「没頭し継続できることが才能」ルックバック kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
没頭し継続できることが才能
才能っていうものは、好きなことにどれだけの没頭できるか、そしてそれを続けることができるかだ。センスみたいなものもちろん必要だったりするが、センスがあっても続けられない人は開花させることができない。
序盤に藤野がひたすら描き続けるシーンを見てそんなことを思った本作。絵を描くということにおいて京本は藤野を上回る才能を持っていたという流れが好きだ。藤野と京本が惹かれ合い、ともに漫画を作る流れもいい。絵を描くことと漫画を描くのは別の才能ってことだ。
結構長いスパンの物語のはずなのに上映時間はとてもコンパクト。時間の流れを表現するのがとても巧みだった。短いシーンでも、2人がどれだけ協力し努力して漫画を描き上げていったのかがわかる。漫画家として成功し始める描写もいい。
とてもリアルな(作者の実体験がベースでもおかしくないような雰囲気)印象だったけど、終わり方はとてもマンガ的。でも、こんな展開にしないと悲しみを受け止め、前に進むことができないかもしれない。随分と油断していたがその悲しみにどっぷりと浸ってしまった。
とてもいい映画だったが、唯一受け入れがたかったのが藤野の性格。ちょいちょい挟まれる彼女の微妙にイヤーな発言に、ちょっぴりイラッとさせられた。これは相性みたいなものだから仕方ない。
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