ルックバックのレビュー・感想・評価
全746件中、721~740件目を表示
鬼才が作った作品を天才たちが奥行きを広げる
藤本タツキが産み出した『ルックバック』を押本清高が奥行きをつけ、河合優実、吉田美月喜が藤野、京本に息吹を吹き込む。
原作は10回以上読んでいて、一体どんな作品に仕上がってくるのか、期待と不安でいっぱいだったが、藤野の第一声を聞いてすぐに安心した。さすが、河合優実。事前情報がなかったら、「完璧に藤野を演じる声優は誰だ?」ってなるよね。
秋田弁ネイティブ引きこもりの京本も原作のイメージそのまま。わざとらしさがない朴訥とした喋り方で藤野への憧れの気持ちを絞り出す。
ここのシーンは、初見であればコメディー的な感想を持つと思うが、先行きを知ってしまっている自分にとっては、涙が溢れてしまう。
京本にべた褒めされて、藤野が思わず歓喜のジャンプをする。
原作では見開き2ページを使っていて、ページをめくらずに、気の済むまで藤野に感情移入する静止時間帯。
ここのシーンをアップのスローモーションで演出するのではなく、映画的な表現で藤野の気持ちを表す。
京本が視界から消え、誰1人いないあぜ道を嬉しさにまかせて、全力で走る藤野。引きのアングルで自宅まで走り続ける藤野が映し出される。一刻も早くマンガを再開させたい藤野のはやる気持ちがスクリーンから伝わってくる。
『まんが道』的な展開から直角に折れ曲がり、よもやの出来事が待っているこの作品。
何度読んでも、胸が締めつけられる。それを、こんな素晴らしいアニメーションで鑑賞できるとは。
出張が早く終わったので、2回続けて鑑賞。2回目の回は、作品を愛する観客で埋め尽くされていて最高の環境だった。
重要なシーンでは誰も物音を立てずに息を呑んでスクリーンに集中している。エンドロールが終わると、感謝の拍手。
感動を共有して、余韻にひたる。何と贅沢な時間。
追記
3回目のルックバック鑑賞。あらゆるシーンで、背景がおそろしいくらい緻密に描き込まれていることに気がつく。
京本も無事に美大を卒業していれば、アニメーションの背景担当になったのかも。
なぜ描き続けるのか?
マンガやアニメには現実逃避だけではなく、辛い現実を癒す力がある。藤野が自ら作った4コマの世界が生命を持ち、希望という形になって戻ってくる。
haruka nakamuraの音楽を聴きながら幕が下りる。明日への活力がみなぎってくる。
すばらしい
原作も藤本作品も全部好きなので、どんな映画であろうと観ようと思っていたが、予想以上に素晴らしかった。
特に主人公が京本にはじめて会って漫画を認められて嬉しくて走って帰ったシーンは心揺さぶられた。表情だけ見たら苦しそうで、からだも変なふうにねじまがってて、それがあまりに嬉しいからそうなってるんだ、というのがすごい表現だと思う。
あと、漫画の執筆シーンは原作より生々しいリアリティがあると思った。良いアシスタントが見つからなくて交渉するシーンは、過酷な漫画現場の一端を垣間見る感じでゾッとする。
マール社の「やさしい人物画」とかの定番の美術書とか、デジタルの漫画画材の数々とか、細かい道具とかも良かった。
シャークキックの単行本が複数巻のものがあるのは何でなのか、と思ったが、「重版」がかかったことを表す描写だと知って納得。
ただ、正直言えば映画で1時間弱の時間というのはやや物足りなく思った(特別料金1700円で鑑賞ポイント使えないし)。これはこれでテンポが良くて良いのだが、どうせ映画にするなら2時間くらいの話にしてもいいのではないかとも思った。
特にこの作品はたくさんの映画のオマージュが詰め込まれているので、ふくらませる余地はありそう。でも素人がいい加減なことを言うものではないな…。これはこれでいいのかも知れない。
入場者特典で原作の全ページのネームの単行本がもらえるというのは全然知らなかったのですごくうれしい。大切にしよう。
表紙裏に、「発表時から単行本収録において、一部台詞の表現を修正した箇所があります」との一文
そうだ、この作品、ジャンプ+の初掲載時の台詞が修正されたんだった。
言うまでもなくこの作品は京アニ事件がもとになっている。藤本さんのやり場のない怒り、悲しみ、後悔、苦しみを作品に叩きつけたのだろう。だからこの作品は胸を打つ。
初掲載時の台詞は精神障害者への差別を助長するということで変更されてしまったけど、そこでこの作品が京アニ事件がもとになっている作品だと言う要素も消えてしまった。
単行本版と映画版だと、犯人のセリフが「ネットに公開していた絵をパクられた」になっており、京アニ事件とのつながりを示唆したものになっている。
