「猫は可愛かった」クワイエット・プレイス DAY 1 サルゴリラさんの映画レビュー(感想・評価)
猫は可愛かった
何を以て面白いと評価するか、この点を前作前々作との比較と定義した場合においてだけは、面白いと言えるかもしれない。少なくとも前ほど際立って苛立つようなキャラクターや展開はなかったように見える。
ただ評価基準を絶対的に置いた場合、下の上といったところか。この映画の最大の評価ポイントは、猫が可愛いということだろう。この猫も確かにツッコミどころはあるのだが、可愛さの前には無力と化す。
一方でそれ以外の要素に関しては酷い。前作前々作から引き継いだ設定のちぐはぐさ。まず以て映画という映像媒体で音を出してはいけないという設定自体、かなり難しいことだと言える。そこに挑戦した心意気は買おう。しかし荷が勝ちすぎているというのが実際のところ。
とはいえこの辺は多くの人が引っかかるであろうポイントなのであげるのはやめておこう。私がもっとも引っかかった点は、ジャンプスケアだ。私はジャンプスケアというものが嫌いだ。いや、演出としては好きなのだが、これをホラーとして認めることは出来ないと言うべきか。
ジャンプスケアを全面に押し出した作品ならまだいいだろう。しかしこの作品は静寂がテーマ。ならばジリジリくる怖さで勝負するべきではないだろうか。いやまぁ、人それぞれと言われたらそうなのだが、正直『静かな中で大きい音出したらビックリするよね!』見たいな魂胆が見え見えだし、そもそも予想通りすぎて驚かんわ。
そしてタイトル。『クワイエット・プレイス Day 1』。Day1というのは単に1日目という意味ではなく、怪物が降り立った直後、という意味だと思う。故に最初の1日目が一瞬で過ぎ去ったのはまだ良しとする。けれど直後のことが書きたいのであれば、もっと手探り感を出すべきではないか? 未知の化け物と戦う、あるいは生き残るのであれば、生き残るために知識は必要だ。化け物が何に反応し何に反応しないのか。3作目だからカットしたのかと思ったが、そもそもこのシリーズは音に反応する基準がご都合主義だ。きっと設定自体ないか雑なのだと思う。もしもちゃんとした設定があってこれならば非常に残念だ。
総じて、この作品の評価は低い。今しがた述べたジャンプスケアうんぬんかんぬんについては、私の個人的な感想に過ぎないので、これは流しても良い。しかし設定のちぐはぐさは改善すべきだろう。ハリボテはよくない、ノイズになる。
さて、ここまで評価してきて星2をつけたのは、やはり猫の存在だ。上述してある通り、この作品は猫の存在だけで評価を得ているといっても過言ではない。逆に言えば、猫がいなければ下の下だろう。話が面白い面白くないとか以前に、設定がおかしいというのは本当にダメだ。これに関しては、人のそれは気づきやすく、自分のそれは気づきにくいという厄介な性質があるので、良い子のみんなはちゃんと周りの大人たちに見てもらおうね。