ルックバックのレビュー・感想・評価
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でも、だから、漫画を描き続ける
なぜ漫画を描くのか。
なぜ描き続けるのか。
ルックバック、この映画で起きた全ての意味が込められていて素晴らしいタイトルだ。
男の子が描く、女の子のバディモノって感じがした。女の子が繊細すぎる。藤野先生を前に男女もないのだが。
藤野の背中を見て絵を描き続けた京本、今度は藤野が京本を前にして描いていく。こんなん泣いちゃうじゃないか。
どの場面も愛おしい
小さい頃下手な漫画を描き、友達と交換漫画をし、そのうちに漫画書いてるなんて暗い、というイメージが怖くて描かなくなり、最近になってまたポツポツと二次創作をしている自分にはとっても刺さりまくる映画でした。どの場面も本当に泣ける。田舎の遠くの山並みもとても綺麗でそして閉鎖された狭い世界を表してる風景にも泣ける。
そして後半京アニ事件を彷彿とさせる理不尽な事件が起こり、両翼の片方がなくなってしまう…主人公の妄想で最悪な犯人に蹴りを入れてやり、それでも現実は変わらず、でももう一度自分の最初のファンである片翼の想いを感じ、またひたすら描き続ける主人公の背中に、ほんと泣いた。制作するって孤独だけど、ほんの一言の励ましや称賛でまた描くことができる。
テーマは「時間」
言うまでも無いが漫画とアニメの違いと言えば、漫画には無い動きと音の表現がアニメにはあることだ。原作を読んだ時との大きな違いは主人公の東北訛りや背景の動きにより舞台が地方都市だということが鮮明になった点だった。アニメならではの俯瞰的なカメラワークで映される田園風景や背後で田植え機が動いている様子など、自分が幼少期に過ごした町とリンクして主人公らの心情がより近く感じられた。
このアニメ化によって「時間」がより輪郭を増している事も印象深かった。冒頭の4コマ漫画を考える藤野の様子や、2人が共同で最初の作品を制作する様子、街に出てはしゃぐ2人、高校卒業を控えてそれぞれの行く道を決めるまでの時間経過が(もちろん原作でも描かれてはいるが)より丁寧に表現されていた。
そしてあの悲しい事件の後、藤野が後悔の念から起こした行動が時間を超えて「起こり得たかもしれない別の世界」を我々に見せてくれた。藤野が望んだのであろう12歳当時の二人が出会わなかった世界線。その時間軸では京本の命を藤野が救い、奇しくも二人は現実世界と似て非なる共同作業を始めるかも知れないという微かな救いは、藤野の知るところではないという悲しさでもあった。それでも、その世界からの奇妙な繋がりによって藤野は京本からの「背中を見て」というメッセージを受け取り、京本のため/そこに居ない誰かのために作品づくりの世界へ戻っていく・・
特筆すべきはエンドロール。黙々と液晶タブレットで作品を描くデスクの向こう側には、実家の勉強部屋から見える風景とは全く異なるビル群。そしてそのビルの窓に傾いた太陽が反射し、陽が陰り、空が焼け、やがて夜の帳が下りてきて、藤野が作業を中断し部屋を出る。そんな時間経過をシームレスに見せる演出とバックに流れる「Light song」が、全ての表現者と志半ばで命を落とした人々を照らす希望の光になって欲しいと願ってやまないのであった。
そもそも原作が映画だったから
観に行くのはほぼ藤本ファンだろうから、映画的である事が最たる特徴である藤本作品を映画化するなら、制作陣はその意味を提示しなくてはならない。ちゃんと「映画」になっていた。演出意図が明快なので。声優さんの仕事ぶりも良い。編集と通話するシーンのナチュラルさとか。時折テレビなどで耳にする"アニメ声"を変だと思う私の感覚は異常ではないようだ。
【追記】声は女優さんだったのか。なるほど。
