ありふれた教室のレビュー・感想・評価
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不寛容方式ついてググった方が、この状況に陥るジレンマを理解しやすいと思う
2024.5.23 字幕 アップリンク京都
2022年のドイツ映画(99分、G)
ある事件をきっかけに崩壊する小学校を描いたヒューマンホラー
監督はイルケル・チャタク
脚本はヨハネス・ドゥンガー&イルケル・チャタク
原題の『Das Lehrerzimmer』は「職員室(先生の部屋)」という意味
物語の舞台はドイツのハンブルク
そこにある小学校では、職員室にて盗難事件が多発していた
新しく入った清掃業者などが疑惑に上るものの決定的なものは出てこない
赴任して数ヶ月のカーラ・ノヴァク(レオニー・ベルシュ)は、子どもたちにも嫌疑が及んでいる状況を鑑みて、自身のパソコンを監視カメラ代わりにして、自分のモノが盗まれないかを隠し撮りすることになった
案の定、財布からお金が盗まれていて、カーラはカメラ映像を確認することになった
そこには縞模様の白いブラウスの人物が映っていて、彼女は事務員のクーン(エーファ・レーバウ)を犯人だと考える
ことを荒立てたくなくて個人的に話し合いをしようとするものの、クーンは取り合うこともなく否定する
そこでカーラがベーナ校長(アンネ=カトリン・グミッヒ)に映像を見せると、校長も同じような嫌疑を持った
だが、教頭のドゥデク(ラファエル・シュタホビアク)は「盗撮自体が人格権の侵害だ」と言い、行為そのものは看過し難いものだと結論づけられた
物語はそこで終わらず、クーンの息子オスカー(レオナルド・ステニッチ)はいじめられるようになり、どこからか「クーンが窃盗犯である」と断定される噂が流れてしまう
そして、生徒と保護者の間でもその話題が尽きることなく広がり続けてしまう
さらに、保護者への説明会に乱入したクーンは、カーラを名指しして「この女は憶測で犯人扱いする」と断罪するのである
映画は、正義感に駆られたカーラの勇足がとんでもない展開に発展する様子を描いていく
どこでも起こりそうな問題であるものの、その後の展開に関しては、国によって違うように思えた
この小学校では、「不寛容方式(Zero Tolerance)」によって処罰が決められていて、これは「権限者によって裁量が変更されることを禁ずる」というもので、それによって「問題は切り分けられる」という傾向がある
事前に決められた罰則を必ず科さねばならないというものがあり、たとえカーラの行動が原因でオスカーが暴れても、オスカーは「暴れたことによる罰則」を科されるという意味になる
この方針はカーラと学校の行動をさらに行き場のないものにしていくのだが、その都度「不寛容方式」であることを確認する場面があった
この方式が前提としてあるので、カーラの盗撮には罰則が科せられ、それとは関係なく、オスカーの行動も処罰される
いわば、罪の起因を無視して行動を罰するという状況になっていて、それで良いのかどうかというところがあるように思えた
この方式を採用しているという前提が、その後の対処を縛ることになり、また今回のケースではエスカレートする要因になっているので、一連を切り分けるべきかどうか、というのは議論の対象になり得るのではないだろうか
いずれにせよ、かなりストレスフルな内容で、不寛容方式の採択の有無に関わらず、同じような展開になってしまう部分は多いように思う
ラストは不寛容方式の典型的な結末になっているが、この処罰に至る背景において、オスカーに非があるかはなんとも言えないところがもどかしい
真犯人が誰かというのは放置されたまま終わるのだが、あの映像で犯行を断定する迂闊さが最大の原因であると思う
また、学校の対応がいろんなものに配慮し過ぎて渋滞している部分もあるので、早々に公的な裁きを介入させた方が良かったようにも思う
警察などへの被害届を出したのかどうかはわからないが、個人が盗撮をして犯罪を断定しても、第三者を介しない状況で話をするのも無茶ことだと言えるのではないだろうか
このストレス、以前、ドイツ人と仕事をしていた時のことを思い出します
