ルックバックのレビュー・感想・評価
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河合優美
評価の高さが理解できなかった
60分足らずでこんなに中身の濃い作品が出来るとは。
ここ数年で一番良かった
映画のレビューはいつもまあおもろいかな3点、うまい+0.5、すげーや+0.5点、個人的に好きすぎる+0.5~1点という感じでつけているが、これはすべてを計算して5点だった。それくらいよかったな。
ルックバックは読み切りが掲載されたときにも読んだのだが、「まあおもろいね、流石だね」という感じ。それから映画化して、レビューがいいというのは耳にしていたが、元来漫画派の私は「うーん、まあええやろ」と見るのを先延ばしにした。それからも先延ばしにしていたが、年が明ける瞬間寝る前、なにか映画を見よう。このタイミング、このおふとんがふかふかの状態に最適なものを見ようと思った。それがルックバックである。
正直最初はまあ、普通だなー、普通だなーという感じだった。まあ無難におもろいなーという感じ。それが衝撃的な事件がいきなりナイフのように降ってきて、おいおいハッピーエンド信者の私もそこからどうやってこっからハッピエーエンドになるんじゃと目が釘付けになった。後半は「ルックバック」というテーマとも伏線とも取れるすべてが回収され、「あーこれはこれはもう完璧や」となった。トドメを指したのはエンドロールである。
エンドロール丸ごと含めて、これは「映画」なんだと思った。単なるアニメ化じゃなくて、監督がクリエイターがアニメーターが解釈して、表現した映画なんだと思った。昨今は生成AIでそれっぽい映像がすぐ作れるぜ、アニメ制作にも取り入れようぜと新興企業がニョキニョキ出てきているが、このシーンのこの山の形、色味、このアングル、すべてが表現者の意図がある中で、それっぽいなにかじゃなくて、「これじゃないといけない」なにかがあるような「表現」が凝縮されていて、これが表現するということの一つの意味なのだろうと思った。
2025年のはじめにこれを見れたのはとてもいい感じだ。
内容、画、声の演技、音楽、すべてが見どころ、聞きどころ
アニメも含めて邦画の悪いところのひとつは、なんでもかんでもセリフで説明してしまうところだ。だが、このアニメは違う。
藤野は自分より画力が上の京本から慕われて優越感に浸っている。この作品のクライマックスは圧巻で、そんな藤野の京本に対する気持ちの変化を一切セリフでは説明しない。藤野が京本と過ごした日々を回想するシーンがすべてを物語る。藤野は「あなた(京本)がいたから、私はここまでやってこられた」と心で思ったに違いない。
泣くのは当然。
原作既読作品。
原作者の連載作品がどうも苦手で(ぶっとんでるところ)あまり触れてこなかったのですが、この読み切りは当時読んだ。毎日読んでたジャンプラで載ったからというのが大いにある。
それで泣いて読んで、こんなのも描けるんですか〜ってなった覚えがある。
泣く作品だったので、映画化と聞いた時も「泣くからなぁ…」と観に行こうとは思ってたなかった。
ただまぁラストにいいか!ムーブオーバーでやってるのも何かの縁!てことで観に行ったんです。
泣いたのは当然です。
線がガサガサ少し乱雑感があるのが、作品と合ってました。
藤野が小学生らしい万能感と無遠慮感で、家人が迎えてこない家に入っていくものだから、笑っちゃいました。田舎だからこそ出来る。そんな藤野が担当編集に電話でアシスタントのことを言葉選んで話してるところで「大人になって…」と感動してましたね、変なところで。
美大に行かなければ、じゃなくて、美大に行ってる京本を救う世界線な辺り、藤野の、京本を思う気持ちを考えてしまった。そんでもってやっぱ漫画に誘うんですよ。二人はそんな二人なんですね、どの世界線でも。
