「原作はかなり面白いんだけどなぁ」室町無頼 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)
原作はかなり面白いんだけどなぁ
応仁の乱直前、
牢人をはじめとした無頼の徒が
歴史の表舞台に姿を現して、
下剋上の世のさきがけとなった。
その一人が、徳政一揆の首謀者となった
蓮田兵衛(はすだひょうえ)。
そしてもう一人が、侍所の目付(とはいえ素性の知れぬ)
骨皮道賢(ほねかわどうけん)。
物語は、実在したこの二人と、
数え年十七の少年、才蔵を中心に
時代の変わり目を描いてゆく。
彼らがそれぞれ、
やせ我慢と達観と
青白く燃える情熱の炎を秘めて、
不条理な世界に立ち向かう
傑作歴史ハードボイルド小説。
ただし、
困窮する庶民の主要キャラがいなくて、
そのへんのリアリティに厚みがないのが、
ちょっと食い足りないところ。
* * *
で、その映画化。
監督も、困窮する庶民の描き方が足らん、と思ったらしく、
その辺りの描写が加えられている。
ただ、描き方が、かなりステレオタイプ。
おそらく監督は(あるいはプロデューサーか)
エンタメ度マシマシにしたかったんだろう。
だから、
わかりやすい笑いを入れて、
わかりやすい敵をこさえて、
キャラもわかりやすいステレオタイプにしたんだろう。
本来は、皆もうちょっと
深みのあるキャラだと思うんだがなぁ。
とくに才蔵が当初、
子犬キャンキャンみたいになっちまってるのは、
非常に残念。
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