「相互触発…背中を押す」ルックバック しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
相互触発…背中を押す
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Amazon Prime Videoで鑑賞。
原作マンガは未読。
マンガへの熱い想いが引き寄せたふたりが実は互いに触発し合っていたことが分かる序盤で、「これはすごく面白い青春物語が始まるぞ!」と云う予感に胸が高鳴ってしまった。
褒められるとすぐ調子に乗る藤野と、引きこもりの京本のキャラの書き分けが明確でしかも強烈なので、基本このふたりだけの画面だが、凄まじい牽引力で物語を引っ張っていく。
ふたりが交流を深めていく様子を、ただ映像のみで見せていく手法も良かった。セリフは無いが、表情などからどんどん仲良くなっていくのが分かるし、季節の流れも情緒があった。
ここまで仲良くなると、青春モノあるあるとして別離があって、紆余曲折を経てまた一緒にマンガを描く流れを予想したがその斜め上と云うか、かなり悲劇的な出来事が起きて呆然。
京本の悲劇は、事件の内容と京本と云う名前から「京アニ放火殺人事件」を想起させ、心が苦しくなった。才能あるクリエイターの命が失われると云うのはこう云うことなのか、と…
それからの展開が劇的。藤野のif妄想と京本の想いが藤野の背中を押す流れは冒頭の伏線が効いていて涙腺が緩んだ。仕事部屋に帰って早早、マンガを描く藤野の背中は、クリエイターの業や「それでも描くことをやめない」情熱など、いろいろなものを背負っているように見え、複雑な余韻だった。
[余談]
藤野の声を担当する河合優実氏だが、本当に作品に恵まれた俳優さんだなと思う。と言うか、河合優実氏よ。声の演技まで抜群に上手いだなんて、あなたに弱点はないのか!?
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