「ミニオンはかわいいが、話は物足りない」怪盗グルーのミニオン超変身 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
ミニオンはかわいいが、話は物足りない
大ヒットの劇場アニメ「怪盗グルー」シリーズの第4弾。といっても、前作しか鑑賞したことがないので、話の発端は知りませんが、それでも前作は楽しめたので、今回も期待して公開初日に鑑賞してきました。
ストーリーは、高校の同窓会に参加したグルーが、そこでグルーに恨みをもつ因縁の同級生マキシムと再会して命を狙われることになり、家族に危険が及ばないように全員で偽名をかたって隠れ家に一時避難するが、隣の家の少女ポピーに正体を知られ、彼女の企みに手を貸すことで騒動に巻き込まれていくというもの。
とてもわかりやすいストーリーで、子どもからか大人まで楽しめる作品に仕上がっています。グルーvsマキシムというメイン構図の中に、ショートエピソードを散りばめるような構成のため、それぞれのシーンごとに楽しめます。ミニオンたちのあいかわらずの絶妙なとぼけっぷりは、見ているだけで癒されます。本作ではグルー・Jr.も登場し、こちらもなかなかのおちゃめっぷりでかわいいです。
他にも個性的なキャラクターが多数登場しますが、どのキャラクターも表情豊かで、コミカルに動き回り、サブキャラや脇キャラまでしっかり楽しませてくれます。中でも、ターミネーターオマージュのオバさんキャラは、スタッフの遊び心が感じられてかなり楽しかったです。また、前作までに登場したキャラも顔を出し、花を添えています。過去作は1本しか見ていませんが、知ったキャラがいるのは、それだけで楽しいものです。
ただ、内容的にはやや浅く、大人にはちょっと物足りない印象です。何か一つ訴えるものが欲しかったです。例えば、マキシムとの因縁、ポピーとの師弟関係、ジュニアとの親子の絆など、いろいろ盛り込んではいますが、どれもあっさりしているように感じます。どれか一つをメインに据えて、そのキャラがグルーとのつながりを通して変容していく姿をもっと深く描いてほしかったです。先に、“ショートエピソードを散りばめるような構成”と述べましたが、それらが相乗効果をもたらしておらず、散漫な印象を与えているのも残念です。タイトルにある「ミニオン超変身」も、アイデアとしてはおもしろかったですが、ストーリーにうまく落とし込まれてないのがもったいないと感じます。
少々辛口レビューとなってしまいましたが、これは期待の裏返しであり、決してつまらなかったわけではありません。夏休みの子ども向け作品としては申し分ないので、ぜひ親子でご鑑賞ください。
吹替キャストは、笑福亭鶴瓶さん、中島美嘉さんらいつものメンバーに加え、片岡愛之助さん、山田杏奈さんらが脇を固めます。もう耳が慣れたので、このキャストに文句を言うつもりはありませんが、吹替版しか選べないのはいただけません。せめて1日1回でもいいので、字幕版を選べる自由をください。