「子供の頃の夢中だった感情を思い出す作品」ルックバック きくさんさんの映画レビュー(感想・評価)
子供の頃の夢中だった感情を思い出す作品
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藤野と京本の表情や声から、感情表現がとても伝わってくる映画でした。子供のキラキラした純粋さや、好きなことに熱中する事の素晴らしさが描かれています。
特に藤野が雨の中の帰り道、感情が溢れ出してスキップするシーンが素晴らしかったです。
子供はいつだって自分を褒めて、認めて欲しいと思っています。藤野にとって漫画を褒められる事は、自己の存在意義になっていたのでしょう。一度は諦めたそれを、自分が認めたライバルだった京本に褒めてもらえた事は、天にも昇る気持ちだったと思います。
自分にも絵を褒められた経験があり、その時の嬉しかった感情が蘇るようでした。
ハッピーエンドとは言えない最後でした。ですがそれは、作者の"漫画を書く"という事に対しての無力感から、行き着かざるを得ないラストシーンだったのではないかと思います。
しかし、ラストシーンの讃美歌が、京本の死と藤野の背中に祈りを捧げるような優しい曲でした。それにより、苦しくても哀しくても、前を向く良いラストとなったと思います。
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