今の時代って無料コンテンツが溢れすぎてて、漫画やアニメに対する価値が相対的に低くなってる気がするんだけど、五分で読み終わってしまうような漫画も、描くのは一ヶ月とかとんでもない時間と苦労をかけて生み出してるかもしれなくて、そういう生み出す側の苦労を知ると言う意味でもこの作品はもっとたくさんの人に観てもらいたい。
もっとたくさんの人に観てほしい
原作を読んで知っていたので終始泣きながら見ていました。物語もそうですが、アニメーションも声も音楽も素晴らしかったです。藤野と京本が互いに名を呼び合う瞬間が好きでした。耳に残りますね。癒やされるような優しい歌声の主題歌もよかったです。
鑑賞後、劇場内が静まりかえっていたのが印象的。目が痛いです。しばらくはこの余韻を引きずって生きます。
無知ですみませんが、特別興行なのはなんででしょうか。様々な理由で劇場に足を運び辛い人や若い学生さんたちなど、もっと色んな人に見てほしいので。
吉田美月喜が気になった
学級新聞に4コマ漫画を連載し、クラスメイトから称賛されていた小学4年生の藤野は、先生から、不登校の京本の4コマ漫画を新聞に載せたいと言われた。自分の漫画に自信を持っていた藤野だが、引きこもりで学校に来られない京本の描いた絵に衝撃を受けた。そんな2人は、一緒に漫画を描くことになり、共同作業を続けていたが、京本が美大へ進学することになり、離れ離れになった。そんなある時、美大へ乱入した男が・・・という話。
引きこもりの子が絵が上手く、衝撃を受け必死に練習する小学生、というのは良かった。その後の上から目線の態度はどうかと思ったが、美大での事件は突然で唖然とした。悲しすぎる。
藤野役の河合優実も悪くなかったが、京本役の吉田美月喜が朴訥としてて魅力的だった。
入場者特典のコミック、ほぼ映画通りで良かった。
儚くも愛おしい2人の物語
作品そのものの前評判が高かったことはもちろん、先日観た「あんのこと」で熱演を披露した河合優実が声優初挑戦ということもあって注目していた本作を、公開初日に観に行って来ました。上映時間58分と中編に属する作品でしたが、その展開やセリフ廻しは濃密かつ鮮烈で、無駄な部分が一切なく、長編を観た時のような心地よい疲労感を覚えることが出来ました。
ストーリーは”起承転結”がはっきりとしており、序盤から”転”の部分に起こるだろう悲劇を予感させるもので、まだ何も起こっていないうちから涙がこぼれそうになりながら観ていました(因みに原作は未読でした)。そんな感動を誘ったのは、藤野と京本という主人公2人の同級生の、親友でありライバルであり憧れの相手でありパートナーでもある関係性が、極めて不安定で儚げながらも、光り輝いていて実に美しく感じられたから。藤野の傲慢で野心満々で京本に対する支配欲すら感じさせる部分も、若気の至りという意味で誰もが経験し得るものであり、さらに京本の純粋過ぎる性格は、愛おしさしか感じませんでした。
そんな京本に襲い掛かった悲劇は、2019年に発生した京アニ事件を想起させるものでした。ネットで調べてみると、原作発表時にはその点で賛否もあったようですが、私としては、悲劇に接した人に思いを馳せ、それを作品世界に投影することは芸術の役割であり、前向きに評価すべきことかなと思ったところでした。
いずれにしても、擦り切れたオッサンの心すらもグラグラと揺すぶる本作のパワーは、実に見事なものでした。
藤野役の河合優実は、「あんのこと」の時もそうでしたが、ジェットコースター並みに起伏のある感情表現がホントに巧く、声優初挑戦とは思えないほどでした。京本役の吉田美月喜も声優初挑戦だったそうですが、「カムイのうた」の時とは一転、人付き合いが苦手で不登校になってしまった京本が藤野と出会って徐々に成長していく様子の愛おしさを、微妙な強弱で表しており、こちらも非常に良かったです。
そんな訳で、本作の評価は★4.5とします。
【”Don't Look Back in Anger そして、私は彼女の背中を思い、漫画を描き続ける。"今作は二人の漫画好きの少女の交流と成長を軸にした物語構成、絵の美しさと共に心に響く作品である。】
■小学生の藤野が、学級新聞に連載している四コマ漫画はクラスメイトからも好評。だが、ある日不登校の同級生京本が描いた自分のタッチとは全く異なる四コマ漫画も併せて掲載され、藤野は自身の漫画とのレベル差を感じる。
だが、京本も藤野の漫画が大好きで、二人は一緒に漫画を描き始めるのである。
◆感想