どこかの藤野と京本は幸せでありますように、最後に一人で机に向かう藤野の背中を見て、そう思いました。その世界線がある限り、この藤野も京本も生きていけると思う。
と、浸りました。
長過ぎずちょうど良い映画でした。
来場特典?色紙の二人が可愛かった…
ライバル
藤野が必死で絵の勉強をしてうまくなったのは京本の存在、やっぱり、ライバルって大事だなと思いました。ただ、藤野はお金に執着心が高かったり、美大に進学しようとする京本にあんたには絶対無理、漫画を続けようという上から目線のくだりはがっかり、わたしも一緒に美大に行くと言って欲しかった。
事件の後は夢か幻想か分からないが二人で漫画を描いている回想シーンが出て来たのでルックバックって回想のことかなと思ったのですが、気になったのは京本が藤野に「背中を見て・・」と言うと藤野の背中につるはしが刺さった4コマ漫画、実際に死んだのは京本ではなく藤野だったのか?なんて一瞬戸惑いました。盗用を逆恨みして美大生を襲う凶悪な事件ですが、動機がどこか京アニ事件を思い起こさせるところもあって被害者のアニメーター達へのレクイエム的な印象も受けました、名前を京本にしたのも京アニ事件へのオマージュだったのかしら・・。
単純な友情物語かと思いましたが不可解な展開、奇妙な映画でした。
伝えたい気持ち
中学の時の親友を思い出した。
めっちゃ仲良しなんだけど、対等じゃなくて、どこか相手のことを下に見てるような、それは素直になれなかったり、 照れくさかったりする感情から来るもので。そんな関係性がすごく身近に感じて共感、京本のこと見下したまま最悪な終わり方でお別れしたふたりなんだよな、、😢お互い出会えたから、良いように作用していたのよな
普段伝えられない素直になれないそういう気持ちを、ストレートに伝えられるといいなと思った
うまくなりたくて頑張っても届くか分からない不確実性。不安定さを抱えながら頑張る気持ちが強く伝わる。自分より才能がある人や、自分よりも努力してる人を目の当たりにすることもある、いくら自分がうまくなったと思っても、レベルが違うような人を見てしまうと、やっぱり自分下手すぎるってなっちゃう気持ちは凄く身に覚えがある。
先生!って尊敬してくれている人の前では、良い自分でありたいしプライドも芽生える。見栄を張ったりした藤本だったけど、実際は京本の絵を見て、強く感化されてたし敵わないと思って諦めようともしたし、京本の描く絵は藤本にとって凄く大きな力を持っていた。
変なプライドで伝えられなかった本当の気持ち、もう伝える事はできない。それがすごく惜しい。尊敬してた人が、自分の絵で心を動かされてた、一方通行の気持ちじゃなかったんだよ、ってことが分かったら嬉しかっただろうね、、
ふたりの間には更に強い結束も生まれてたんだろうなって思った。、でもそういうのってなかなか伝えられることではない。それがリアル。
テーマは無難、でも面白い
映画を振り返ると、テーマは王道でそこまで斬新さはないものの、面白いと感じさせられる力強い映画でした。思えば、藤本タツキ先生が描いているチェンソーマンも、あらすじを人に話すと「普通にありきたりだけど、何が面白いの?」と言われてしまうような内容なのに、面白いなと。
そう感じさせるのは、藤本先生や映画スタッフが人を描くのが上手いからなんでしょうね。特に映画でみると、映像の映し方がとても上手だと感じました。また、藤野ちゃんの小学生時代の言動は妙に恥ずかしくなるぐらいリアルで、ここも凄かったです。
一方で、やっぱり無難といえば無難なので、藤本先生とアニメスタッフで次回作を作るなら更にいい作品を期待しちゃいますね。そもそも原作が読み切りだったので、仕方がないですが。
クリエイターへのエールとレクイエム【12月15日追記】
【12月15日レビュー追記】
レビューの文中にある友人の感想は、
「とても良い映画、だけど…人生は厳しくて現実は重いので、映画館は若い男の子が多かったから、もう少し若い時に観たかった」
