Cloud クラウドのレビュー・感想・評価
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大好きな黒沢映画がまたひとつ増えた
黒沢清らしい男臭さ
名優達の無駄遣いかも
やっぱ、危ない橋渡るとろくなことないですね。
目に見える悪意
そもそもがおかしい話だとは思わないか?
たかだか愚か者一人のために人生を棒に振る意味や意義がどこにあるというのか?バイトに雇ってもらえた程度で元雇い主の窮地に駆けつける義理がどこにある?頂き女子がターゲットを死ぬ寸前まで泳がせる必要がある?命より重要な商材など本当に存在する?
決定的に動機が欠如している。人々は幽霊のように、あるいはクラウド上を流れる情報のように画面を漂い、それらの交点上にときおり感情のふりをした暴力が明滅する。動機などはじめからない。誰もが空虚な人形に過ぎない。
動機が欠如しているのであればなぜ画面に運動が生じるのか?本作において人々を駆動させているのは、この世界に瀰漫する悪意だ。
『CURE』然り『回路』然り、映画の中を跳梁する悪は特定の個人や機関に還元されることなく、むしろ反対に非人称的次元へと際限なく拡散していく。黒沢清の映画世界において悪意はさながら汎神論のごとく世界全体を満たし、人々を破茶滅茶な方向に突き動かしている。
したがって「あのシーンで誰それは何を考えていたのか?」などと思案することにはほとんど意味がない。本作はそもそも人間(の内面)を描く気がない。あくまで人間という視覚的な共通コードを介して不可視の観念をカメラ=光学機械の前に引き摺り下ろすことが目的なのだから。
淡々と画面に蓄積していく動き(=結果)の中にいかんともしがたい不気味ささえ発見できたならば、それ以上何も望む必要はない。あなたが視覚を通じて感じ取ったそれは、純粋な悪意そのものなのだ。
物理世界に召喚された悪意はいよいよ膨れ上がり、可視的な超常現象として顕現する。吉井と助手を乗せた車から覗く暗雲はマグマのように燃え滾り、雷鳴を轟かせている。それはまさしく地獄の入り口と形容するに相応しい黙示録的光景だった。さすがにここはCGだったけど(笑)
観ていて気持ちいいシーンがいくつもあった。特に終盤の銃撃戦のくだりは『蛇の道』『蜘蛛の瞳』といったVシネ時代の黒沢清を彷彿とさせるような乾きと殺伐さが感じられた。廃工場の立体交差を彼ほど巧く使える監督はいないんじゃないだろうか。廃工場の内部から吉井の先輩が運転する黒い車が雪の降る屋外に飛び出す一連のショットはまさしく奇跡のような出来栄えだった。
黒沢清本人が「70手前で好きなことやれてマジで良かった♬」と豪語しているだけのことはある一作だったともいえるし、どうということはないいつもの黒沢清映画だったともいえる。
映画監督が同じ主題を死ぬまで再奏し続けることは素晴らしいことなのだ、小津安二郎もジョン・フォードもみんなそうだった、と蓮實重彦御大が語っていたので、その言を借りて私も本作に手放しの賞賛を送ることとする。
ネット時代の殺意という連帯感。
「難しくないんで、サクッと見れます。お時間ある時どうぞ」と言われたが黒沢清だからそうはいかんやろうと思った、その予想通りであった。
なんか後味わるく、これが終わりじゃなくて始まりだって、、闇世界どっぷり突入だよね。
菅田氏も極力演技抑え目にして頑張っているがもう少し渋い若者の方が良かったかも知れない。これはルックでキャスティングの問題なんでどうにもならない。
でもこんな可愛い子が裏稼業にハマっていくのが良いのだ!と考える事もできる。
名前も知らないただ憎しみだけで繋がった人達が怖い。そしてただ1人のプロ、アシスタント君の存在感も凄かった。あ、松重さんもなかなか美味しい役回りだった。あれだけでぐっと閉まる。
車のカット窓外合成は雲きれいだけど、どうにもパースがあってないのが気になった。
「転売、ダメ、ゼッタイ!」・・・の、はずが???
映画Cloud鑑賞
15分経過
転売はダメだよなぁ…
30分経過
やっぱり転売はダメだよなぁ…
1時間経過
ああもう転売なんてするから…
ラスト30分
い、一体何を見せられているんだ…???
