「未来と現在、決して元には戻れないからこその決断の重要性を教えてくれる」ルックバック 中野祐治さんの映画レビュー(感想・評価)
未来と現在、決して元には戻れないからこその決断の重要性を教えてくれる
クリエイティブな仕事における才能、情熱、そして人との繋がりを軸として物語が展開される非常に奥深いものでした。
単なる青春ドラマではなく、ビジネスの成長やリーダーシップの本質に通じるテーマが数多く見えました。
一見、対照的な2人の少女(藤野と京本)が、それぞれの得意分野や情熱を活かしてお互いに切磋琢磨しながら夢を追いかける姿はチームワークの在り方を描いているようでした。
藤野の行動力や結果に対するこだわりは、ビジネスで言えば「プロジェクトを前進させる実行力」。一方、京本の職人的な集中力や繊細な技術は、「製品やサービスの品質を高める専門性」と捉えることが出来ます。
何かを成し遂げるために必要なのは、才能やスキルだけではなく「人との相互関係」だということを教えてくれました。しかしながら、後半ではバランスが崩壊し、関係に亀裂が生じます。自分の力を試したい京本の気持ち、一緒にやっていきたい藤野の気持ち、両方のことが大切だと思う反面、どこかで人生にとって選択を迫られるものだと感じました。
結果的には人は一人では生きていけないものの、選択は自分自身で行っていく必要があります。そのときに信関係がどう働くのか、、、物凄く考えさせられる展開でした。
過去の決断が現在にどのような影響を与えるかを問いかける構成は、長期的なビジョンを見据える大切さと、目の前で前進していくために突っ走る行動力の両方が必要であることを教えてくれました。
創造性やチームワーク、時間の使い方を考えさせられるこの作品では、
時に立ち止まり「過去を振り返る」ことで、未来をより良いものにするヒントが得られる。そんなメッセージを儚さを含みながらも静かに力強く描いているそんな作品でした。