「映画を映画館で観る事」ルックバック ぷらす兄さんさんの映画レビュー(感想・評価)
映画を映画館で観る事
持論だが、映画を映画館で観る最大の利点は何と言っても、上映中時間を忘れて作品に集中できる没入感にある。その点で『ルックバック』は映画館で観るべき作品であると言える。
本作は上映時間が58分で、通常の作品が90分だとすると2/3もない尺である。それなのに価格は1700円と知り、私は本作の鑑賞を一度躊躇してしまった。しかし口コミによる絶賛の嵐を受け、観に行く事を決意した。
鑑賞した結果は大満足だった。時間が短いとは全く感じず、それだけ物凄い密度と熱量を持った作品であった。実際映画館で映画を集中して観ることで、漫画に没頭する主人公2人により感情移入することが出来た。しかし、これが映画館でなく自宅のテレビでなんのけなしに観ていたらどうだっただろう。時計やスマホで時間を目にしながら、「あと半分か」「もうすぐ終わるな」と思って観ていたら尺の短さにつられて、作品本来の深い感動を得損なっていたかもしれない。そもそも本作の尺や、続編はほぼ無いと言っていい内容からしてテレビ放送は全く期待出来ない(あってEテレでワンチャン)。ならネット配信でいいかというと、そこにはシークバーという罠が潜んでいる。全画面にしても、何かの拍子でバーが表示されてしまうと「あと残り時間この位か…」という情報から後の展開を勘ぐってしまう邪念が生まれるのである。
映画を映画館で観る事は人生の貴重な時間をその作品に捧げるという事であり、だからこそ映画館で観た名作はより強く心に残るのだと思う。『ルックバック』はそれを捧げて惜しくない名作だった。
貴方がもし本作を観るか迷っているなら一刻も早い視聴をされることをオススメする。何故なら今だけ特典で「Original Storyboard」が付いてくるからである。これは藤本タツキ先生による原作ネーム(漫画の下描きの様な物)を全ページ収録したファン感涙の大変貴重な品である。原作漫画が484円(税込)なので、単純に考えて、ここでしか手に入らない非売品の漫画が一冊付いて1200円程度で映画が観れると思えば、そこまで抵抗はないかと思う。
とはいえ、特典は無くなり次第終了で公開から3週間以上経った今では私も入手を半ば諦めていた。しかし新宿バルト9の21日(日)ほぼ満席だった夕方の回で、幸いにも特典を手にする事ができた。26日からは第2弾の特典が配布される予定なのでそうなると入手は至難の業になるだろう。今ならまだ特典をゲットするチャンスがあるかもしれない、後悔する前に足を運んで欲しい。