Ike Boys イケボーイズのレビュー・感想・評価
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この映画も、映画内のDVDのような、一部のマニアに支持される作品になるのだろうか
2024.6.18 一部字幕 TOHOシネマズ二条
2021年のアメリカ映画(80分、G)
日本の特撮マニアがあるDVDを見てスーパーパワーを手に入れる様子を描いたヒーロー映画
監督はエリック・マキーバー
脚本はエリック・マキーバー&ジェフ・ハマー
原題の『Iké Boys』は「パワーを得た少年たち」という意味
「Iké」はアイボ語で「強さ」を意味する言葉
物語は、日本のとある場所にて秘密会議が開かれ、人類を救うために「あるビデオを作ること」が決まる様子が描かれて始まる
そのビデオにて啓発をしようとしたものの失敗し、その映像がどこかに消えてしまった
それから数十年後、舞台はアメリカのオクラホマの田舎町へと移っていく
そこには、日本の特撮やアニメを信奉している高校生ショーン(クイン・ロード)がいて、彼は親友のヴィクラム(ローナック・ガンディ)と昼夜を問わず、その話題で盛り上がっていた
彼らは、スクールカーストは最底辺で、クラスメイトのハンター(サム・アシュビィ)たちからバカにされる毎日だった
ある日、ショーンはレア度の高いマニアックなDVDを見つけ、ヴィクラムにその貴重さを力説する
いまいち伝わらなかったものの、今度その鑑賞会をしようということになった
そんな折、日本からの留学生ミキ(比嘉クリスティーナ)がやっていて、彼女もそれに興味があるという
そこで3人でビデオを見ることになったのだが、それを見始めた途端、3人は雷撃を受けて気絶してしまう
だが、その後ショーンはビームを放てるようになり、ヴィクラムも怪力を手に入れてしまう
そして、二人の体は徐々にスーパーヒーローと怪獣へと変化していくのである
映画は、特撮とアニメが登場し、彼らの周りでは大きな陰謀が渦巻いている、という展開を迎える
このクオリティが昭和時代を彷彿させるものになっていて、そう言ったノリが好きたっだらOKだと思う
個人的には、ほぼ全編棒読みに近いミキが気になってしまい、展開もゆるゆるなので眠気に襲われてしまった
岩松了がこれまでにないくらいノリノリだなあとか、釈由美子の生存確認ができたぐらいの記憶しか持てず、面白かったのかは何とも言えない
怪力を手に入れていきなりモテモテになるヴィクラムとか、力を入れて使命感に駆られるショーンなどは見ていて面白かったものの、何ともまとまりのない話だったなあと思ってしまった
いずれにせよ、「懐かしいなあ」という感じの作品で、懐古的な感情で見られたらOKだとは思うが、物語がかなり浅めのように思えた
映像をチープにしたり、棒読みっぽいセリフを演出したりしているのはわざとだと思うのだが、これを映画館で観る意味があるのかは何とも言えないところだろうか
本作も劇中のDVDと同じような末路を辿りそうな雰囲気があるので、そう言った意味では「映画館で観た」というのが語種になる作品なのかなと思った
熱狂より愛を込めて
特にあらすじも読んでなかったし、上映館が少ないせいか予告を一回も観なかったなーと色々考えつつも、日本特撮への愛が詰まった楽しい特撮が観れるならそれでいいや!と寝ぼけながらもルンルンで珍しく劇場の真ん中の座席に着席しました。
幻(大コケ)日本映画を観て特別な力を得た少年2人と留学生の少女が世界を救う…といった壮大な話に見えてとってもミニマムかつコミカルな作品で、こういうものを好んで観る身としては流れてくれて良かったですし、なぜTOHOがOKを出したのかいう疑問も含めて面白かったです。
日本特撮への愛を持った作品となると名作「サイコ・ゴアマン」と比較してしまい、あちらの方がはっちゃけていましたし、怪人もマスコットも可愛げがあったりと、予算的な問題もあるんだとは思いますが、好きの原動力が「サイコ・ゴアマン」のが上だったと思いました。
ポスターにもガッツリ出てる仮面ヒーローが結構活躍してくれるのかな?と思って観ていたら、なぜか小さめ(キャストの方よりも縮んでる気がするのは見せ方なのかアクターの方に合わせてしまったのか)で座席から転げ落ちそうになりましたが、「メタルマン」みたいにパーツが永久的に外れないことを申し訳ないと言われるより、映画を観た結果パーツが徐々に体についていって離れないという理不尽に襲われる主人公ボーイはちょっと可哀想でした笑
