劇場公開日 2024年9月27日

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「いかに現代の日本社会でリアルに銃撃戦を描くか」Cloud クラウド mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0いかに現代の日本社会でリアルに銃撃戦を描くか

2025年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

ちょっと楽しい映画でした。私にとって。

世間的には、「現代社会に潜む“集団狂気”描くサスペンス・スリラー」なんて言われているけど、私には、いかに現代の日本社会でリアルに銃撃戦を描くか、ということを黒沢監督はやりたかったように思えた。それは半分ぐらい成功している。その辺りが見ていて楽しかった。

まあ90年代の「Vシネマ」をバージョンアップしたような映画でした。

理屈の部分もそれなりにできている(ネット社会の転売文化の怖さを描いている)。だが多分監督本人は、それほど深刻に考えてない。程々に観客がその恐怖感をリアルに感じられればそれでよかったのでは?と思う。ただこの理屈部分をしっかり描かないとこの銃撃戦やアクションシーンが成立しない。いわば、アクション映画の土台(建物の基礎工事のようなもの)でこれがしっかりできていないと肝心のアクションがつまらなくなる。
その辺が映画という媒体の面白さですね。アクションシーンだけの映画のつまらなさ。アクションシーンがいかによくできていても。

映画自体は、ペキンパーの「わらの犬」の影響や、フランス映画っぽい雰囲気もあり、この点も好みだった。
ラストは、まるで「わらの犬」を思わせる。このラストがいい。

最近の黒沢清の映画は、私好み。前作の「蛇の道」も。
昔の「カリスマ」なんかは、???だった。「リアル 完全なる首長竜の日」も?だった。
古いのではやはりアクションものというか刑事ものスリラーの「CURE」は良かったけど。

黒沢清のアクション映画の良さは、銃の扱い方(今どきの「ジョン・ウイック」風の扱い方ではなく、60年代〜70年代前半の頃のアラン・ドロンやスティーブ・マックイーンのそれを思い出す)。今回も、乾いた甲高い銃声で、撃ち方もそっけなくてリアルな感じがよかった。

出来としては 3.5
好みとしては 4.5

mac-in
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