・藤本タツキ氏の漫画は、申し訳ないが、この映画を観るまでは全く知らなかった。だがフライヤーに記載されている氏の画を見て鑑賞を即決した。
・ストーリー展開も、起承転結がはっきりと描かれており、且つ二人の少女がふとしたきっかけで交流を持ち、好きな漫画を描くことに没頭する姿がとても自然に描かれており、魅入られた。
・藤野と不登校の京本が小学生時の出会いから一緒に漫画を描く様や、自己主張せずに、只管に藤野が描く漫画の背景を担当していた京本が初めて”美大に行きたい。”と言い、藤野と別れ、夫々の道を歩み始めつつも、常にお互いの存在を忘れずにいる姿。
更に、藤野の連載漫画の本がドンドン売れていく様を、第一巻から巻数が増えていく本棚を映す事で表現する巧さには、センスを感じる。
■藤野が売れっ子漫画家になった時に京本に起こった凶事。
ここのシーンは容易に京都アニメーションを襲った悲劇を想起させるが、それを今作では藤野が自身の四コマ漫画で笑いの要素で犯人を撃退する姿で描いている事も、上手いと思う。
藤野は、犯人を憎めどその仕返しを漫画でキッチリと行うのである。
藤本タツキ氏の理不尽極まりない京都アニメーションを襲った犯人への激烈な怒りが垣間見えるシーンでもある。
■”Don't Look Back in Anger”・・ご存じ、Oasisの超名曲である。
意味は様々な解釈があるが、私は素直に【怒りで、過去を悪く思わないで】という意味でレビュータイトルとした。
”藤野は京本を狭い部屋から出し、新たなる広い世界に連れ出したのだ!”と言う思いからである。
<そして、藤野が主のいない京本の部屋を訪れるシーン。
”自分が漫画の世界に引き込まなければ、京本は生きて居たのに・・。“
と悔いながらも、落ちていた四コマ漫画を高層ビルの仕事部屋に持ち帰り、仕事をするデスクの真ん前の大きなガラス窓にペタリと貼り付けて、藤野は再び漫画を描き始めるのである。
今作は二人の漫画好きの少女の交流を軸にした物語構成、絵の美しさと共に心に響く素晴らしき作品である。>
止めらるか、私たちを
2021年の藤本タツキの短編を映画化
チェンソーマンで暴れまくった後の短編で、こんなマンガも描けるのか、と当時震撼したことを覚えている。観る前に不安はなかったが、素晴らしい出来栄えに感嘆。
例えば藤野ちゃんが雨の中踊るシーンは、原作からの補完が完璧だった。あとこれはマンガ論になるのだろうけど、現実にあった理不尽で防ぎようもない事件と向き合うことを描くことをメジャーでやることのリスクを敢えてとった編集の手腕にも拍手。邪悪によって遮られること。そのことによって意味のないことになるかも知れない。けれど情熱は止められない。
ルックバックのミーニングには様々な想いが込められている。それはアニメーションという表現になって、なお多分にあって背景にも注目してほしい。特にエンドロールは観ているだけでも感動してしまいました。
58分と短いけれど色々詰まっていました。オマケにパイロット版のマンガがつきます
すごかった
すごかった、観てよかった。
話は原作通りで、漫画家などクリエイターになりたい・なろうと思ったことがない私には、ピンとこない部分はありつつつも。
結局は亡き友の分も描く・描くしかないという覚悟と、友の死も糧にしていく漫画家というものの業を描いていたのは理解でき、染みるところはありました。
しかし、アニメーションになったのを見てよかったと思ったのは、原作の再現性ではなく、圧倒的なフィルムとしての力。
京本が藤野への感情を爆発させた瞬間の涙目な笑顔。
藤野が京本に認められたあと、湧き出る悦びで雨の中をスキップする姿。
その演技、画力技法、動きで気持ちが伝わるシーン。
過度にならない音楽や効果音により感情の伝播。
いろんなアニメ、漫画、映画からのオマージュを取り入れたカット割り。
アニメーションとしての快感が詰まっていた。
そこに尽きます。
何度も観なおしたくなりました。
いい年して泣かされてしまったので
いい年して泣かされてしまったので私の負けです。
誤解しないでくださいね。映画版「ルックバック」はそんなに泣かせに振った演出してないんですよ? それでも胸に響くものは大きかった。