【再度追記】案外言及してる人が少ないので。ルックバックというタイトル、メインは事件が起きない「ifの振り返り」だろうけど、子供の頃に京本が藤野の「背中を見て」いた、ラス前に京本の部屋で藤野が「振り返って」半纏の「背中を見る」と。序盤の背中にサインという仕込みがラスト近くで一番情感に訴える演出になっているのは本当に映画的。原作でも2コマでセリフを被せて過去シーンに繋げる映像的表現となっている。来場者特典のストーリーボードからの変化が決定的なのが興味深い。つくづく映画的な漫画。
原作の持ち味を活かした映像作品というだけでなく、アニメーション的表現を突き詰めた感のある一作
一時間弱という、劇場公開アニメーション作品としてはややコンパクトな作品ながら、物語も映像も非常に密度が濃いため、実際の時間よりも(良い意味で)長く感じる人も多いはず。
藤本タツキの原作は、情感豊かでありながら省略表現も併用した画調なのですが、本作はそんな原作の筆致を反映しつつも、細部まで非常に丹念かつ緻密に描きこまれています。部屋に貼ってあるポスターが藤野の人生に合わせて変化するところなど、思わず見入ってしまいました。
後半の一部を除いて基本的に藤野(河合優実)の視点で描いているため、ともに漫画の道を志す京本(吉田美月喜)の物語も基本的には、藤野との絡みが中心となっています。そのため、もっと京本の別の側面も見たい、と思わなくもないのですが、さすがにそうなると原作を膨らませすぎて冗長、となりかねないし、何よりも断片的なエピソードや言動の中から京本の人物像が浮かび上がる演出がなされているため、本作の描写としては十分と感じました。
もし京本視点のスピンオフなど出たら、ぜひ観たいですが!
作中の重要な小道具の手触りを感じさせるパンフレットは、押山清高監督と原作者藤本タツキの対談など、こちらも充実した内容です。ただかなりの品薄らしいので、もし劇場に在庫があれば、購入をおすすめ!
読んだ時の事を思い出した
当時、ジャンププラスでルックバックが掲載された日、何気ない1日のはじまりがとんでもない衝撃でスタートしたのを覚えている。
掲載日、SNSの漫画界隈はずっと色めき立っていた。
とんでもねえ漫画だった。
原作をよんでいるからストーリーは知っている
けれど
淡々と流れるシーンにひたすら惹き込まれて、ニヤニヤしたりほっこりしたりして、気がついたら泣いていた。
この話は主役の2人以外のシーンはほとんどない。
なのに一切退屈しないし、どうか終わらないでくれと
顛末を知ってしまっている人間は願わずにはいられなかった。
原作の完成度が高すぎて正直、原作を超えることは出来なかったと思いますが、原作の余白を埋めるための演出は蛇足なく見事に表現されていたと思います。
四コマ漫画
よく1時間にまとめた
学生新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメイトからも称賛されている小学4年生の藤野。そんなある日、先生から、同学年の不登校の生徒・京本の描いた4コマ漫画を新聞に載せたいと告げられる。
自分の才能に自信を抱く藤野と、引きこもりで学校にも来られない京本。正反対な2人の少女は、漫画へのひたむきな思いでつながっていく。しかし、ある時、すべてを打ち砕く出来事が起こる。(解説より)
全体の話はまさに解説の通り。
これに付け加えると、核心に触れるネタバレになってしまうため自重。
予告編で気になっており、出だしの評価も高かったため久しぶりに映画館にて鑑賞。
正直、そこまで刺さらなかった。
1時間の中にこのストーリーをまとめたことはすごいと思うが、「すべてを打ち砕く出来事」とその後の結びがそこまで意外な結果にならなかったなと…
映像はとてもきれいであったし、決してつまらなかったわけではないが(というかおもしろかったです、普通に)もうひとひねり欲しかった…