学校で起こった事件に対して、主人公である教師の取った行動が波紋を呼んで、同僚、父兄、生徒を巻き込んで、波紋が広がっている展開に、惹き付けられました。日本のドラマなら、熱血教師に丸め込まれ、最後は悪い子も改心して終わりという感じかも知れませんが、この映画は、エンディングも、容赦なく頑なでした。
以前、ドイツ人のパートナーと仕事をしていたことがあり、その当時のストレスを思い出しました。問題が発生しても、解決を優先し、その為には、みんな我慢しようと話していると、ドイツ人の彼だけが、自分のせいじゃないし、我慢する理由もない。自分にはそれを求める権利があるという主張を曲げず、毎回のように、怒鳴り合いになっていました。
ドイツ人全員がそうだと言うつもりはありませんが、こんな環境の学校で育ったら、あの彼みたいな大人になるわな・・・と妙に納得してしまいました。
ちなみに、そのドイツ人の彼とは、10年ほど、一緒に仕事をしました。最後は、ちゃんと仲良く握手をしましたので、今では、いい思い出です。
サスペンススリラーじゃなくて社会派映画だった
移民問題を抱えるドイツの教育現場の現状って、かなりややこしそう。主人公のノヴァク先生もポーランド人だし。
発端は学校内で起こった小銭の盗難事件、どうしても移民の子が犯人じゃないかと疑われてしまう。ある先生たちは無記名による犯人探しをしようとして、反対派の先生たちとギクシャクしてしまうし、職員室内で起こったこそ泥を捕まえようと、ノヴァク先生が自分のPCの録画機能を使ったことが、より反対派と賛成派(生徒をも巻き込んで)の対立を煽ってしまう。日本の西川口あたりだったらどういう風に話が進んでいくかなと思った。
結局真犯人はわからず仕舞いだったのが、モヤモヤしてしまった。
すごかった
ほぼ武富健治さんの漫画『鈴木先生』だ。学校での盗難事件から様々な問題がからみあう。主人公の先生に味方がいなすぎではないだろうか。少なくともそれ以降盗難事件が発生していなかったら、被害者は味方になるだろう。あの動画の続きは語られないのだけど、他に上着に触れる人がいなかったら確定だ。校長先生が率先してカメラを設置すべきだし、威張っているだけで主人公を突き放すし、さっぱり頼りにならない。保護者会の時ももっとちゃんと話し合って欲しい。
音楽や演出で、やたらと緊張感があって下手なホラー映画よりハラハラする。
目が離せないストーリー
1秒たりとも目が離せない作品で、考え
させられた作品だった。教育のあり方も
考えさせられた作品でもある。
作品は見事。観客に問いかけるストーリー
展開と言えよう。
カーラは正義感でオスカーを守りたかったし、
クラスを守りたかった。しかし、その正義感あふれる行動が生徒、親、同僚に不信感と誤解を
与えてしまう。もし、私がカーラだったらと置き換えて観ると辛い作品でもあった。
作品は素晴らしい。しかし、教育関係者、教師の方、小学生、中学生がいるご家庭の方は全ての事を忘れて鑑賞される事を薦めます。
はて?
エビデンスとロウ
あるドイツの小学校で起こった、現金盗難事件の話 あの映像だけで用務員のおばさんが裁判をして有罪となるかは疑問だが… エビデンスも用務員の子供に…
仮に用務員が窃盗をしたとして、子供はドンだけ母親が好きなこと それとも貧乏なことを理解しての行動なのか…(多分母子家庭で子供が持ってきた全ての小遣い銭を考えると…)
あの担任がとった行動は全く間違っていない(盗撮についてもたまたまとしておけば…証拠としては認められるはず日本では)が、田舎独特のソリダリティに巻き込まれた感があった しかし生徒のボイコットや先生どおしのやり取りも民主主義らしさ(ドイツの映画だから❔)があらゆるところにちりばめられていたが、先生もメンタル的にかなりマイっていたと思います(トイレのごみ袋で過呼吸対処するのも圧巻)
先生って大変だ〰️ しかし今の日本で先生に成りたくない(デモしか先生)のは痛いほどわかる内容でした
不寛容(Zero Tolerance)方式
公開1週目のサービスデイ、シネスイッチ銀座の午前回は客入り少なくガラガラです。
99分と決して長くはない作品ですが、終始キリキリとイライラで観終わって非常に疲れます。
