「ありがとう」愛に乱暴 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ありがとう
この「離れ」というのはいつ建てられたものなんだろう。細かなところを注視しなければならないと解説に書いてあったのでチェックしまくり・・・冒頭3分で疑問が湧き起こった。桃子とマモルが住む離れの玄関の柱には背比べ傷があった。ということは、マモルが幼い頃から住んでいたことになるのよね。そして夫の電気カミソリの匂いチェック・・・
猫のぴーちゃんや不倫アカウントについては皆さんのレビューの方が参考になるので敢えて書かないけど、「ありがとう」という感謝の言葉はホームセンター店員が発するまで桃子と義母以外は誰も言わなかった。感謝されたいがために丁寧な暮らしを続けてきたわけじゃないのだろうけど、あまりにも理不尽。「マモルってお礼言わないよね」の台詞が物語っている。今の世の中に対する風刺も入ってるのだろうか。
リフォームと断捨離。これは桃子の人生そのもののメタファーなのだろう。マモルにとっては女を捨てることが当てはまるのかもしれない。中盤の大きな展開としては不倫の告白・離婚問題なのだろうけど、さらに桃子自身も略奪愛だったという過去も顕わになる。そしてSNSの写真に映ったドレスが実家のクローゼットに・・・
残念なのはチェーンソーが単に床板を切るためだけだったということ。ホラーと思わせておいてホラーじゃない。人格が崩れて狂気の沙汰を見せつけてくれるものの、ちょっと物足りない。せめてスイカで何かをしてくれるとか。江口のりこの怪演によって何とか最後まで見ることができました。最後は母屋までゲットしたのは義母の優しさだったのか・・・?
桃子が何度も口ずさんでいたのはエリック・サティの「Je Te Veux」。鼻歌のトーンも場面によって違っているのが面白かった。
共感ありがとうございます。
確かに離れの柱の傷には明確な意味があるんでしょうね。
マモルの両親はもっと兄妹を増やす予定だったのかもしれませんね。
私はレビューに、スイカを怒りの象徴と記載しましたが、スイカの切った蔓がどうしてもへその緒を象徴しているように見えます。
それを切るという概念 つまり流産しろと言う思いなのかもしれません。
共感ありがとうございます。
「敵」を観た後で思い当たるのが、満足していた環境・心持ちが崩れた時のメンタル崩壊。今作の主人公の奇行は、彼女が言う通り自分を守る為のものだったんでしょうね。母屋迄貰えて憑き物が落ちた様なラストは正直、良かったなと言ってあげたかったですね。