ルックバックのレビュー・感想・評価
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鎮魂であり報復
例の事件を前提にした評価です。
クリエイターという生き物はものを作る事でしか自己表現ができないんだなとつくづく感じました。
漫画家として成功した藤野
しかしアシスタントに満足できずどうしても京本と比べてしまう。京本ならもっと上手い。京本ならもっと理解してくれる。京本じゃなきゃ駄目だ。
そんな折に飛び込んだ訃報。
もし自分があの時京本に出会わなければ……
それ以降観客は振り返ることのない藤野の背中を見つめ映画が終わる。
命はある日唐突に理不尽な形で奪われることがある。
映画の中の被害者は京本一人だった。
しかし例の事件では過去に類をみないほどの数の尊い命が失われた。
その一人一人にこんな出会いがあったのだろうか、こんな想いがあったのだろうか、残されたものは一体どれほど悲しんだろうか……想像せずにはいられなかった。
それでもクリエイターは前を向いてものを作り続ける。
悲しみや怒りや恨みも全て作品にぶつける。
それ以外に、それ以上に表現できる方法など知らないのだ。
それが亡くなった人々への最大の鎮魂であり
犯人への唯一の報復なのだ。
と、勝手にそのように解釈しました。
自分は絵を描きますが、
友達に映画の感想を聞いたらこんなもんかーって言ってたので、
ものをつくった事がないにせよ、ものをつくる人の気持ちが分からないと没入はできないのかもしれません。
また、事件のことを知らない人には、よくある人の死を使って感動を誘うやつかとか、漫画家が挫折から立ち直る話くらいにしか見られていないというのも分からなくはないです。
自分がこの作品に強く揺さぶられる条件が揃っていたことはこの上ない幸運だと思いました。
1700円はけっこう強気
公開初週の都内の上映館はずっと満席が続いてた本作。自分自身もクラスの中で絵がうまい人とされていたので(そういう子どもは一組に5人はいる)、藤野と京本二人の漫画熱と友情にグッときて目頭が熱くなった。ちなみに3つ隣の座席の青年は終盤の展開から、ずっと洟を啜っていた。鑑賞後に原作の無料公開部分を読んでみたところ(全部読めよ)、元からかなり映画的な作風ということもあるが、絵柄も話もほぼ原作を正しくなぞりながらアニメーションとして飛躍させる部分の表現もすばらしかった。
最近(というかここ30年ぐらい…爆)の漫画にはかなり疎いため元がジャンプ系の漫画とはつゆ知らず。藤本タツキのような作風の漫画家も抱えてヒットさせているところが、やはりジャンプの強さ、懐の深さなんだろうな…。
こういうのが増えて欲しい
人物描写がとてもよい。絵は上手いが話が作れない人と話は面白いが絵は普通の人、どちらの気持ちもよくわかる。
小4から始まるわけだが、人の成長も良くかけてるのではないだろうか。
序盤、藤野が嫌な奴なんじゃないかと感じるが小4がテングになるとあんなもんだろうとある意味納得。
絵を描いているときに話しかけられるだけでも相当煩わしいのだが、将来のことで説教とか・・・もの投げそう
映画と考えると雑な展開だと感じたが・・・30pの読み切りマンガと考えるこういう風にするよなあというのはある。
技術面ではソフト補間がちょっと気持ち悪い。
オープニングの家に寄るところなど所々気になるところがあった。
大事なことだが・・・
今作のような短尺で低料金の作品が増えてくれば劇場離れの対策になると考えるが、今のところ業界にはあまり期待できないよなあ。
漫画を読む時、
前を行く人の背中を見る、後から来る人を振り返る
7月24日(水)TOHOシネマズ日比谷で。
藤野が京本の存在を認識したのが4コマ漫画が学年新聞に並びで掲載された小学4年の時、画力の差に藤野はあせり努力するが画力の差は縮まらず、藤野は6年の途中で漫画を書くのを辞めてしまう。
初めて出会ったのが小学校卒業の日、担任に頼まれて引きこもりで式に来なかった京本に卒業証書を届けた時である。
京本に藤野の漫画が好きで「藤野先生」と呼ばれ、嬉しくてスキップして帰る藤野。