生徒は多人種混在で個性も豊かですが、思ったよりも真面目な様子でいわゆる「学級崩壊」というようなことはありません。むしろポイントとなりそうなのは学校側。作品冒頭にて気になるワード「不寛容(Zero Tolerance)方式」が出てきますが、正直よく解っていなかったので鑑賞後すぐにスマホで調べ、Wikipediaのその項目を斜め読み。なるほど。でも、今回はこれを学校教育の現場に取り入れることの是非については度外視しようかと。邦題にある『ありふれた教室』とある通り、どこにでも起こりうるトラブル(事件以前)であり、この方式の採用による問題といった作品ではないと思ったから。ちなみに原題『Das Lehrerzimmer』は「職員室」の意です。
カーラ(レオニー・ベネシュ)は、「教育」に集中させてくれない多忙な状況と次々に発生する揉め事に悩まされながらも、日々真摯に取り組みながら「生徒のため」を考えて良き教育者であることに努めています。普段の授業を観ていても、生徒に対する問題の提起の仕方はよく考えられており、生徒自身に考えさせる機会を与えて押し付けることはしません。(特に、体育の授業での「6人一緒に台に乗り続ける方法」はお互いの寛容さがあって出来ることで、それを彼が解いて、且つ壊すシーンは印象的です。)生徒一人一人にきちんと目配せをして、相対し方にも注意を払いつつ向き合うことで落ちこぼれを作らないよう実に熱心に働くカーラ。しかし、その聡明さと目配せの良さが裏目に出た「ある日の職員室で起きたトラブル」をきっかけに、転がるように事態が悪化していくのを見せられ続けます。
まず誰が見ても明らかな問題は絶対的な「リソース不足」。人が足りないため、代講など皆少なからず複数の仕事を兼務しており、職員室内は常に空気の悪さを感じます。そして、厄介ごとに対してやや拙速で雑な対処が目につきます。そこはやはり問題解決の専門家と言うわけではありませんから、どうしても教師たちの能力不足は否めません。またそもそも問題を起こらなくするための抑止力的なセキュリティは殆どなされていません。或いはそれを補う言い訳としての「抑止のための不寛容方式採用」なのではと穿ってみるしかありません。さらに質の悪いことに、最後の砦であるはずの校長がまた困ったもので「私には十分で確かな経験がある」のごり押し一本やり。経験は能力を示すものではないですし、職責としては如何なものかと思える言動にイラつきます。って言うか、この状況こそが今までの蓄積によって起こっていることだと考えれば、その経験こそが原因で、本作は起こるべくして起こったことではないかと思うのです。
本作は教育現場における社会問題を題材とした作品でありつつ、どんどんと追い込まれるカーラの様子を見続けるサスペンスホラーとしての面白みもあり、賞レースなどでの実績も納得の出来栄えです。なかなかしんどい作品ですが、興味があれば是非。空いてます。。
徐々に追いつめられていく姿から目を離せない
昔はなりたい職業の上位に学校の先生が入っていた気がする。今や一部の志ある若者しか目指さない過酷な職業という印象すらある。学級崩壊、コンプライアンスの厳しさ、多大な業務量、そしてモンペアの対応。どれもつらそうだ。心を病んでしまう教員が多いのも納得してしまう。
この映画を観て思ったのは、ドイツも日本とそんなに変わらないじゃないかということ。日本でも移民の生徒が多くなっているし。ただ、校内で盗難がこんなに頻発するのは考えにくいけど。
自席のノートパソコンのカメラで盗難の現場を押さえた教員のカーラ。穏便に事を収めようとしたが、徐々に問題が大きくなる様がとてもスリリング。一つひとつの選択が大きく間違っているわけではないが、ボタンのかけ違いが物事の歪みをどんどん大きくしていく。犯人が誰かというサスペンスではなく、カーラが追いつめられていくスリラーとして面白かった。
だからスッキリしない終わり方でも仕方ない。あれはあれでリアルな感じがする。いろいろと考えさせられる映画だった。決定的な証拠とは言えないけどあそこまで言い張れるメンタリティとか、すべての生徒を守るべきなんだろうかとか、聡明な子であっても母への愛で目が曇ってしまうのかとか。生徒、生徒の保護者、教員の信頼関係が教育現場のそれではなく、もはや顧客とサービス提供者のそれになってしまっていると感じた。それはそれでいいのかもしれないが、個人的には違和感を覚えてしまう。
