「時代劇復興の狼煙になってほしい」室町無頼 シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
時代劇復興の狼煙になってほしい
最近、時代劇の力作がどんどん公開されていて嬉しい限りです。東映さんも『十一人の賊軍』に続いて、今回はあまり知られていない室町時代が舞台だけど、そこを逆手に取って自由にのびのびと撮っているのがいい感じです。一人の武士が一揆を主導する内容で、とにかく話しのテンポがよく、主人公が旧友で幕府の手先をうまくいなしながら、着々と仲間を増やしながら反乱計画を進めて行く過程が面白いです。拾った少年を棒術の修行で鍛えるシーンも大昔のカンフー映画みたいで面白いけど、割と尺を取っているので全体のバランスが少し悪くなるのは痛し痒し。その分、主人公と幕府側の旧友との絡みや因縁をもう少し描いてほしかったです。それでも、特権階級からは"虫"と蔑まれた浪人や民衆の惨状を丁寧に描きながら、格差というより閉鎖社会を破壊する最後の30分の一斉蜂起には強いカタルシスを感じます。役者では、飄々としながらも、強者への厳しい表情を使い分ける大泉洋が抜群でした。この人のぬけぬけとした話しっぷりが最高です。棒術の達人役の長尾謙杜はセリフ廻しのひどさを補って余りある身体能力の高さをバトルシーンで発揮していました。他の役者の皆さんも殺陣の巧さだけどなく、アナーキーでマッドな造形がよかったです。
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みかずきさんのコメント
2025年1月25日
『今回はあまり知られていない室町時代が舞台だけど、そこを逆手に取って自由にのびのびと撮っているのがいい感じです。』
同感です。
時代劇ではあまり取り上げなかった室町時代で、歴史書に一行だけ名を記した英傑・蓮田兵衛が主人公でしたので、自由度があってGoodでした。これからも、知られざる時代の知られざる英傑を発掘して欲しいです。時代劇の復興と未来のために。
ー以上ー