原作の持つ強度に加え、この映画版では藤野と京本がまるで生きているかのような写実的な芝居を見せてくれます。特に声優さん(俳優さん)には良い意味で期待を裏切られました。カットも一枚一枚が「絵」になっていて、プリントアウトして壁に飾りたいくらい質が高かった。原作の要素を丁寧に拾い上げてアニメーション的に拡張するという課題を、押山清高監督は極めて高いレベルでクリアーしてくれたと思います。「ルックバック」という作品が「京都アニメーション事件」を踏まえてクリエイティブの意義を見つめ直すというテーマ性を持っている事は皆さんご存知だと思いますが、この映画版は藤野と京本の青春物語という側面が強まっていると感じました。
劇伴のharuka nakamuraも素晴らしい。予告編では少々エモーショナル過ぎると感じていたのですが、作品のストーリー性にぴったりと嵌まっていました。才能の輝きに満ちた、捨てる瞬間なしの58分でした。
京本・・・😭
泣きすぎて息が詰まった。美しくある種残酷な映画。
原作は一度だけWEB上で読んだ気がする。CMをみたときに、「好みの絵が動いてる」と思い鑑賞。大正解、自分。良すぎて思わず、そのまんまもう1巡しそうになった。
藤野が京本の絵を見て「許せない」と奮闘し続けるところ、藤野と京本が出会いふたりで漫画を作っていくところ、季節が巡っていく描写が美しすぎて泣いた。
お互いがお互いを希望に思っているのだろうなという関係性がすごく眩しかったし、アニメーションの光と影の描き方も美しかった。
最後、決して明るい終わり方ではないし、人によっては残酷に思えるような感じかもしれない。しかし、京本という光を失ってもなお筆を折らずに机に向かう藤野は美しく、私には希望の光に見えた。
ストーリーはいいけどもったいない
話題のルックバックを観たが、ストーリーは◎。
ただし、ネタバレになるので割愛するが、あるシーンはちょっと
ストーリーとしては無理筋では。
京本がなぜひきこもったかももう少し踏み込んでも良かったのでは。
時間も見頃だし、観て良かった。
藤野役の声の出演河合優実はピッタリの配役だった。
ただ、もったいないアニメ。
原作に変な肉付けもなく純粋な映画化は良き
私の素敵な人生(京本)返せよ
京本 私の背中見ててね
藤野ちゃんの背景(過去)私頑張るね
言葉を貴方よりも言い表せられません
私は使えていません
そんな風に言い表せられなく
嫉妬するほど繊細で
私には見えていないと自分で気づく
言葉をもっと知りたい
貴方の様に
私も生きる
言葉の為に
私の素敵な人生(京本)返せよ
取り返しにいく
まんが道
感動。圧倒。ありがとう。
絵つなぎの創意工夫で魅せられました
なりたかったのは、背中で語れる「ヒーロー」なんだ!
『チェンソーマン』や『ファイアパンチ』といったヒーローものを手がけてきた藤本タツキが、今作を生み出した必然性を感じた。
主人公・藤野は、相棒役・京本にとっての憧れの的であろうと必死だった。
京本の前では絶対に弱音を吐かないし、どんなにチヤホヤされても舞い上がることなんてしない。少し貫禄を見せるぐらいが丁度いい。
また、日頃から努力を怠らず、自分たちが進むべき道を「言葉」ではなく「行動」で示す。常に一歩先を行き、手本となり、導いてあげる。
そして、もし相手が困っていたら必ず助けに行き、得意な必殺技をキメる……。
そんな藤野もまたヒーローモノのマンガ(シャークキック)を執筆していて、彼女はクライマックスで自身の作品を読んで涙する。それは、京本からのメッセージのお陰で、自分の行動原理の根っこに「ヒーローになりたい」という想いがあることを再発見したから。そして京本が自分のことをヒーローとして認め、ヒーローを描き続けてきた人生は決して間違っていなかったと、全肯定してくれたからではないだろうか。
あと、チェンソーマン読者が思わずニヤリとするような描写が作中に散りばめられている。現在制作中の映画『チェンソーマン レゼ編』公開が俄然楽しみになった。
藤本タツキの鬼才を余すこと無く体感する1時間
まず、映画に携わった全ての方に感謝を。
私はこの作品の原作を読んでいるが、正直観るまでは1時間ではまとめきれないと思っていた。
同じ感想を持ちながら、観に行った方も多いのではないだろうか。
しかしながら、この思いは開始5分にして裏切られ、少女達の人生が文字通り1時間で描かれる事になるのだ。
映画のタイトルである、ルックバックは終盤に伏線回収されるが、「有象無象に埋もれる自分と自分の世界で唯一無二の才能の持ち主が、互いの背中を見ながら成長していく。」がコンセプトになっていると感じた。
映画の終盤10分は息付く暇もなく、彼女達と同じ時を刻むことになる。
エンドロール後に忘れていたかのように、劇場のあちこちから、息を吐く音が聞こえた。
迷っているなら、見に行った方がいい。
全746件中、721~740件目を表示