「分かり易い不条理劇」Cloud クラウド La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
分かり易い不条理劇
『蛇の道』『Chime』と、今年に入って相次いで公開された黒沢清作品に本当にガッカリさせられ続けて来た僕にとっては久々に黒沢らしさが感じられる不条理ホラーでした。
あこぎな手を使って買い集めた品を高価で転売する、いわゆるテンバイヤーの男の下に恨みを募らせる人々・SNSで煽られた人々が集まりぶっ殺しの暴力が炸裂し始めます。その混乱と暴力こそ黒沢映画の持ち味でしょう。
でもね、本作で描かれるのは「分かり易い不条理」「解説できる理不尽」であると感じられました。『憐みの3章』の「訳の分からぬ不条理」「解説などできない理不尽」を観て混乱の陶酔を感じた後だと本作は物足りなく感じてしまいました。映画の観客は本当に我儘だなと思います。はい。
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