期待値が高すぎてしまった。
無慈悲に死が訪れるのは事実
見た時は、大事な人の死で涙誘うのはいつもの映画の手だよね。と思ってだけど、僕らは突然無慈悲に大事な人が亡くなるのをたくさん見てきた事に気がついた。その人達のことを忘れないようにしようと思った。2日経ってもガンガンしている。これから漫画を買おう。
思う事。繋ぐ事。
なんとも
まさにルックバック
振り返ることはできても戻ることはできないまさにルックバック。
情緒豊かな2人によって繰り広げられるストーリーはみるみるうちに観客を引き込みラストには感情が爆発し泣かれる方も。
個人的には空の演出が印象に残り夜から始まり夜に終わる、そんなところに一生の儚さや尊さを覚えました。錯誤する運命に元気づけられ前を向き先へと進む藤野。思い出してももう振り返らない。短い映画ながら全面に良さがでていると感じました。
自分が進む理由
2人で漫画を描いた少女の話
四コマで知り合った2人は高卒後にそれぞれの道を歩み美術大学行ったひとりが亡くなる。生き残りは後悔するが背中をみてまた歩みを進める。
どうみても京アニ事件。
背中がポイント。
映画は長ければいいという訳ではないことを教えてくれる映画だった。
タイトルなし
割引券を使うために渋谷を訪れた所、1700円均一で使えないという深い悲しみ。内容はほぼそれを癒してくれる素晴らしい出来。ルックバックがオアシスの曲名を元に考えられている、「悪い思い出にしないで」というのは原作読んでないけど知っている。絵も良い出来で、話の筋がとても映画的なので、たまにアニメアニメし過ぎかもな、映画映画した方が良いかも、と思ったけど、強いて言えばって感じです。
で、あまり汚い言葉で言いたくないんだけど、どうしても言及せざるを得ない部分がある。
音楽が厳しい、酷い。ここでこう感じてここで感動しなさい、このタイミングで音楽が始まるので盛り上がるところですよ、クライマックスですよ、と。聞いていて辟易。音楽無しの方が自分は感動すると思う。ここまで浅はかさと承認欲求が剥き出しの音楽も久々に遭遇したので驚きました。控えめに言って…やめとこ。まあこれぐらい露骨露骨露骨でやらないと客がわからないかもしれないけど。でも劇場でみた映画だから。テレビで偶然見たんなら何も思わないんだけど。
没頭できるものと友と出会える幸せ
原作発表時に一度読みました。少し感動。
それからの映画化。正直観に行く予定はありませんでしたが、友人から声をかけられて行くことに。
それ故、前情報などを入れず、極めてフラットに見ました。
涙は出なかったですが、心揺さぶられました。
何だろう? 漫画(原作)の足りない部分を完全に補完しているからかと。
特に音楽が特に良い感じ。そして声優さんも素晴しいお仕事でした。
ドラマ放送終了後の最近「不適切にもほどがある」をみたので、藤野役が河合優実さんだと知っていても、全然彼女の顔が思い浮かばないほどの名演技でした。
監督さんが原作リスペクトであることがしっかり伝わってくると感じました。
原作が既に絶対的な熱量を持っているのでしょうね。老若男女で劇場内9割ほどの混雑が、この作品の人気を物語っているなぁと思いました。
たぶん、俺がこの物語の二人のように没頭できる何かに出会えなかったのが、涙が流れなかった原因かと思います。
そして50歳オーバーには漫画や映画、ドラマ、アニメなどで「キャラクターの死」に対して耐性がついてしまって、驚くことはあってもあまり心動かされることが少なくなってしまうのですが、京本の死とそれにまつわる演出には久し振りにぐっと胸が詰まらせられました。
自分の今現在までの人生は、自分自身で幸せだと思ってはいるのですが、先にも書いたとおり「没頭できるもの」とは出会えていない、もしかしたら、これから出会えるのかもしれないのだけれど、「同じ夢を、同じ熱量で追い続ける友」とは流石にもう巡り会うことはないので、若者の熱い情熱は素晴しく羨ましいと思いました。