でした。
原作者からのメッセージは、
「漫画を始め創作に携わる全てのクリエイターへのエールと、京都アニメーション事件へのレクイエム」
だと受け取りました。
京アニ事件の詳細も原作のストーリーも知っている上で、映画を観ました。
それでも映画館で観ていたら、感情移入過多で感動と言うより衝撃で、エンディングですぐに席を立つことができなかったと思います。
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映画はできれば、初日に映画館で観たいと思っています。
“プラシーボ効果”というマジックが、公開直後の映画館にもあるような気がします。
6月28日劇場公開。何度も映画館に行こうか迷って、どうしても観に行くことができませんでした。
信頼できる映画好きの友達の感想を聞いても、レビューを薄目でのぞいても、重くて残酷な涙の気配がして、映画館で泣くのが怖かったのかもしれません。
11月8日からAmazonPrimeで独占配信。地元のミニシアターではロングラン中で、公開中に配信で観るのは申し訳なくて、終映まで待ってPrimeVideoで観ました。
そして、イマココです↓
ぐちゃぐちゃな感情のぐだぐだな感想を、上手くレビューできません。
どれだけ泣いても笑ってもいいから、サクセスストーリーもハッピーエンディングも無くていいから、興行収入10億円超えも要らないから、どんなアワードにも輝かなくていいから。
“映画”の最後は、ほんの僅かでも希望と共に、そして人生は続く…で終わってほしい。
✎____________
12月3日・12月31日AmazonPrimeVideoで鑑賞
12月3日★★★★★評価
12月3日レビュー投稿
12月15日レビュー追記
★★★★★の作品には、評価とレビューの投稿を最近始めました。
雨のシーンで、藤野は何を想っていたのか?
例の雨道での藤野のシーンは、本作の白眉と賞賛されている。
ただ、単に喜びのシーンだと言う解釈が多いが、拙僧の解釈は少し異なる。
確かに、心の底から自分を必要、尊敬してくれたのだという喜びの感情もあるだろう。
しかし、藤野の表情をよく見ると、どこか辛そうな表情にも見えなくも無い。
元々プライドが高く、他者を見下す傲慢なところがある藤野としては、よりによって自分貶めた相手からの賞賛を、果たしてプレーンな気持ちで嬉しいと感じたであろうか。
現に、直前の京本とのシーンで、藤野は虚勢を張ってしまっている。
恐らく、悔しさや、恥ずかしさ、でも同時に嬉しさといった様々な想いがあったのではないだろうか。
そんな複雑で大きな感情に渦巻かれながら、それを体で体現するかのように、ただ遮二無二、雨道を駆け抜けて行ったのだと解釈した。
最初は、女の子版の「バクマン。」みたいな話かと思ったが、
創作や表現、即ちクリエイターの話。所謂モノづくり映画というやつだった。
「映画大好きポンポさん」に近いかもしれない。あれより遥かにヘビーな話だが…
後半が賞賛されていますが、個人的には前半の努力パートの方が観ていて刺さりました。
自身のアイデンティティが、完膚なきまでに打ちのめされた瞬間の絶望感。
天狗になっていた自分が、まさに鼻っ柱を叩き折られた時の屈辱。
所詮は路傍の石であり、周囲の賞賛が持て囃しだったと気づいた時の惨めさ。
この時点で強烈なまでに藤野に共感を抱き、胸がズキズキと痛んだ人も多いのでは無いだろうか。
しかも、どれだけ努力しても努力しても、届かない。
家族、友達、次々と失っていくもの。
ただただ孤立していき、嘲笑にさらされる。
こんな事に意味はあるんだろうかと、無情な現実を突きつけられる。
才能と現実の理不尽さ、というと「リズと青い鳥」を彷彿とさせるが、本作はより容赦が無い。
叩き伏せられた相手からのまさかの憧憬という、奇妙な縁で友情を結んだ藤野と京本。
