「祝!Amazonプライム・ビデオ世界同時配信」ルックバック Japanese_Idiotさんの映画レビュー(感想・評価)
祝!Amazonプライム・ビデオ世界同時配信
11月8日からAmazonプライム・ビデオで世界同時配信が開始されましたが、それ自体とても特別なことです。58分という短尺作品ですが、視聴フォーマットとしてVODは特にマッチすると感じます。作品は宝石箱のごとく素晴らしいカットが散りばめられています。VODならば何度でもリピートしたりお気に入りのシーンをストップモーションするなど、気の済むまで主人公二人の青春を追体験できます。
映画「ルックバック」は、私が大好きな(かれこれ30回ちかく読み返した)同名漫画を原作としています。漫画作品の時点で「足すべきものも引くべきものもない完璧な作品」です。そこへアニメーションとして追加される「色」「動き」「声」「音響」「音楽」といった要素が、押山監督の原作に対する深い理解と愛情のもとに神がかり的にブレンドされ、映画「ルックバック」として最高レベルの完成をみたと思います。
主演の河合優実と吉田美月喜の演技は素晴らしく、京本に方言を与えた判断も京本というキャラクターの魅力を一層引き出したと思います。作品未視聴の方にはまず劇場大画面での視聴をお勧めします。劇場の環境が視聴体験と感動をフルブーストしてくれるからです(私がそうだったように)。そのうえで続けざまにAmazonプライム・ビデオでの「漫画的な視聴」をなさってはいかがでしょう。
私は漫画の読書体験が好きです。コマを行きつ戻りつ「行間」を脳内映像としてあれこれ補完するのが好きです。アニメーションには決まった尺があり視聴中の(リアルの)時間の流れは一定ですが、漫画ではどのページをどのくらい味わって読むかは完全に読者に委ねられています。ひとコマひとコマ、作画の一本一本を慈しんで自分のペースで味わえます。
Amazonプライム・ビデオなら漫画視聴に近い楽しみ方ができます。原作漫画と映画を突き合わせて映像・演出を分析するのも楽しみです。私が一番好きなシークエンスは、ああ、、、そういう感想を書き出すと筆が止まらなくなりますね。
漫画「ルックバック」と映画「ルックバック」は双璧の金字塔なのです。