中盤までは免許交付後に見せられる交通ルール守りましょう動画のごとく、よく出来た転売禁止啓発映画のような主人公転落ストーリーだったのに、ラストの30分で怒濤の展開に。
そして、一部オタク(腐)女子が喜びそうな佐野のキャラはなんなんだ。
「あの転売ヤーのどこが良かったの・・・?顔?顔が菅田将暉だから???」と全力で問いただしたい気分である。金を稼ぐ能力に長けていたとも言いがたいし、やっぱり顔か。
正直、脚本にもツッコミどころは多いし台詞回しがいかにも台詞っぽいなど粗はあるが、主人公の殺されかけて殺してなお転売した商品の売れ行きが気になる狂いっぷりに、ドラマ相棒「節約殺人」で、人殺しをして捕まってなお、去り際に節約のため電気を消すことを忘れない主婦を思い出した。
荒川良々のなんともいえない気持ち悪さがとても良かった(褒めてる)
前半と後半でガラッと変わる
光と影
転売屋は罪?
後半に失速した感じ
分かり易い不条理劇
『蛇の道』『Chime』と、今年に入って相次いで公開された黒沢清作品に本当にガッカリさせられ続けて来た僕にとっては久々に黒沢らしさが感じられる不条理ホラーでした。
あこぎな手を使って買い集めた品を高価で転売する、いわゆるテンバイヤーの男の下に恨みを募らせる人々・SNSで煽られた人々が集まりぶっ殺しの暴力が炸裂し始めます。その混乱と暴力こそ黒沢映画の持ち味でしょう。
でもね、本作で描かれるのは「分かり易い不条理」「解説できる理不尽」であると感じられました。『憐みの3章』の「訳の分からぬ不条理」「解説などできない理不尽」を観て混乱の陶酔を感じた後だと本作は物足りなく感じてしまいました。映画の観客は本当に我儘だなと思います。はい。
急ハンドルぅ!!
展開の急ハンドルっぷりにビックリ!
だけどジャンプスケアに頼らずあれだけ怖いシーンを作るのは流石の演出力
工場勤務のかたわら、転売ヤーとしての活動もする吉井
投機的な転売で入ってきた600万を手に彼は仕事を辞めてしまう
転売活動に特化した自宅兼倉庫を借り、北関東の湖の畔で恋人と暮らし始める
しかし、その生活はどす黒い暗雲に包まれていくのだった・・・
いささか乱暴なまとめ方ではあるが、登場人物はみんな壊れている。欠けている
仮の人生、仮の目標、仮の成功に支配されて行き当たりばったりの行動に皆が終始する
そんな中で唯一、主人公の感情が爆発するシーンは「彼の中でこれだけは本物だったのか」と伝わってくる名場面だった
終盤(個人的には松重豊さんの出たシーンから)の急ハンドルっぷりには驚かされたが、総じて強く記憶に残った一本だ
デジタル的な「クラウド」でもあり、自分でもハッキリとさせられない感情を含む形の無いものに振り回される人々、そして現実にも充満する濁った空気
思い返すほどに解釈の幅を広げる秀逸なタイトルだと感じた
沸き上がった憎悪の雲海、菅田将暉は呑みこまれるのか
1 しがない転売屋が多数から恨まれ窮地に陥いり、一線を越えようとする姿を描く。
2 封切り前に番宣のCMが頻繁に流れていて、興味を温めていたところ不入りで早めの打切りかと思え、平日夜の回に行くと自分を含め二人だけだった。
3 映画は、菅田将暉のあこぎな買い叩きのシーンから始まる。工場で働きながらネット販売で利ざやを稼ぐ日々。仕入れのネタ探しや売行きを確認するのにアパートでパソコンとにらめっこ。なんとも貧乏臭く社会の底辺で喘ぐ。ところが冒頭で仕入れたものが六百万円の儲けとなった。ここまでが前段。菅田の近辺で不穏な動きや謎の人物の接近があり、サスペンスの様相をなす。
4 小金を得た彼は、工場をやめ郊外に引っ越す。地元の若者を作業員に雇い転売を専業とするが、ブランド物のコピー品など手口がやばくなっていく。損を被り菅田将暉に恨みを持つ者が増え、ヤバイ連中が集まり復讐の為に襲撃に向かってくる。襲撃に至るまでは中弛みでサスペンスすらなく面白くない。
5 襲撃後は逃走劇からの銃撃戦となるが意外な人物が表れ菅田の窮地を救う。そして一線を越えていく。襲撃については、やる方もやられる方も既に正気を失っている。特にライフルを使う二人は狂気に支配されていた。菅田も襲われながら売行きと商品のことを心配する始末。さらに菅田を助けた人物は、ど素人みたいな顔をしながら淡々と反撃し、裏社会の顔役的な存在であることが分かる。人物の出し方としては唐突過ぎると思う。その一方、銃撃戦は、狂気が蔓延する場面において、得体の知れない人物や底辺同士による抗争を描いたナンセンス劇として評価はしたい。とは言え、全体的にはバランスの悪い作品となった。
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