しかし、楽しい日々は長くは続かず、悲しい決裂からの、急転直下の悲劇。
原作を知らずに観たため、例の大事件を彷彿とさせるあの展開には、あまりにもショッキングで目の前が暗くなりかけた。
そこからこの物語は、ある非常にトリッキーな展開を見せる。
意表を突いた展開だが、これもまた、「漫画」という創作物だからこそできた表現であり、藤野のせめてもの願いでもある。
即ち、この作品が、クリエイターという職種への多大なリスペクトが込められている証だろう。
ラスト、新たな覚悟と決意に、すぅっ、と息を吸う藤野。
ここで、下手に台詞で、「よしっ!」とか、「がんばるぞ!」などと言わせず、
ただ、すぅっ、と息を吸うだけのアクション、たったこれだけでそれを完璧に表現してみせたのが素晴らしい。
そして、次のシーンでは藤野は、冷たく、足取りが重くなる雪道を踏みしめている。
思い返すと、先述の雨道のシーンも、空はどんよりと暗く雨が降り続けていた。
まるで、これから自分が進む道を暗示しているかのよう…というのは、深読みだろうか。
if世界では、事件は防がれて死者は出ず、京本も無事で、藤野は再び漫画に再燃する。
もしかしたら、藤野と京本はこの世界でもコンビを組んで漫画家活動をしたかもしれない。ブレイク出来たかどうかはともかく。
こう聞くと、現実世界よりもif世界の方がハッピーじゃないかと思うかも知れないが、
しかしこの世界では、
毎日を二人で楽しく過ごしたかけがえのない日々が無かった世界なのだ。
自分が漫画を描いたから、京本を不幸にしてしまった。
自分が漫画を描いたから、京本は幸福になることできた。
相反する業の深さ。
哀しく壮大な主題歌である「LIght song」が、さながら鎮魂歌のように響き渡る。
大きな不幸が訪れたとしても、描きつづける。
なぜ、描きつづけるのか。
そうする事で、京本が、京本のような人がどこかで笑ってくれるから。
「ルックバック」。「背中を見て」
不満点としては、58分という驚きの短尺は確かに観やすくはあったが、さすがに季節や時系列の移り変わりがハイテンポすぎる気はした。
あと、せっかくのクライマックスで止め絵が多すぎるのも実に勿体無い気がした。
監督が作画の半分を手掛けたという衝撃の制作背景には魂消たが、それそれで言い訳にしかならない。
あと、同じくクライマックスで、京本の部屋の前の藤野が説明セリフが多すぎるのも勿体無かった。
あんな一から十まで心情を吐露してしまうのはダサい。
正直なところ、他の大絶賛の人たちほどの熱量は感じなかったのですが、と思いつつもこの映画の事がなぜか頭から離れず、結局3回も観てしまいました。
例えるなら、前半がバクマン×リズと青い鳥、後半がポンポさん×ワンハリ。
インターステラーっぽさもありました。
神的に面白い映画
最っ高!!
これは神映画!!
58分という短さでここまで人の心を揺さぶれるのか。
努力、友情、勝利、挑戦、別れ。
もうこれでもかというくらい青春が詰まっている。
眩しすぎて胸が痛い。
人物が所々少しだけ雑に描かれていたり、背景が写真かなと思うくらい繊細に描かれていたり、もしかしたら藤野キョウ先生が描いたのかなとこちら側に想起させるのもすごい。
河合優実は「あんのこと」で知ってたけど、もう一人天才がいたなんて。
わ…私…私、吉田美月喜先生のファンです。
サインください!
もう京本のキャラクターが素敵すぎて、大好きになった。
もちろん藤野も同じくらい好き。
部屋で漫画を描いて、コンビニで漫画の賞の結果を確認して、生クリーム食べに行って、もう思い出しただけで目頭が熱くなる。
最後の「メタルパレード」のネームの回想シーンとかやばすぎ。
本当に素敵な映画です。
たくさんの人に見てほしいな。
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