カミノフデ 怪獣たちのいる島のレビュー・感想・評価
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そんな苗字はそうはいない
亡くなった特殊美術造形家の孫娘が祖父の作ろうとしていた作品「神の筆」のプロットを読み、その世界に入ってしまう話。
幼い頃に祖父の工房で怖い思いをしたことが切っ掛けで、あまり祖父に良い感情を抱いていなかった孫娘が、祖父のお別れ会の会場に居合わせたヲタ同級生と共に、その作品に出演予定だった俳優に声をかけられ巻き起こっていくストーリー。
夢か幻視か怪獣に襲われたり抗ったり、神の筆ならぬ見方のキャラが登場したり…シリアスというほどの堅苦しさはなく、かと言ってコミカルさも皆無。
鈴木梨央は頑張っていたけれど、その世界の中でのドラマの演技はみなさん厳し過ぎるし…。
そしてオチも、まあそうだろうね…で、正にお子様向けの特撮ファンタジーという感じだった。
日本の伝統芸能たる「特撮」の技術を絶やしてはならない
3DCGを使わずに、着ぐるみと操演によって作り出された「怪獣映画」が、存分に楽しめる。
ただ、序盤の「島」のパートでは、ヤマタノオロチ以外のクリーチャーの造形や、山賊のキャラクターがお粗末だし、ヤマタノオロチに酒を飲ませて眠らせたり、薬草を探し出したりする展開があまりにも雑過ぎて、「大丈夫か?」と不安になってしまう。
予算の都合もあるのだろうが、もう少し、異世界ファンタジーとしてのワクワク感が欲しかったと思う。
その一方で、現実世界に戻ってきてからの、ヤマタノオロチと自衛隊との市街地での戦いは、ミニチュアワークと爆発を駆使した「特撮」が堪能できて、見応えがある。
欲を言えば、M4シャーマン戦車だけでなく、F−86セイバー戦闘機も出てきたならば、より一層ワクワクできたのだが・・・
ラストは、地下空間での、大魔神風の巨大ヒーローとヤマタノオロチの決戦となるのだが、肝心の戦いが、火を吐こうとしていたオロチの口を塞ぐだけで、後は剣の一太刀で決着がついてしまうのは、物足りないとしか言いようがない。
ここは、もう少し「怪獣プロレス」としての見せ場があってもよかったのではないだろうか?
いずれにしても、「特撮」は、もはや、日本の伝統芸能とも言えるので、こうした形で その技術を継承していくことは、とても大切なことであるに違いない。
できることならば、次のゴジラは、樋口真嗣氏に、是非とも「着ぐるみ」で作ってもらいたいと思えるのである。
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