乱暴のレビュー・感想・評価
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怖いけど共感するところも多かった
江口のりこ演じる桃子から感じられる重量感ある苛立ちに既視感があるなと思い考えてみたら、泣きたいのに泣けないあの苦しみに似ていると思った。 微量ながら日々少しずつ溜まるストレス。 小さいからこそ発散ができず膨らみ続ける。 恐怖は身近に転がっているもの。 これって厄介で恐怖。 怖いと思いながらも、共感するところが多かった。
もっと違う江口のりこさんも
【愛に乱暴】 マイホームで夫と義母と暮らし一見幸せそうに見える妻が、日常に忍ぶ不快・不信・不安に心を削り取られて行く様を描く物語です。これまでも幾つもの作品が映画化されて来た吉田修一さん原作となると、際どい犯罪ものなのかなとの想像も膨らみます。そして、その妻を演じるのが今や絶好調の江口のりこさんです。 行方不明になったと描かれる猫って本当に居るの? 謎の放火の犯人は? SNSに流れる不気味な発信は誰から? 更に、姑との無言の刺し合い・投げ遣りな夫と、日々の生活に流れる不穏さを深く見せずにジワジワ締め付けます。どこか不機嫌そうに見える江口のりこさんは全ての場面で登場し、徐々に軌道を外れて行く様は面目躍如です。でも、吉田修一原作にしてはグサッとぶっ刺す衝撃が無くどこか物足りなく感じました。 本作では、我々が想像する江口さんらしさが、江口さんならではのふてぶてしさでぶちまけられます。でも、余計なお世話ですが、それでいいのかなとも思うのです。今年数々の映画に出演した江口さんは、どれも想像通りの江口さんばかりです。それは、彼女がそれだけの個性を発揮し、力もあるからなのでしょう。また、俳優さんにとってはそうしてオファーが続く事は有難い事なのかもしれません。しかし、江口さんはもっともっと色んな表現が出来る俳優さんに違いないので、もっともっと色んな面を見たいと思うのでした。
一見ありふれた家族の話にみえるが、、
話の聞かない夫、漠然と合わない姑 どこにでもある家族かと思いきや もっと嫌な方向へ。 何で慰謝料踏んだくって離婚しないの? と思っていたら、またもや嫌な方向へ。 原作未読ですが、 吉田修一らしい、はっきりしない結末。 小泉兄の役は社会的に普通の人だけにクズ感が気持ち悪い。
期待度○鑑賞後の満足度△ 題名に「愛」と有りながら、話の成り行きや主要な登場人物には全く「愛(というもの)」がない。確かに『愛(というもの)に(対して)乱暴』な話だわ。
《原作既読》①吉田修一の作品は大概好きだが本作(原作)はあまり面白くなかった。 感度が鈍くなったのかも知れないけれども、この小説及びその映画化である本作の結婚像・夫婦像はどうもピンと来ない(というか、こんな夫婦像を見せられてもどうでもいいわ、という気になる)。 ②『湖の女たち』は吉田修一の小説としては生煮えだったけれども、その映画化作品は面白かった。 しかし今回は映画化作品も面白くない。 桃子の心理描写に集中したかったのだろうが、原作でもまだ魅了的な人物達やエピソードをバサッと切ってあるので話に膨らみがない。 と言って桃子の心理描写が上手くいっているかといえばそうでもない。 唯一、床下でマモルと姑の会話を聞いているシーンの表情は良かったが、総じて江口のりこの無駄使いである。 ③マモルが別れたい理由が“一緒にいても楽しくないから“というのも分からないでもない。桃子もこの家に入る(結婚すると)うえで気まずいことがあったので良い嫁になろうという姿勢が見え見えだし、一人で何とか楽しい家庭にしようと空回りしている。 しかし、このマモルという男もどうしようもない男である。原作でも酷い男だったが、イヤになる度に逃げようとするするところ等、本来結婚には向かないのではと思う。 大体桃子にしても今の不倫相手にしてもこんな男のどこが良いのかと思う。 小泉孝太郎は適役好演と云うべきか。 姑も初めから桃子に対しては思うところもあったみたいで、最後吐き捨てるように「今さら(何よ!)」という台詞が怖い。 ④
原作もぜひ