二人は一緒に漫画を書き始める。藤野が漫画を、京本が背景を。
漫画雑誌の懸賞に二人で描いた作品を藤野京の名で応募すると優勝、二人は賞金百万円を手にする。
引きこもりだった京本の手を引いて買い物へ、食事へと街へ連れ出す藤野。藤野の背中を見る京本。
二人の共作は漫画雑誌に何度も掲載される。高校を卒業したら連載を、と編集部から声が掛かるが、京本は共作を断りもっと絵が上手くなるために大学で美術を学ぶ事を選択する。藤野は、共作を継続する事を望むが、京本の希望を受け入れ、一人で連載を始める。
連載を始めた「シャークキック」は当たり、巻を重ねて行く。しかし、藤野は背景に満足がいかない(京本の背景が欲しいと思っていたに違いない)。
そんな時、ある事件が起きる…。
藤野に手を引かれた京本は藤野の背中を見ていたが、手を引いていた藤野は京本を振り返っていなかったようだ。だから、大学で美術を学びたいと京本に言われた時、藤野は戸惑う。京本の思いに気づいていなかったから。それが、あの時ああしていなければ、と言う思いに繋がっていったのではないか。
ラストで藤野は、京本の部屋から持って来た4コマ漫画を窓に貼り、漫画を描く。描き続ける。
カメラはフィックスしたままで、時間が流れ朝⇒昼⇒夕⇒夜となる。一日描き続けた藤野がドアを閉めて部屋を出て行くのがシルエットで判る。
58分と言う凝縮した時間の中に素晴らしい物語が紡がれた。
実写のような漫画のような
終盤、即「あ、京アニの」と思いました。
なんの予備知識もなく、Twitterなどsns界隈で
みなさんが静かにとても静かに
「ルックバック」見るんだ
と囁いていたので、その皆さんの静かな決意に
誘われて見てきました。
絵が上手い、漫画が上手い子の
この子にこの先何が起きるというのか、と
見守っていたら、まさかの事件。
京アニのあの事件が起きた時に感じた
何でそんなことが?
なんでそんな事に?
が映画を見て思いました。
そして京アニの事件の時に同じこと思ったんだ
ってことも思い出しました。
実写のような
漫画のような
そんな映画でした。
また見たら違う感想になるかな。
現代版「まんが道」とは違う、と思いきや
これは好きだった。
同等、それ以上?
原作既読というか、原作大好きというとこもあるでしょうが、音楽も相まってタイトルの所で少し「うるうる」きました。
観終わって思うと、原作とちゃんと向き合って、作家として勝負をしてるという事が伝わってきたのかもしれません。押山監督失礼ながら存じ上げませんでしたが、素晴らしいアニメ監督だと思います。
キャラが描けてる、背景がいい、線が活きてる。ほんと絵が素晴らしい。演出が澱みない。全てが効果的に感じました。映画で漫画の様な表現をやってる感じがしました。スラムダンクとは別の方向ですごいアニメでした。日本のアニメはホント、スゴい。
音楽がホントにいい。パンフは買わない人なのですがブルージャイアントぶりに買ってしまいました。その時にサントラも売ってたので悩まず即買いでした。(Amazon Musicにもありましたが、やはりここは非圧縮で聞いてみたいです)
主演二人のアクターは初声優とは思えない完成度の高さで、とくに河合優美さんはスゴい。感情表現、年齢などをちゃんと使い分けていて普通にうまい声優だと思ってしまいました。最初「これ河合優実さんよね。えっ、まじ。初声優の人?いや違うでしょ。」って当惑しました。好きな俳優の中の一人、清原果耶もうまかったが、それに匹敵するかそれ以上か。完全にやられました。
スラムダンクは原作者が監督をし作品への愛が詰まった映画になったのと同様に原作者と同じような『性(さが)?』もしくは『業?』を持っている監督だからこそ、原作への真摯さと愛情が溢れ出るような映画になっていると思います。
いかに漫画を描くのが大変で魅力的なことなのか。それを他メディアにする人も原作に対する同じ位の愛情(流石にここまでの愛情は難しいかもですが)、誠実さがないといけないのではないかと思いました。
円盤も買う予定にしています。(できれば4Kで出して欲しい)
次は「さよなら絵梨」が観てみたいです。
見てよかった
映画を映画館で観る事
