ルックバックのレビュー・感想・評価
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珠玉の青春ドラマ
才能のある者とそうでない者の友情は、描き方次第では酷く残酷な物語にもなり得るが、原作掲載が少年誌の「ジャンプ+」ということもあろう。リリシズム溢れるタッチで清々しく描かれており、藤野と京本のやり取りを微笑ましく観ることが出来た。ネガティヴなコンプレックスを跳ね返すようなサクセスストーリーにも爽快感が湧く。このあたりは同じ集英社で連載されていた漫画「バクマン。」を連想した。
しかし中盤で、ある衝撃的な事件が起こり、映画はシビアなトーンに切り替わっていく。物語の文脈上、やや唐突に映るが、その意外性も含めてドラマが一気に跳ね上がったという印象を持った。
そして、終盤にかけてのスリリングな展開も良い。甘ったるい妄想の世界に堕することなく、きっちりと現実を見据えた結末に好感が持てる。
映画は藤野の後ろ姿で始まり後ろ姿で終わる。この構成もタイトルの意味が反芻され印象深い。思えば、本作には藤野や京本の後ろ姿のカットが印象的に反復されていることに気付かされる。
例えば、手を繋いで走る町のシーンでは京本から見た藤野の後ろ姿が、二人が出会うシーンでは藤野から見た京本の後ろ姿が描かれている。そしてこれらのシーンは終盤で再びニュアンスを変えて反復されるのだ。
コンビで漫画を描く藤野と京本は並び立つ存在とも言えるが、実は小学生の頃からずっとお互いに背中を追いかけていた関係なのかもしれない。そう思うと、ラストカットの藤野の後ろ姿には、それを見守る京本の存在を意識せずにはいられない。
アニメーションとしてのクオリティも中々に高い。ポップで洗練された流行の絵とは一線を画したリアル寄りなタッチが物語に生々しい息吹を与えている。
また、本来であれば3DCGで表現して然るべきところを、手描き風なタッチで仕上げており、このあたりは原作のイメージを損なわないようにした製作陣のこだわりが感じられる。
藤野役の河合優実、京本役の吉田美月喜もリアル寄りな世界観に寄せた演技で良かったと思う。特に吉田は東北の訛りを自然に入れながら、引きこもりのコミュ障という難役を上手に表現していたと思う。
本作で唯一残念だったのは、ドラマに余り広がりが感じられないことだろうか。京本のバックストーリーが希薄だったり、二人の交流がダイジェスト風にしか表現されていない等、物足りなさも覚えた。原作は単行本1冊分しかないので、本作も約60分の中編となっている。この辺りは仕方がないといった感じである。
尚、後半で描かれる”ある事件”については、一部で言われているように自分も京アニ事件を連想させられた。原作者の藤本氏が意識していたかどうかは分からないが、少なくとも本作は漫画に限らずアニメや小説、映画、美術といったクリエイティブな職業に就く人々にエールを送るドラマだと捉えているので、こうした連想を抱くのは仕方がないことなのかもしれない。
1時間で期待以上の感動を味わえます
まとめサイトで読み切りがオススメされていて当時、面白いなーと思いながら気づいたらアニメーション映画となっていました。
うろ覚えでしたが、良い作品という記憶を辿りに鑑賞しました。素晴らしかったです。
原作が読み切りでそこまで長い作品ではないですが、1時間という短い枠の中でうまくまとまっています。
1点気になったのは特徴的な目、鼻、口の原作デザインから主人公と友人(モブ)が主人公と似ており、うまく描きわけられてないなと感じました。
個人的には、原作を知らない方がシナリオを楽しめるのではないかと思います。
1時間ほどで終わるのでサッと感動を味わうにはもってこいの作品だと思います。
時間があれば隙間時間にでもぜひ!オススメです。
創作者必見の一作
心に響くharuka nakamuraさんの音楽、美しい背景、素晴らしい作画…キャラクターの心情が伝わってくる動き、どれをとっても素晴らしく胸を打たれました。原作既読ですが、観に行く価値があります。鑑賞後、その場で少し余韻に浸りました。
創作経験のある方、特に絵を懸命に描いた経験のある人間にとってかなり心響くストーリーと思います。
素晴らしい作品を、ありがとうございました。
文句なし 原作も映画もどちらも良い
原作を1度目に読んで、、、まーこんなかな?
と言う感想でした
映画鑑賞前にもう一度読み直したらやっと理解できました もう感涙 意味が深い
そして今回の映画、さらに動画の力が増し 違う表現がさらに補完され 数度の感涙
今回映画だけ見た人で、???なんだかな?ってなった人はいると思います
もし今後原作を読んで感動したなら もう一度映画を観てほしいです
自分が好きなシーンは手を繋ぎ街を走るシーン
2人が周りの人と違い輝いていて、繋ぐ手も下から輝いています
この後のストーリーとの対比になりますが、素晴らしいターニングポイントの表現だと思います 素敵です
なんだろう…この作品は形容が難しい…
個人的に感じたことは、"尊い"、"切ない"、"儚い"、それらの刹那の時を経てもなお続けることの大切さを説いてる作品のように感じた…
描かれているストーリーはシンプルなようですごく深かかった…
彼女らがそこに存在していた!