江口のりこさん主演に惹かれて鑑賞しました。 ストーリー自体は単純ですが、心情描写が巧みで最後まで楽しめました。普段は冷静な主人公が、特に「愛」に関してだけは乱暴なほどに心が乱れていく様が見事でした。 床下にこだわる部分がよくわからず、映画鑑賞後に原作も読みました。自分は原作のほうがぐいぐい引き込まれました。この作品のひとつの「仕掛け」が原作小説のほうがうまくいっているように感じます。 見返りを求めないのが「愛」だとか昔はよく聞きましたが、自分のした事、愛情にはやはり「反応」は欲しいですよね。この主人公の夫には圧倒的に「反応」が欠けているようです。ラストを見て、リアクションの大切さが一つのテーマなのかなと思いました。
ありがとうって言われたい
カノジョはなんのために生きるのか。近所の放火事件から起きる、一人の女性の崩壊劇。反応が薄い旦那と自分のことを少し面倒くさそうにあしらう姑。自分も同じ体験したのではないかと錯覚するほど、リアルな境遇で主人公に共感を覚えてしまう。 吉田修一の作品は全体的に湿っぽく、オチが好きになれないことが多いのだけど、本作はいつもと趣向が違うのか、森ガキ監督の演出力の高さからなのか、地味で暗い話でありながらも、軽快なテンポのおかげで終始飽きることなく、集中して物語に入り込むことが出来た。こういう映画でこんな感想を抱くのは意外。すごくよく出来ていた。 これまでのイメージとはかなりかけ離れた江口のりこのキャラクター像。印象的な台詞やカットが多く、こんな江口のりこもいいなと、改めて好きになった。歴代作品を見ていると、彼女に求められているもの、確立されているものは1つ、明確にあるのだろうと感じていたが、まだまだこの人には知られざる演技の幅が隠されているんだと気付かされた。変人のふりをする常人。シンプルが故に難しい役どころを、江口のりこ風に完璧に演じていた。心の動きが見て取れる、すごい俳優。 不倫関係にある小泉孝太郎、馬場ふみかは顔つきからなのか、年齢差あるにもかかわらずスっと入ってきたし、何気ない風吹ジュンが密かに作品を盛り立てていた。 何処にぶつけたらいいのか分からない、憎しみと怒りがスクリーンという壁を越えて伝わってくる。主人公・桃子に降り注ぐ災難は、ゴミ捨て場の放火と同じようにさほど大事には映されず、最初から何も無かったかのように、時だけが淡々と過ぎていく。言葉にはできない日常に潜む恐怖が、じっくりと全身を覆う。そして、結婚の意義とは何なのか。誰しも体験し得る境遇だからこそ、この夫婦を通して考えさせられるものが多くあった。 冷めきった夫婦を表すかのように、とにかく静かで暗い。テーマがテーマなだけに傑作とまでは言えないけど、こういった作風とジャンルでここまで見入ってしまうことは中々ないから、役者目当てにしろ、ストーリー目当てにしろ、ちゃんと期待に添えてくれる良作だと思う。これを機に、森ガキ監督にはもっと映画のメガホンを取って頂きたい。そして、こういう映画に日の目が当たる世の中になって欲しい...。
ぜんぶ乱暴
ぶっちゃけ、劇中で夫が桃子に言うセリフを借りれば「つまらないんだよ」の一言。冒頭から桃子をはじめ、登場人物たちの動きをただただ追いかけふらふら揺れ続けるカメラがとにかく観ていてしんどい。桃子の気持ち以上にしんどい。スタンダードサイズで閉塞感を出したいってだけの画面も暗くて何が映ってるのか、どこに焦点を当ててるのかもよくわからない。 原作は未読ながら話は吉田修一っぽさがあるものの、原作をどう映画的にアレンジし表現するのかが感じられず(って想像で言ってますけど)、桃子が正気なのか狂っているのか、どうやって縁の下にアレを埋めたのか、今どきこんな立場・境遇にある女性をそのまま描いてなんの意味があるのか等々ぼーっと考えながら、ただの一発ネタで105分もやらないでくれという気持ちに…。 愛に乱暴ってタイトルもよくわからんくて、色々な意味不明さから去年の石井裕也・愛にイナズマを思い出したりもして、とにかく「愛に」というタイトルは要注意だと勝手に学習。まあ、オレが作品をちゃんと理解できてないだけなのかもしれないが。最後に江口さんの無意味なTitsに★0.5おまけ。
ありがとう