対抗する怪人も割とイカつめデザインなのに役者さんの声が気持ち高めのせいかあまりおどろおどろしさを感じない不思議で、ヒロインがインディアンにのめり込んだらなんか教祖になったりと、日本でもこんな作品滅多に作られんぞとぶっ飛んだヲタク要素は変にクセになりました。
特撮シーンは古き良き、伝統的なもので、近年の作品には観られないコテコテなアクションも楽しめましたし、急に足枷外してぶっ飛んでみたり、アニメーションも差し込んでみたりと監督含め製作陣が嬉々として作ってそうで微笑ましかったです。
金子監督がカメオ出演してたり、樋口監督がナレーションをやっていたり、釈由美子さんが重要な役で出ていたりと、日本キャストの誘致に力が入っているのか、キャストが熱意に応えてくれたのか、どっちにしろ熱の感じられるものでよかったです。
もっと弾けてくれても良かったのになぁと思いましたが、監督への日本カルチャーへの愛は存分に伝わってきました。
監督のトークショーに行ってみたいし、また違う作品が上映されるとなったら喜んで観に行くことでしょう。
鑑賞日 6/16
鑑賞時間 9:10〜10:50
座席 C-14
ようこそ、"nerd" の世界へ!?
意地悪で nerd を小馬鹿にする同じクラスのハンターからショーンはこのように聞かれます。
How do you say "eat a dick" in Japanese?
Shawn:チ〇ポ 食べたいください?
※これは誤字ではありません。このように聞こえましたマル
ところで80年代に "アメ リカにおける家族の 「伝統的」構造" は、終わったという人がいるなら... ショーンがヴィクに次のように映画の冒頭で父親の事を少しシニカルに批判します。
He doesn't understand anything. He
can't even tell the difference between
Japan and China.
I haven't seen my dad in a month.
全体の38%を占める大卒者を含め、一般的アメリカ人では日本と中華(差別用語ではありません)が地球儀でどこにあるかなんて、サラサラ知らないのは当然の人たちが、まして、その違いの区別がつかないことが、当たり前ならば、特にアメリカの笑えないジョークの連続でカナダ人の風習や発音を冷笑的におちょくった映画『Yoga Hosers(2016)』が反面教師とするなら、そのことを日本人のあたしからするとカナダ人特有の発音「Canadian Raising」をアイロニー的に示した...
"Sorry 'boot that"
※(“out and about” をカナダの人は、“oot and aboot” と発音する場合が多いとアメリカ人は言う。ただし、 oat and a boat とも)
とJKコンビのアホ娘たちが客に言う時に大げさに使っているのに彼らの発音の違いですら知り由もない稚拙なエイプとしては、アメリカ人もカナダ人も区別がつきやしない... 日本人がカナダ人に対して「あらっ、やだ!? あなた英語も話すし~ぃ、アメリカ人じゃ~ぁなかったの?」なんて口が滑ろうものなら... アメリカ人と同じように先住民族の文化や言語を破壊するための政策が行われたカナダでは希少価値の頭のいいイーゴゥのバランスが取れている方なら「おバカな尻尾のないイ〇ローがまた変なこと言ってら~ぁ」 なんて済ませるかもね?
(※カナダでは、2021年に先住民の同化政策の寄宿学校跡地から3才と思われる子供を含めた未成年215人の遺体が発見されている。政府から依頼された宗教団体(カトリック系)によって19世紀から1990年代まで運営されていた寄宿学校が139校ほどあったとされ、全容を解決するにはまだまだ時間がかかるらしい。)
そんなことよりも
"I haven't seen my dad in a month." の方が映画としたら大事です。
話は変わって、
本作を観る前は映画の題名『Iké Boys』の "Iké" がどういう意味か?分からなかった。調べてみると e の上にある点の
「アキュート・アクセント( ´ )」は『Pokémon』と同じ "e" を発音するためで、その事はショーンとヴィクとの会話より知ることに...(ただし、その事は別の映画サイトでも但し書きにありました。)
Vik:Are you sure that's the right movie?
Shawn:Well, yeah. The title says "Iké."
