「「大人の事情」で「子供の事情」を踏みにじってはならない」アニマル ぼくたちと動物のこと penさんの映画レビュー(感想・評価)
「大人の事情」で「子供の事情」を踏みにじってはならない
南極の氷が全て溶けると、海面が60メートル上昇するという試算があります。そうなると例えば東京都区部はほぼ全滅になりますし、世界でもその影響は甚大で多くの「住む場所」がなくなることをまず想像します。しかしながらそれだけではなくて、地球環境の破壊や乱獲なども通して生物連鎖のバランスが崩れ「食料」がなくなることがより本質的な問題ではないかということがこの作品を見てよくわかりました。
まだあどけなさの残る彼らの素朴な、しかし真摯な問いに、大人達の対応はさまざまでしたが、真摯にむきあおうとしている人達でさえ、その余命は二人の余命の半分以下でしょうか。よってその言葉の意味するところの重みは、多分、二人にとっては倍以上なのだと思います。それだけに、「大人の事情」で「子供の事情」をどこか踏みにじっているようなところがどうしても出てくる点、その点が何より切なく感じられました。
「ごめんね」という感じです。
さて、先日の米国大統領選のテレビ討論結果は、環境対策などいらない。二酸化炭素と温暖化は関係ないと、かつて豪語したトランプ前大統領優勢が67%だそうです。欧州議会でも極右躍進で環境対策に黄信号がともっています。世界でもっとも高齢化・シルバー民主主義が進んでいる日本は言わずもがな。
「大人の事情」はいよいよその勢いを増し「子供の事情」はいよいよ隅に追いやられようとしているようです。この作品を見てその先におぼろげながら見えたのは、わずか500万年の人類の歴史が、ひょっとするとあと100年たらず(一瞬です)で終わるかもしれないという忌まわしいシナリオです。確率は数%かもしれませんが、徐々に増加している点が恐ろしいです。
何かできることはないのだろうか。
残念ながら私は彼らの様にヴィーガンなどではなく、動物性タンパク質大好きな罪深き大人ですが、(^_^)、そんなことを改めて感じさせる作品でした。