エンドロールのオーケストラ音楽はいかにして演奏できたのか
【オススメしたい人】
・教育に興味がある人
・正しいやり方について悩んだことがある人
・そして、日本の学校に通ったことがある人
日本の義務教育では自分で考える力を養うことが難しい、なんてのはしばしば聞かれる指摘だが今作でもそこが気になった
「これが普通の授業なんだったら、そりゃ考える力が問われるわ」と思わされる
でもそれは本筋でもないんだよね。そんな教育を受ける生徒達と、受けて育った大人達がぶつかる難問の物語
舞台はドイツ。主人公は中学1年(相当)の教師
校内で繰り返される窃盗に学校全体が困らされていた
他に悩みがあってつい盗みを働いてしまったとある生徒。主人公はその子に語りかけ、最後は反省してみんなで卒業を向かえる
・・・なんて話じゃないんだな。そんなきれいな話では許してくれない
いびつなのか真っすぐなのかも分からない物語
映画の序盤オーケストラの調音前のようなバラバラの音が使われていた
エンドロールでは音の合ったクラシックが流れる
この学校がいかに調律されたかを見ることは誰にとっても価値があるはずだ
ドイツの公立小学校の様子、独の職場の雰囲気がわかる
女教師が、校内で起きた盗難事件の対応で誤解が生まれ、大問題に発展していく。
生徒からも、同僚からも、責められ。。
ドイツの職員会議の様子が興味深い。校長は皆の意見を聞く。子供の意見も聞く。
悪意の無い事でも、人は誤解し、人を攻撃し、分かりあう事は無い、分断。
あるいは分断は 解決できないし 、それに抗わず 受け入れろとのメッセージ。
ドイツの公立小学校の様子、独の職場の雰囲気がわかる。
「向き合う」だけでなく「寄り添う」ことも大切だ
カンニングにしろ、授業中のサボりにしろ、窃盗にしろ、悪いことをした人間が誰も謝らないのはどうしたことだろう?それどころか、反抗的な態度を取ったり、開き直ったり、逆恨みしたりと、やりたい放題なのは、権利意識に関する「お国柄」の違いによるものなのだろうか?
特に、窃盗の容疑については、それが、謂れのない濡れ衣だったとしても、ふてくされて「謝罪しろ」と噛みつくのではなく、弁明するなり、反論するなりして、自らの身の潔白を証明するべきではないのか?(そうしない時点で、罪を認めてしまっているようなものだが・・・)
そうした「悪い奴ら」にしっかりと向き合い、誠意を持って彼らに接しようとしている主人公が、逆に非難され、追い詰められ、消耗していく展開には、相当にストレスが溜まるし、その理不尽さと不条理さには、モヤモヤしたり、イライラさせられっぱなしだった。
彼女が、窃盗犯を見つけるためにパソコンで動画を撮ったことが、保護者から叱され、生徒たちの不信感を招き、教師たちの間に亀裂を生むのだが、「動画の何が悪いのか?」と思ってしまうのは、やはり、人権意識の違いだろうか?
ただ、主人公に落ち度があったのも確かで、どうせ動画を撮るのなら、犯人が明確に識別できるような構図で撮影するべきだっただろうし、それができなかったのであれば、敢えて容疑者を「泳がせ」て、現行犯として捕まえられる機会を待つべきだっただろう。
確定的な証拠もないまま、疑わしい人物を犯人扱いしてしまった主人公や校長の対応は、相手に良心があり、簡単に自白するだろうと妄信した「性善説」に基づくもので、「不寛容」を謳う割にはお粗末としか言いようがない。
ラストでは、この映画が、犯人探しのミステリーではなく、それぞれの正義が衝突する様子を描いた人間ドラマであったことが明らかになるのだが、最後まで生徒に寄り添う(「向き合う」ではないところがポイントか?)先生であろうとする主人公の姿は印象的である。
声高に権利や主張を振りかざさなくても、彼女が差し出したルービックキューブのように、相手にそっと「思い」を伝えることはできるのだということが分かり、ギスギスし通しで息苦しかった物語の末に、少しホッとすることができた。
スリリングな展開に驚愕させられます
タイトル通りのありふれた教室での一部始終を、緊迫のサスペンスで描く一級の映画作品。先進国ドイツの公立小学校の一コマですが、日本でもこんなことは多分日常茶飯の出来事かと。松たか子の「告白」2010年、是枝裕和の「怪物」2023年、テレビドラマ・天海祐希の「女王の教室」2005年などでも問題提起されてますね。ほぼ正方形の窮屈なスクリーンサイズで展開される、全編キリキリと神経を逆なでさせられるような迫力の熟成が凄い。