吉祥寺のアップリンクは朝イチ9:40の回から満席。初日に観に行った美大生の姪っ子ちゃんは「最初から泣いてた!」と言ってたけどよくわかる。あちこちから鼻をかむ音が聞こえた。回想の絵、一枚一枚が尊くて私も涙出た。
紙の単行本を3回くらい読み直してから観に行ったのだけど、本当に原作を忠実に再現していて、脚色は本当に少なく、そのバランスも、この作品ならではだと思った。声も全く違和感なく、彼女らがそこにもう、ただただ存在していた。
そして本日は東京都知事選の投票日。映画館で選挙割引の取組みをしていてすばらしい〜!とおもった!
特別興行ならば、評価も特別になる
評判がすごくいい。いつも行く映画館で新規上映始まった。入場特典の有無を確認して鑑賞に行きました。
4コママンガのタッチで始まる本作はとても新鮮に感じられた。そして4コママンガの主人公がどの様に絡んでくるのか楽しみであった。
しかし本作主人公藤野が学校新聞に描くマンガだけだった。藤野のマンガは素晴らしかったが、京本の描くマンガの画力に魅了される。しかし京本が引きこもりで見下す。藤野は友人から遊びやスポーツの誘いにも応じない。藤野もある意味引きこもり。
卒業の日初めて京本に会い、以後2人でマンガを描き評価されていく。美大に行きたい京本は新連載を断る。藤野は美大を無意味で、引きこもりの京本にできる訳ないと断言する。京本を単なるアシスタントぐらいにしか思っていない。
京本の大学で事件が起きる。現実世界のレイのジケンを彷彿させる。この事で(業界を応援したくて)評価が高まっていたのなら違うと思う。
藤野は京本が引きこもりのままなら犠牲にならなかったと感じる。自分のせいだ。でも今回は藤野が直接絡んでいた訳ではない。京本が自分の道を進み偶々出会ってしまった悲劇。藤野は関係ない。支配下の人間に対して 自分の選択ミス という発想ではないのか。自分中心の発想の藤野。
ここで更に物語の方向性が変わる。タイムリープ。
間違っていた自分を見つめて直して欲しい。
でも戻った世界は、初めから2人が出会わなかった世界。京本は助かったが…、
藤野は何も変わっていない。
私にはどの点に重点をおいて見たら良いのか分からなかった。
…………
本作は1時間弱の中尺で特別興行の均一料金。大人一般料金では安くなるが、小学生も一緒。特別興行と宣言すれば価格設定は自由。でもそれに見合う納得の作品であれば良いが、ハードルは高くなる。
……………………
怒りで振り返らずにきちんと過去を振り返るということ
1時間に満たない上映時間の1秒も無駄な時間がない、ふたりの人生が詰まっている映画でした。
京本の人生は幸せだったのか、そんな問いは愚かしいことだと言い切ってしまうストーリーの骨太さ、その人生をとても楽しそうに美しく描写していて、そのふたりで歩く走る座る覗き込むカットで涙が止まらなくなりました。
自分を認められて思わず走り出してしまう、寒い雪の道をコンビニまで駆け込んで行く、あなたといれて私は嬉しい、そんな宝物のようなシーンに溢れていました。
この世の中は残酷で、愚かしい恐ろしいことで溢れていて、それでも生きるとはどういうことか、真剣に描いている映画でした。
傑作でした。
「チェンソーマン」と同じ人が書いたとは思えませんでした。
普段は上映時間が90分以下の映画は映画館では見ない事にしてます。
しかも通常1100円とか1300円で見てるのに、1700円均一と高いです。
だから見るつもりはなかったのですが、娘がどうしても見たいって言うんで仕方なく付き合って見に行って来ました。
いやぁ〜、短くてもギュッと詰まってて良かったです。
原作を読んでる娘も大満足だったようで、後で娘に漫画を借りて読む事にします。
名作だよ
全く前知識なしでの観賞です。
なかなか評判が良いようなので拝見させていただきました。
確かに、何ていうか、そう、すごく良い作品でした。
しかしなんでそう思うんだろう?
言っちゃなんだが
60分足らずでチケ¥1,700-
高いよね?