持論だが、映画を映画館で観る最大の利点は何と言っても、上映中時間を忘れて作品に集中できる没入感にある。その点で『ルックバック』は映画館で観るべき作品であると言える。
本作は上映時間が58分で、通常の作品が90分だとすると2/3もない尺である。それなのに価格は1700円と知り、私は本作の鑑賞を一度躊躇してしまった。しかし口コミによる絶賛の嵐を受け、観に行く事を決意した。
鑑賞した結果は大満足だった。時間が短いとは全く感じず、それだけ物凄い密度と熱量を持った作品であった。実際映画館で映画を集中して観ることで、漫画に没頭する主人公2人により感情移入することが出来た。しかし、これが映画館でなく自宅のテレビでなんのけなしに観ていたらどうだっただろう。時計やスマホで時間を目にしながら、「あと半分か」「もうすぐ終わるな」と思って観ていたら尺の短さにつられて、作品本来の深い感動を得損なっていたかもしれない。そもそも本作の尺や、続編はほぼ無いと言っていい内容からしてテレビ放送は全く期待出来ない(あってEテレでワンチャン)。ならネット配信でいいかというと、そこにはシークバーという罠が潜んでいる。全画面にしても、何かの拍子でバーが表示されてしまうと「あと残り時間この位か…」という情報から後の展開を勘ぐってしまう邪念が生まれるのである。
映画を映画館で観る事は人生の貴重な時間をその作品に捧げるという事であり、だからこそ映画館で観た名作はより強く心に残るのだと思う。『ルックバック』はそれを捧げて惜しくない名作だった。
貴方がもし本作を観るか迷っているなら一刻も早い視聴をされることをオススメする。何故なら今だけ特典で「Original Storyboard」が付いてくるからである。これは藤本タツキ先生による原作ネーム(漫画の下描きの様な物)を全ページ収録したファン感涙の大変貴重な品である。原作漫画が484円(税込)なので、単純に考えて、ここでしか手に入らない非売品の漫画が一冊付いて1200円程度で映画が観れると思えば、そこまで抵抗はないかと思う。
とはいえ、特典は無くなり次第終了で公開から3週間以上経った今では私も入手を半ば諦めていた。しかし新宿バルト9の21日(日)ほぼ満席だった夕方の回で、幸いにも特典を手にする事ができた。26日からは第2弾の特典が配布される予定なのでそうなると入手は至難の業になるだろう。今ならまだ特典をゲットするチャンスがあるかもしれない、後悔する前に足を運んで欲しい。
振り返っちゃう・・・‼️
上映時間58分の小品ながら、少女から大人へと成長していく二人の女の子の軌跡が刻み込まれた名作ですね‼️学校新聞の四コマ漫画を担当してきた自信家の藤野と、不登校の京本。小学校の卒業式の日に初めて会った二人は意気投合、共作で漫画を描き続けるが・・・‼️出会い、友情を育み、共に夢を追いかけ、決別、そして永遠の別れ‼️誰もが経験するであろう人生の一大事が瑞々しく、そして美しく描かれてます‼️京本の葬式の後、藤野が小学校の卒業式の日に、自分と京本が出会わなかったらと振り返る(ルックバック)‼️大学で京本を襲った凶行を藤野が阻止し、そこから二人の友情が始まる‼️人間の人生にとって、誰もが後悔として抱える "あの時、違う行動をしていれば"‼️女の子の二人の友情物語でありながら、人生の儚さ、深さまで描き、ラスト、黙々と漫画を描き続ける藤野の後ろ姿は、希望に満ち溢れていて素晴らしかったです‼️
あの事件のことを考えると複雑だけど
原作未読。
漫画に情熱を傾ける2人の少女の青春ものとしては、短いながらもよくまとまっている。
画力は確かに京本の方があるけど、漫画家としてのセンスはどう見ても藤野の方が上で、京本の心が次第に漫画から離れていくのは必然であったように思う。
例の事件を彷彿とさせるあの展開については、ちょっと複雑。まだあの事件のことを割り切れていないから、触れてほしくなかった気もする。
作画は、派手なアクションがあるような作品だからこれでいいのかもしれないけれど、ところどころで違和感はあったかも。
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