完全に全編学校の中だけで描かれる、EUの北側諸国では当たり前のように原色の「青」があちこちに使われる学校内が舞台の総て。もちろん教室から職員室、廊下から体育館そして敷地内に限定されるが一応屋外も。しかし、本作はホラーではありません、超常現象もゾンビもサイコパスもモンスターも変態も一切登場しません。皆ごくフツーの一般人、そう私達と全く同じで全く同じ次元に居る。その仔細な人間関係がちょっとしたボタンの掛け違いで恐怖のどん底に陥られるわけです。
舞台となる小学校は「不寛容」をアピールしているわけで、仔細な事もとことん原因と対策を講ずる立派な方針のようで、だから、まあまあ、では済まない。それは長い試行錯誤を経て決めた学校なりの方針なんでしょうから。細やかな窃盗事件が校内で起きたようだ、犯人探しに生徒を誘導尋問にまで追い立てるのはその証左。こんな学校に新学期より転任してきた女性教師カーラが、自らの財布の中身を確認の上、ジャケットのポケットにしまいそのまま職員室に置いたままに、ご丁寧にパソコンで動画撮影まで施した上で。案の定、財布の中身が減っており映画は大きく動き出す。
被害者にも関わらずカーラは人間不信の地獄に叩き付けられる展開に、でも気丈にも彼女は冷静を装い事を生徒に寄り添って何とか収束しようと尽力するも、これでもかの罵詈雑言の渦中に。ああすればよかった、こんな事するんじゃなかった、全ては後の祭り。しかし、カーラの言動はすべて観客の納得行く範疇で、周囲の思わぬリアクションにカーラともども観客は苛まれる仕組み。理想主義者が管理社会のがんじがらめに翻弄させられる悲劇でもある。それはちょっとやり過ぎでは・・・と言ったところで不寛容はもう誰にも止められない。この辺りの追い込み描写が流石の力量を発揮し映画的興奮を生み出す。
日本だったら、そりゃないでしょと思うかも知れませんが、生徒も親も言わなきゃ損な意識は全く同じでしょう。生徒新聞も随分と強烈ですが、日本で言ったら中学生に該当する上級生の年齢でしょう。親の集まりだってあんなもんでは済まないでしょ日本でも。現役の先生方が鑑賞されたら、とてもじゃないけれど、冷静には観られないのではないでしょうか?
結局、学校事務の被疑者女性は確かに盗ったのか否か、映画は答えを出さずに、その息子の反骨精神を祭り上げて映画は終わる。真実はどちらでも、その経緯をこそ描きたかったわけで。物事の手順に正解があるはずもない、自らがベストと考えた行動が、どっちに混んんでも非難は避けられないのが今ってわけです。恐ろしい。原題は「先生の部屋」すなわち職員室なんですね。
中島みゆきじゃなくてメンデルスゾーン
期待度◎鑑賞後の満足度☆ 紛れもなく傑作。途中から涙が…これは”ありふれた教室“ではなく“ありふれた世界”の話物。僕たちは何て息苦しい世界に生きているのだろう。映画は安易な答えを示さない。当然だ。
①今年公開された洋画、特にヨーロッパ映画はドキュメンタリーも含めここ数年に無い程傑作・秀作・佳作が多い。年末の自己ベストテン選出に悩みそう。
②本作もベルリン二冠も当たり前の出来。
③おかしいと言えば最初からおかしい。
生徒にクラスメートを売るような事をさせて、その上秘密にするように口止めするなんて。
秘密なんて絶対に漏れるのに。ましてや相手は子供だぞ。
だから問題は生徒ではなく先生なんじゃないんかい?と思ってしまった(原題もそもそも“教室”ではなく「職員室」だし)。
④カーラが謂わば“盗撮”したのも決して良くはないことだが、冒頭の先生達の対応を見ていると、生徒を守りたい気持ちから出た行為だと許してやりたい気持ちにはなる。
ただ、動画に思いもかけぬ人物らしきものが映っていたことから事態は一気に動き出す。
そこからの予測不能なスリリングな展開からは目が離せなくなる。
③
名探偵もヒーローも現れない生々しさにイライラ
教育に携わる人間として、この映画に出てくる教室は、本当に「ありふれ...
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