劇場公開日 2024年6月28日

「深淵な58分間」ルックバック 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0深淵な58分間

2024年8月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

事前情報ゼロだったので、冒頭のヘタウマな感じのアニメからぐいぐい引き込まれ、「なんだこれは!」と驚きました。新海監督のアニメもとても写実的で鮮やかな美しさがありますが、それとはまた違ったテイストで、とても身近な生活感のある描写に引き込まれました。天候が晴れから曇り、雨から雪へと変化に富んでいたり、朝、昼、夜という時間経過が風景の変化として丁寧に表現されていて、時の流れが無意識のうちに伝わってきたように思えます。そうそう、「となりのトトロ」(88)のあらゆるシーンがいきいきと描かれている感じとも似ている気がしました。劇中に主人公の藤野(河合優実)と京本(吉田美月喜)が描く四コマ漫画が出てくるせいか、それを描いている二人の世界がリアルに感じられました。構成に全く無駄がなく、緩急のバランスも絶妙で、58分間とは思えない濃密で深遠な映画体験でした。台詞もよく考えられていてハッとさせられるものが随所にあり、声の演技も「声優」とは違うトーンが作品の雰囲気を独特なものにしているように感じました。音楽も彼女たちの心情にしっくりくるものばかりで、あらゆるシーンが心の奥深くに染みてきました。先の展開が全く読めなかったのもよかったです。アニメ史に残る名作ではないでしょうか。

赤ヒゲ
赤ヒゲさんのコメント
2025年3月23日

ひな様

コメント、ありがとうございます。

>「ルックバック」の意味、ずっと考えています。

過去を振り返るってことかなって思ってますが、色々な意味があるのかもしれませんね。「ずっと考える」に共感します。私は自分を反芻動物だと思っていて、過去の作品、本で知った言葉などを時々思い出しては、考えるのを趣味としています(笑)。

赤ヒゲでした。

赤ヒゲ
ひなさんのコメント
2025年3月20日

赤ヒゲさま
『侍タイ』と『ルックバック』に共感、ありがとうございます。

「ルックバック」の意味、ずっと考えています。
「振り返って見る」「背中を見る」「背景画を見る」「過去を振り返る」…
またいつかこの作品を思い出した時、何か気付くのかもしれません。

ひな