姑と夫、母屋と離れの暮らし、桃子は完全アウェイ。 料理は上手だし、インテリアの趣味はいいし、石鹸教室の講師もやっている。 なのに、姑も夫からの評価はないい。 彼女も、姑と夫になにも見返りも求めてはいない。 彼女が持っている、丁寧で几帳面な性格がなせる業といってもよい。 孤立無援の中での夫の浮気。 彼女は暴走する。切れまくる。自分の気持ちがちっとも伝わらないことに。 いろいろ原因があるけれど、この家族に足りなかったのは、ほんのひとことなのかもしれない。 それは、「ありがとう」。 おはよう、と同じくらい、大切なひとこと。 「ありがとう。ありがとうと言ってくれて、本当にありがとう」 暴走の果てに、近所の若者の「ありがとう」に応えた彼女のひとこと。突然陽ざしが差し込む。 主人公を演じた江口のりこに送りたかったのは、エールだと初めて気づいた。
ありがとうの一言
誰が悪なのか、何が正しいのか分からない不穏な状態が淡々と流れていく。
ある意味真面目な女性が今までに無い穴に陥っていく姿は凄まじい。
それも、そのはず。
愛情が薄れて来てる不倫旦那との生活。
夫に溺愛の義母。
息を吐くように出す元上司。
妊娠した愛人。
昔から溜め込んでいた怒りが爆発して狂人に変貌。
チェーンソーを見て笑う姿は狂気だが
演技が上手いから見とれてしまう。
あの土の中に色んな想いを埋めていたとは……。
心のこもった『ありがとう』で救われる
時もあると思う。
押し殺してきた心の叫び
桃子は丁寧な暮らしを実践し、食事にも手を抜かず、普段から体に良いものを摂るように心がけている。服装も、麻や綿の天然素材中心で、シンプルだけどおしゃれです。あのエプロン素敵、私も欲しいですが、自分が買ったら汚したくないから使えないかも。これで家も綺麗なら、もう『クロワッサン』に載っていてもおかしくないです。
それでもなぜか母屋の姑はよそよそしく、たまにチクチクと嫌味を言い、夫の真守は話しかけてもいつも上の空。頑張りは空回りして、少しずつ追い詰められていく……
本作は、桃子に共感できる部分があるか、自業自得と受け取るかで好みが分かれそうです。
私は丁寧でもお洒落でもないし、不倫は許せませんが、本作をとても気に入りました。
猫のぴーちゃんは居なくなったのではなく、初めから居なかった。というか、桃子自身が傷ついた野良猫でした。自分の居場所を少しでも居心地よくしようと努力したのに、コツコツ築き上げたものは不安定であっけなく崩れようとしていました。
上質な小物たちは鎧のようなものです。「おかしくなった振りをしないと本当におかしくなりそうだから」というのは本音です。桃子の心は悲鳴を上げていました。「ちゃんと私を見て!」
結婚前に話せなかったあの事は、結婚できなくなるからというだけでなく、その事を口に出してしまうと、それが事実として確定して向き合わざるを得ないから、言い出せなかったというのもあったでしょう。姑が夫の遺品をなかなか捨てられなかったのと通じるところがあると感じました。
姑は、桃子の事が嫌いだったのですが、そんな桃子の辛さを最後は理解したのでしょう。
クズ夫のことは忘れ、姑とは和解したのだろうと、私は思います。
重たい内容でしたが、後味は悪くないです。
江口のり子におんぶに抱っこ
主演の江口のり子の風貌と得意な役がこの映画の主人公に合っていることが作品の出来をよくしている。
主題が不倫ネタで、小泉孝太郎が不倫する夫で役から明るい顔でない全然違う孝太郎になっていて誰でしょう、この人って感じでした。
不倫に対してこの主人公かサバサバしていて、慣れたような口ぶりは、実は自分も不倫をして結婚していたことが分かり、納得させられるけど話として好きじゃない。
妊娠していると不倫相手に言われたら、妊娠は嘘じゃないのと食ってかかるのも嫌な感じで確かに乱暴な話で愛に乱暴なんだというタイトルを回収してもつまらない話でした。
因果応報
夫には浮気され、子供が欲しいけどできず、形だけの姑との関係、放火犯の徘徊、猫の行方不明等々、彼女を取り巻く辛い環境なのかと思いきや、自分が前妻から夫を奪っていたと言う過去が。因果応報でしょうか。したたかに生きて行くしか無いですね。
🌀江口のりこワールド全開🌀
江口さんって着痩せするのね〜(←こーゆーのも時代的にハラスメントになるんかな……) 観ていて苦しくなったよ。クズ男はあかんね。 それでもこのクズ男は珍しくあからさまな「嫁より母大事」節はなかっただけよかったか💦 馬場ふみかちゃんの申し訳なさそうなお顔には萌える💜
夫婦生活の「なにか」を授けてもらえるような、もらえないような
