「先に鑑賞された人達に感謝」ルックバック ニャーコさんの映画レビュー(感想・評価)
先に鑑賞された人達に感謝
「切ない」
エンドロールが終わった瞬間の気持ちであり、感想を凝縮した一言です。
涙が出るわけでもなく、心臓を鷲掴みにされたように胸が締めつけられ、主題歌の「Light song」が散華のように頭の中に降り積もり続けました。
鑑賞後に原作を読み返して驚きました。
①原作がそのまま映画になっている
②映画としての魅力を燦然と放っている
この①②が美しく両立しています。
原作を読んだ人、知らない人両方に勧められると思いました。
そしてnakamuraさんの音楽が作品世界に寄り添い、盛り上げており、ラストで流れるLight songに心が震えました。
舞台挨拶のインタビューで「大きな意味としての賛歌」と主題歌について述べられていましたが、私の中では理不尽に命を奪われた人と残された人への鎮魂と慰撫の歌に思えて切なくなりました。
特に好きな点は、藤野の4コマ漫画をアニメーションにしているシーンです。原作の展開を知っていても楽しませてくれる監督の遊び心もあるのかな、と個人的に解釈しています。
中々観ることが出来ない中、鑑賞した人たちの口コミの影響なのか封切りから1ヶ月を経て、手近な映画館での上映が行われました。
今日観られたのは先に鑑賞された皆さんのお陰です。感謝の極みです。
〈2回目鑑賞後〉
1回目は原作を読んでいるがゆえに切ない気持ちが先に立ちました。
2回目ではようやく喜びの表現をきちんと受け取れました。
特に雨の中の藤野の歓喜のシーンには、
かつて小学生だった自分の姿を重ねました。
嬉しすぎて嬉しすぎて、全身で喜びを発散しないとこの喜びの置きどころが分からない感じ、懐かしいです。
理由が思い出せないくらい昔の喜びの感情がすくい上げられ、元気を頂いた思いです。