Vik:Icky?
Shawn:Yeah, yeah, "ee-kay." The
imperative for "Go."
Vik:I thought "Iké Man" meant like,
hot guy.
この映画にはもう一つのサブトピックとしての
VISION QUEST
がある。それは1999年に放送された Sci-Fi シリーズより...
※スタートレック・ヴォイジャーの副長であり、ネイティブアメリカンを祖先に持つチャコティが:5S19E『眩惑のカオス・スペース』で異星人との交信に使われている。少し解釈や意味が違うけど
この映画は等身大で優しい映画なんですマス
2000年を迎える前にY2K問題で散々騒いだのはいい思い出として、日本の80年代と90年代を代表するポップカルチャーとオクラホマで起こる出来事のシンクロニシティをバックグラウンドとして、誰もが一度は通過しないといけない10代の儀礼的親子関係や恋愛や友情、そして「自分は一体全体、誰で何なんだ?」なんてことを探す旅へのシンパシーに対して、表現は悪いかもしれないけど甘くて淡いノスタルジックへのラブレターとなる映画なのかもしれない。その事は、監督のエリック・マキーバーがインタビュアーから自伝的要素の占める割合を聞かれた時にこのように答えている。(映画サイト Cinema Scholars の2021.10.2のインタビュー記事より)
A great deal of it. I mean, the lead character, Shawn, is
mostly based off of me. The character of Vik is loosely
inspired by my best friend. Miki is an amalgam of
various close Japanese female friends that I’ve met
since going to Tokyo. And then there’s just a lot of little
things in there. I mean the character of Shawn’s father,
he’s kind of a mixture of several childhood friends. And
there’s a lot of little subtle things in there, like the school
that we shot, that’s the school I grew up at.
ソフビの販促のためのギミック...着ぐるみ文化
本編で実写とシンクロさせる2Dアニメは、フランスと台湾のチームが製作をし、ラストのシーンは日本人も参加している。その事は、テレビで60年代から90年代にかけて安価なアメリカのアニメーションと日本やアジア諸国との絵づらやフィルム・スコアの微妙な違いを知っている監督ならではのことで敬意の表れであり、また神秘主義的で儀式の意味合いの強いネイティブ・アメリカンの "VISION QUEST" を描くあたり、キリスト教至上主義のコケージョンとしては稀なのかもしれない。
とにもかくにもファンタジー色のファクターを含む映画を拝見するとトラウマのようにキングが気に食わないモノ(映画や脚本)に対して放った言葉を思い出さずにはいられない。
‘The Shining’ Is “Like A Big, Beautiful
Cadillac With No Engine Inside It”
返歌のように
自己満の強い原作者であり時代の寵児である小説家よりも超感覚的知覚:ESP(イー・エス・ピー)に興味があったから『シャイニング』の製作をしたきっかけだと語るキューブリックがフランスの映画評論家シメントとの対談でこんなことを
I believe fantasy stories at their best serve the same
function for us that fairy tales and mythology formerly
did. The current popularity of fantasy, particularly in
films, suggests that popular culture, at least, isn't
getting what it wants from realism. The nineteenth
century was the golden age of realistic fiction. The
twentieth century may be the golden age of fantasy.
今の映画産業を見ていると20世紀のみならず、その事は21世紀になっても引き継がれていると思えるかも?
そして... 恋愛やファンタジーって核分裂と同じなのよね? 1968年の映画『Charly』では主人公のチャーリーがあることを尋ねた時に下記のセリフよりアリスの返事が "YES" だと思っていたあたし...
でもその陰には悲しいセオリーとして
Alice:Didn't Einstein say...
that everything was in motion,
that nothing ever stands still?
ところで個人的なことで恐縮するけれど映画が始まって、間もなく登場するショーンの空手の先生:ニュート・グラフストロム役の役者さんが「どっかで見たことがあるけど誰だっけ~ぇ?」なんて考えていると... 『タイタニック』で嫌な野郎?失礼、紳士役を演じていたビリー・ゼインさんでした。釈さんは、今話題のゴジラでお馴染みの東宝映画『ゴジラ×メカゴジラ 』の演技が監督にはうけたそうです。
みきちゃんが探していた答え...
"The thing I was looking for was
right there inside me all along."
...は、"me" を "you" に換えれば『オズの魔法使い』風な名言となりんすってか?
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