何年振りかで夫としょーもない痴話げんかを繰り広げた翌日。 「既婚。子供なしの主婦」と、私と同じカテゴリと知り、なにかの知恵を授けてもらえるかしらなんて動機で、鑑賞。 いや、よくよく見ていたら、略奪婚がベースになっているあたりで、自分とは立場が違い過ぎるしそういうものではないらしい、と気づいたのですが。 終盤近くに真守が桃子に発するセリフ 「ナオは関係ない。もう桃子と一緒にいたくないんだ。一緒にいても楽しくないんだ。」 は、なんというか、目から鱗でした。 そうかぁ。こんなセリフを面と向かって言えちゃうあたり、この種の夫にとって楽しくないというのは妻をチェンジする正当な理由になるんだな。 ずっとずっと楽しませ続けなきゃ用済みなのね。 こんなセリフを聞くくらいなら 「ナオの方を好きになった」 と言われた方がまだマシかな、自分なら。 いや、やっぱりそれも嫌だな(笑) 個人的に夫婦喧嘩の後に見たから、感想が偏ってるかも。 何かしら知恵を授けてもらえるんじゃないかという冒頭の動機に関しては、おぼろげながら授けてもらえた気はします。 こういった波乱万丈人生は映画や小説で見るだけでおなかいっぱい。 自分は平凡でも夫と仲良く添い遂げるべく頑張ろう、と。 若いナオと対峙した時のセリフ 「あなたは選択肢がたくさんあっていいわね」 は、やるせなかったです。 昔はたくさん開いていたはずの未来への扉が、気づけば一つ一つ閉じられていた。 丁寧に生きてきたはずなのに、どこにも行き場がなくなってしまった。 それとの対比でしょうか、ラストでの風吹ジュンのセリフ 「やりなおせるわよ」が、救いに感じました。 メインテーマからは離れるんですが、真守ってちゃんとした会社勤めの人ですよね。 バツ2の揚げ句愛人が妊娠したから再々婚というのは一般社会ではかなり目立つし、男の人ってそういった社会的立場から自分を律していく面があると思う。 実際、不倫がモチーフの作品は古今東西山ほどあるけれど、愛人は愛人のままで終わることが多い。 子供が欲しいなら、愛人と不倫しつつも妻と妊活するというパターン。 この作品はある意味「江口のりこ物語」だから、彼女の心の襞にフォーカスしていて、それはとても見ごたえあったけれど、クズはクズなりに真守の人となりももうちょっと知りたかったです。 不倫するたびにいちいち律儀に(という言い方も語弊があるが)妻を取り換える心の動きは原作には描かれているのかしら。 あと、放火犯って誰だったの??
全てが背を向けた
全編集中して鑑賞できました。 シナリオ・配役・映像良かったです。 評価が良いので少し期待しすぎたのでしょうか。 主役の江口のりこさんがどんどん追い詰められて行く状況が怖かったです。 江口のりこさんに強いイメージがあったので、主人公のイメージと少し合わないところがあると思いました。 小泉孝太郎、吹雪ジュンの爽やか感じが、主人公の孤立を際立たせました。 私が男なのでこの様な評価となるのでしょう。
原作を知らずに見ました
苦しみを描いているからこそ、人間のたくましさが印象に残りました。 原作を知らずに見ましたが、長編原作の内容を義務的に詰め込んだ窮屈な感じは全くせず、一編の詩を105分の映画に膨らませたような、見ている時も見た後も、心地よい余白がある映画でした。 ありがとう。
奪ったモノは、奪われる
題名から、園子温監督調の映画を期待して、観に行ったのだが。。。前置きが永く 思わせぶりな ハンドカメラ撮影と 構図が雑で、照明もブルーライトをたいて ただ"青暗く魅せればよい"という安易なもの このレベルの映画に、 名優 江口のりこ さんは無駄使い としか言いようがないので、演者により映画の質を上げるよりも、、集客伸ばしの為に 新人アイドルでも起用した方が良かったでしょう。 小泉孝太郎さんは、映画を絞めるのに"良いアジ"を出していました。 この映画は何を言いたかったのか? 最後の種証(たねあかし)だけの1発ネタ映画でした。 3者対面シーンは、予想された展開だが、あらためて切実に魅せられると、とても面白かった。 この映画を観たら、園子温監督「冷たい熱帯魚」を観て、気分を取り戻した方が良いでしょう。
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