劇場公開日 2024年6月28日

「努力家たち」ルックバック ruさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0努力家たち

2024年7月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

原作読んでから行きました。

ダンスシーンがどう描かれているかが作品成功の要だと思うのですが、何も足さず何も引かず、鮮やかにまた素朴に、あの名前のつけようのない感情を展開していて素晴らしかったです。私はこれで既に「あぁ良かった。満足」となりました。

ダンスシーンの直前、歩が投稿用作品を構想していると言ったとき「出まかせ言っちゃったな〜まぁ、10代あるあるだな」と思いませんでしたか?
実はそれが心に秘めた野望で、京本の言葉に背中を押され、消えかけた夢が息を吹き返す。人生の消失点がくるっと反転し…あとは無限に、伸びていくのだ!!

鳥山先生追悼の時も身にしみてわかりましたが、漫画家さんとは何よりもまず、優れた言葉の使い手なのだなと。本作を観てまた実感しました。

今ほど努力すること・学ぶことの価値が揺らいでいる時代はないように思います。
コピペ、トレース、アレンジすれば作品になる。ありとあらゆる音源はネット上にある。スマホ1秒で答えがわかる。
努力に意味などあるのかと疑問が浮かぶこともあるでしょう。
それでも比喩でなく指に血を滲ませて、描きまくる。楽器を弾きまくる。受験なら膨大な知識と格闘する。その原動力は「思い」。
上手くなりたい。自分をもっと憧れに近づけたい。止められないそんな思いに気づけた人はラッキーです。

エンドロールには、そんな努力家たちのお名前がずらりと並ぶ。この思いの束。AIには決して滲ませることができない滋味のような、匂いのようなもの。

受験生なら、夏休みの時間は貴重ですよね。でも、モチベーション上げにそのうち1時間、本作鑑賞に使うのはどうかな。急がば回れで、ぐっと背中を押してもらえる…かも?

余談:
頭の中で、エンドロールにはリコーダーで演奏された「Don't Look Back In Anger」が流れるかと思っていましたw
実際には素晴らしいレクイエムで、ちょっと自分が恥ずかしかったですw

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