「家族とは?血のつながりとは?」かくしごと ゆきさんの映画レビュー(感想・評価)
家族とは?血のつながりとは?
歪んだ愛に翻弄される息子が不憫で仕方なかった、男達と行きずりの関係を繰り返す、毒親まさみんの「MOTHER」
不倫相手の赤ちゃんを誘拐し、自らの子として育てる、永作ちゃんの「八日目の蝉」
擬似家族の、幸せだが犯罪を繰り返す日常を描きながら、血のつながりとは?絆とは?大いに問いかけられた、リリーさくらの「万引き家族」 etc...
本作と似た様なテーマを、日本の名監督達も扱っているほどですから、やはり、メッセージは強烈です。
家族って?血のつながりって?と、
毎度毎度考えさせられ、そして答えが出ないのです。
趣里ちゃんの〝生きてるだけで疲れちゃうんだぁーー!!〟でお馴染み(?)「生きてるだけで、愛。」の関根光才監督が脚本も手掛けた本作。
前作未読。知りませんでした。
東京で暮らしていた絵本作家の千紗子(杏ちゃん)は疎遠だった父・孝蔵(奥田さん)が認知症で徘徊をするようになったと連絡を受け、渋々田舎に戻る。
幼馴染の久江(佐津川さん)と呑んだ帰り道、飲酒運転の車に同乗。少年と接触事故を起こしてしまう。
シンママで公務員の久江は事故がバレるのを恐れ、警察に通報するのを拒む。千紗子も仕方なくなり、少年を父が住む実家に連れて帰る。
少年を手当てをしていると、明らかに事故で出来た怪我ではない、虐待の痕跡を発見。意識を取り戻した少年は記憶も失っていて。。
過去に自分の息子を海の事故で亡くしていた千紗子は、この少年を親の元に返す気になれずに自分の子・拓末として育てる覚悟を決める。
理由はあれど、千紗子は少年を「誘拐」し
「洗脳」している。
行動だけ見れば犯罪者なのだ。
ここまでは、これまでにもあった作品に似ていたりするのだが、
「認知症の父」という血のつながりのある家族の存在も重要なテーマに組み込まれ、今までとは少し違った角度の視点も加わっていた。
構成として「虐待されている他人の子」と
「認知症の父」の2本柱が同じボリュームで描かれているため、どちらのパートに心動かされたかによって、見え方が変わる作品だったと思う。
私はファザコンなので(爆w)
孝蔵パートは、色々と、考える所がありました。。
父もこれから確実に老いて行き、認知症になるかもしれない。
ならなくても、身体も思い通りに動かなくなるし、忘れっぽくもなるだろう。
今まで簡単に出来ていた事が出来なくなる焦りや苛立ち。怒りっぽくなる老人も多いと聞く。
病気にならなくても不安なのに、認知症になった孝蔵の、言葉では伝えられない苦しみが、見ていて本当に辛かった。
だから、病気の父親に対して嫌悪感丸出しの千紗子の対応には若干引いてしまった。
2人の溝が決定的になった過去が明かされてからも、もうちょっと優しくしてあげて〜泣と思って見ていた。
でも亀田先生(酒向さん)が優しい!!
千紗子に認知症への理解を促す件り、仏像を彫っている孝蔵にかける、仕事中にごめんね、と気遣う言葉。さり気なくコンパスを取ってもらう流れ。。
子供の頃からの友人であり、主治医であり、孝蔵の1番の理解者。
本当に心強い存在でした。
と、奥田さん、酒向さんの、演技を超えた演技に心鷲掴みにされ、熱く語ったのですが、、
やはり、千紗子と拓末(洋一)パートに重きを置いて欲しかったかな。
拓末の笑顔に胸が張り裂けそうになった。
3人で過ごした時間は短かったし、介護の大変さもあったけど、かけがえのないものだったはず。
しかし長くは続かない、、と、皆わかっていただろうから余計に辛い。
(粘土アートが泣ける。)
だけど、これからの拓末(洋一)の人生を思うと、もっともっと、幸せの更新をしていって欲しいと願わずにいられない。
全ての子供には安らげる場所を。。
虐待なんてされている子供はいなくなれば良い。
みんな笑って暮らして欲しい。
衣食住の心配をせず、毎日元気で過ごして欲しい。
虐待している奴は◯ねばいい。
確かにリアリティ不足な部分も多い。
(挙げたらキリがない程にw)
だからこの作品は、どれだけ引っかかっても目をつぶれるか、、で、鑑賞後の感想が変わってくるから!
ある意味、上手くスルーして、一生懸命観て下さいw
あんつん大好きなのに、あの目の奥に
存在する狂気の演技が怖くて怖くて苦手になりそうだった(°▽°)
結局千紗子が全部引き受けてしまうのか?と、やり切れない思いがまとわりついていたのだが、
ラストシーン。
拓末、凛としていて、強かった!泣
がんばったね!!泣
共感ありがとうございます。
奥田父さん、最後どんな形ででも出てきて喋って欲しかったですね。不謹慎な話ですが、安藤父が血を吐き出して驚愕!? と同時にカイカン・・でした。
酒匂さんも本当に芸達者!
月曜日に放映中の『アンメット』でも出番は少ないのに、この映画とは反対の役柄をサラッとリアルに演じてます。
あの少年。
杏さんと子どもとの写真を見つけた時の表情と杏さんが雑誌に載ってみんなが騒いでる様子を一人だけなんとなく客観視してた(ように私には見えた)。
私の頭の中では、もしやサスペンス?と囁くヤツもいて…怖いでしょ⁈