劇場公開日 2025年1月17日

「私達が、果たせなかったこと」室町無頼 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5私達が、果たせなかったこと

2025年1月29日
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 つい考えちゃうんです。何故、今、この時代に、この映画が現れたのかを。エンタメ映画である以上、誰かが、何かを求めるが故に、この映画は創られたはず。

 ヒトを苦しめるのは、おカネ?、暴力?、無慈悲?。

 おカネ持ちになって、幸せになりたい。でも、それは、他者の不幸せを担保にすることでしか得られない?。

 富がもたらす不平等は、誰が糺す?。

 徳政令を求めるのは、昔話なのか?、現世なのか?。

 護れなかった命は、誰がつぐなう?。

 無頼に生きる術がない私に、何ができる?。

 野辺にたたずむ親娘こそ、私?。

 そんな私に憐れみを捧げる侠客は、誰?。

 痛快娯楽映画のはずなのに、ヒトの痛みと苦しみと哀しみで、スクリーンが滲むのは、どうして?。

 私達は、何を果たせずにいるの?。

 令和の無頼に告ぐ

 あなた方は、何を果たそうとしている?。

 「あかんべぇ一休」
 「室町無頼」の5年後に起こる、応仁の大乱を、風変わりな頓知を駆使する、型破りな僧目線で描いた傑作コミック。救いようの無いヒトの愚かさ、総てを受け入れ、総てを棄てる悟りの境地から見える修羅の世界の虚しさ。そんな世界を憐れむことなく、愛し続けた僧がいた…。
 併せお読み下さい。

機動戦士・チャングム