ストーリーも地味な田舎娘2人組のサクセスと別れのシンプルな内容
でも全然不満なく、というより観て良かったと思える素晴らしい作品でした。
終盤に理不尽な暴力はあったが、あれがなくてそれぞれの思う道をゆくだけで終わってたとしても、とても良い作品だったと思う
最後の理不尽な暴力は京アニ事件を連想するような事件でしたね。
犠牲者へのレクイエムと言うか挽歌とでも言うのか鎮魂作品でもあったんだろうね。
本当に良かったよ
終盤で泣いてしまいましたがな。
凝縮されたストーリーに⭐️⭐️⭐️⭐️
58分でこれほど充実したストーリーを完成できるとは驚きでした。アニメも綺麗に仕上がっています。
深掘りしないと深くなる、不思議な作品。一見の価値は十分だと思います。
79
自分の感覚がおかしいのか.....。
評価がすごく高かったので
事前情報ほとんどなしで
楽しみに映画館へ足を運びました
が、結論から言うと....微妙
ある程度満足すれば
パンフレットも買うのですが
数年振りにパンフレットも見送り
凄く残念な気持ちで映画館を後にしました
各方面で絶賛の嵐なので
面白いんでしょう
きっと僕の感性が一般と違うのかな
一つ残念、というか疑問だったのは
ODS作品?
料金が1700円一律である意味は?
僕ら大人は、各種サービスは適応できないとはいえ
一般料金より安く設定されてますし
文句はないのですが
障害者割引はもちろん
学生も1700円?
それっていつも以上に高いですよね
学生にこそ観てほしい
そんな作品の様に思いましたが
う〜ん、ちょっと色々とモヤモヤ
努力家たち
原作読んでから行きました。
ダンスシーンがどう描かれているかが作品成功の要だと思うのですが、何も足さず何も引かず、鮮やかにまた素朴に、あの名前のつけようのない感情を展開していて素晴らしかったです。私はこれで既に「あぁ良かった。満足」となりました。
ダンスシーンの直前、歩が投稿用作品を構想していると言ったとき「出まかせ言っちゃったな〜まぁ、10代あるあるだな」と思いませんでしたか?
実はそれが心に秘めた野望で、京本の言葉に背中を押され、消えかけた夢が息を吹き返す。人生の消失点がくるっと反転し…あとは無限に、伸びていくのだ!!
鳥山先生追悼の時も身にしみてわかりましたが、漫画家さんとは何よりもまず、優れた言葉の使い手なのだなと。本作を観てまた実感しました。
今ほど努力すること・学ぶことの価値が揺らいでいる時代はないように思います。
コピペ、トレース、アレンジすれば作品になる。ありとあらゆる音源はネット上にある。スマホ1秒で答えがわかる。
努力に意味などあるのかと疑問が浮かぶこともあるでしょう。
それでも比喩でなく指に血を滲ませて、描きまくる。楽器を弾きまくる。受験なら膨大な知識と格闘する。その原動力は「思い」。
上手くなりたい。自分をもっと憧れに近づけたい。止められないそんな思いに気づけた人はラッキーです。
エンドロールには、そんな努力家たちのお名前がずらりと並ぶ。この思いの束。AIには決して滲ませることができない滋味のような、匂いのようなもの。
受験生なら、夏休みの時間は貴重ですよね。でも、モチベーション上げにそのうち1時間、本作鑑賞に使うのはどうかな。急がば回れで、ぐっと背中を押してもらえる…かも?
余談:
頭の中で、エンドロールにはリコーダーで演奏された「Don't Look Back In Anger」が流れるかと思っていましたw
実際には素晴らしいレクイエムで、ちょっと自分が恥ずかしかったですw
昭和はいいね
1.卒業証書生徒に届けさせるなんて...
2.そこから、人生が始まる
3.また、パラレルワールドかと思ったら...
4.部屋まで行った方が幸せか?
5.玄関で帰った方が幸せか?
6.ルックバックには私を見ての意味
7.ルックバックには過去を大切にの意味
8.あの4コマ漫画、今なら規制がかかる
9.本当に今は世知辛い
10.お土産が豪華だった
11.無理に2時間にしなかったのが良い
12.あんなに上手くドア下に入るかなぁ
13.ドア下が何処でもドア?
完全版『ルックバック』
現在漫画を読んだ上で鑑賞。
原作も素晴らしい作品だったが、映画化した本作にはいっそう心を揺さぶられた。
とは言っても、映画化にあたりストーリーに変化があったわけではない。むしろ、これ以上ないほど忠実な映像化といった印象である。
漫画との違いを生んでいる要因は「間」である。原作者である藤本タツキ氏が時折使う、セリフのないコマを連続で見せる表現は、漫画慣れしている読者ほど高速で読み進める事になり、どうしてもそこで表現されている「間」や「時間」を十分に感じづらくなる。
本作でいえば、藤野と京本が過ごした時間がそれにあたる。
映像化によって製作者の意図する「間」「時間」で表現されることで、2人が過ごしたかけがえのない時間の印象がより強くなり、必然的にそこからの展開はより強く心を揺さぶられるものになった。
本作の監督は原作者とは異なるが、おそらく原作者の頭の中にあった完全な『ルックバック』に限りなく近いものを映像として見る事ができたように思う。
派手な作品ではないが、漫画の映像化における新しい(かつ、大半の原作読者の賛同を得られる)アプローチを試みた傑作だと感じた。
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