友人に誘われて、この作品をスクリーンで見られて良かったと思いました。
8/2 二度目の鑑賞。感動は全く色褪せない。原作の物語とキャラクターがしっかりとしているので、小説でも十分感動が出来るのだろうなと。更に画がついて漫画としてのクオリティーが素晴しいところへ映画関係者のチームワークとリスペクトががっしりと組み合っているのだと感じます。
劇場約6割くらいの入り。まだまだ熱量は続いていますね。
思ったのですが、この作品漫画を書くために四六時中二人は一緒に作業をして、LINEのやりとりなどは出てこないのですが、今はそういう付き合い方(距離感)を嫌がる若い世代が多いような気がするのですが、20代前後の方達はその辺りどう感じているのか気になりました。
珠玉の青春ドラマ
才能のある者とそうでない者の友情は、描き方次第では酷く残酷な物語にもなり得るが、原作掲載が少年誌の「ジャンプ+」ということもあろう。リリシズム溢れるタッチで清々しく描かれており、藤野と京本のやり取りを微笑ましく観ることが出来た。ネガティヴなコンプレックスを跳ね返すようなサクセスストーリーにも爽快感が湧く。このあたりは同じ集英社で連載されていた漫画「バクマン。」を連想した。
しかし中盤で、ある衝撃的な事件が起こり、映画はシビアなトーンに切り替わっていく。物語の文脈上、やや唐突に映るが、その意外性も含めてドラマが一気に跳ね上がったという印象を持った。
そして、終盤にかけてのスリリングな展開も良い。甘ったるい妄想の世界に堕することなく、きっちりと現実を見据えた結末に好感が持てる。
映画は藤野の後ろ姿で始まり後ろ姿で終わる。この構成もタイトルの意味が反芻され印象深い。思えば、本作には藤野や京本の後ろ姿のカットが印象的に反復されていることに気付かされる。
例えば、手を繋いで走る町のシーンでは京本から見た藤野の後ろ姿が、二人が出会うシーンでは藤野から見た京本の後ろ姿が描かれている。そしてこれらのシーンは終盤で再びニュアンスを変えて反復されるのだ。
コンビで漫画を描く藤野と京本は並び立つ存在とも言えるが、実は小学生の頃からずっとお互いに背中を追いかけていた関係なのかもしれない。そう思うと、ラストカットの藤野の後ろ姿には、それを見守る京本の存在を意識せずにはいられない。
アニメーションとしてのクオリティも中々に高い。ポップで洗練された流行の絵とは一線を画したリアル寄りなタッチが物語に生々しい息吹を与えている。
また、本来であれば3DCGで表現して然るべきところを、手描き風なタッチで仕上げており、このあたりは原作のイメージを損なわないようにした製作陣のこだわりが感じられる。
藤野役の河合優実、京本役の吉田美月喜もリアル寄りな世界観に寄せた演技で良かったと思う。特に吉田は東北の訛りを自然に入れながら、引きこもりのコミュ障という難役を上手に表現していたと思う。
本作で唯一残念だったのは、ドラマに余り広がりが感じられないことだろうか。京本のバックストーリーが希薄だったり、二人の交流がダイジェスト風にしか表現されていない等、物足りなさも覚えた。原作は単行本1冊分しかないので、本作も約60分の中編となっている。この辺りは仕方がないといった感じである。
尚、後半で描かれる”ある事件”については、一部で言われているように自分も京アニ事件を連想させられた。原作者の藤本氏が意識していたかどうかは分からないが、少なくとも本作は漫画に限らずアニメや小説、映画、美術といったクリエイティブな職業に就く人々にエールを送るドラマだと捉えているので、こうした連想を抱くのは仕方がないことなのかもしれない。
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