劇場公開日 2024年5月17日

ありふれた教室のレビュー・感想・評価

全35件中、1~20件目を表示

4.0ありそうな悪夢。このストレスはトラウマ級だ

2024年5月19日
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鑑賞方法:試写会

怖い

監督・脚本のイルケル・チャタクによる長編4作目だそうで、日本公開は本作が初。トルコ系ドイツ人という点ではファティ・アキン監督と共通し、移民に対する偏見や差別のエピソードを入れ込んでいるのも実体験に基づくものだろう。

盗難が多発しているギムナジウム(中学校)の7年生(ドイツでは6歳から小学校に通うので12歳ぐらいか)のクラスを受け持つ若手教師カーラ。正義感が強く生徒思いでもあるのだが、職員室で自分のノートPCを使って窃盗の現場を録画したことから、まず職員間の不和を、やがて生徒たちからの不信、保護者たちからのつきあげを招くことになる。

小さな出来事や言葉のやり取りが自然で無駄がなく、これは本当にありそうな話に思える。カーラの凛として見えるがストレスを内側にため込んでいく過程をレオニー・ベネシュがリアルに体現し、観客もこの徐々に緊張が高まる学校内に引きずり込まれていく。カーラに感情移入して観るならストレスがトラウマになりそうなほど。

安易な解決を示さないのは、これが現実にある根深くて困難な問題であり、鑑賞後もずっと考え続けてほしいという監督からのメッセージであるように思う。権威を象徴する者たちに掲げられ、権威に抵抗した人物がまるで玉座からラストショットを支配するかのようなエンディングにも意表を突かれて思わずうなった。

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高森 郁哉

4.0不寛容≒ゼロトレランス

2024年5月23日
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劇中のセリフ、
うちの学校は不寛容の方式、
と、
意見が違っても団結しないといけない。

風吹き、桶屋が儲かる的にいうと、上記2点のセンテンスがメインプロットかと。

要点だけスピーディーに展開、
音楽も、
ストリングスの
太い音、やや太い音、細い音が、12341234と、リズミカルに響く。
太い音→先生と親の会話、
やや太い音→先生同士の会話、
細い音→先生と子どもの会話、
まるで呼応させているかのように迫ってくる。

大変見やすいエンタメベースの問題提起的作品、
そのスピードに、
何点かブレーキがかかるセリフもあった。

移民、
遺伝、
や、
ノバク先生はグダニスクから、
80年代に越して来た、
とか、
意味のある事を設定として入れるのは良くないとは言わない、

セリフにして観客に聞かせるかどうかは取捨選択は吟味した方がいい。

それと、

不寛容の方式、
ゼロトレランスは、
一般的には非寛容、
不寛容で≒という認識でいいと思う。

が、
未成年が集う学校のようなコミュニティにおいて、
または、
こういう内容の作品、
セリフで、
主張or証明の違いを話し合うような作品では、

例えば、
ゼロトレランスは、

罪に対して厳しく対応する、
厳罰で対応する、
とか、

うちの学校はゼロトレランス方式、
または、
うちの学校は厳罰方式が、
ベストでもベターでもグッドでもないか、、、。

不寛容は、
オスカーにも干渉しない、

関係しないか
とか、
性悪説ベースで義務教育を制度設計、
とか
最後まで引っかかった。

いずれにしても、
ストーリーの
展開やラストから、
推察できるのは、

お互いを信頼し合うコミュニティ、
特に義務教育の制度設計のグランドデザインをやり直すのが早いか、
戦火に焼き尽くされるのが早いか、
似たような危機感は世界中の先生の認識
という事だろうか。

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蛇足軒妖瀬布

4.0じゃあどうすれば良かったの?

2024年5月23日
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鑑賞方法:映画館

まるでサスペンススリラー
そんな事やってるのにそんな特徴的なブラウスですか?とツッコミたくなった 不寛容方式と言いつつも起きたことを掘り起こすばかりで真相は求めていないような気がした
100分以内という上映時間にギッシリ詰まったストーリー、マッチョ+王様みたいな退場には監督のセンスの良さを感じた

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ゆう

4.0このストレス、以前、ドイツ人と仕事をしていた時のことを思い出します

2024年5月22日
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鑑賞方法:映画館

学校で起こった事件に対して、主人公である教師の取った行動が波紋を呼んで、同僚、父兄、生徒を巻き込んで、波紋が広がっている展開に、惹き付けられました。日本のドラマなら、熱血教師に丸め込まれ、最後は悪い子も改心して終わりという感じかも知れませんが、この映画は、エンディングも、容赦なく頑なでした。

以前、ドイツ人のパートナーと仕事をしていたことがあり、その当時のストレスを思い出しました。問題が発生しても、解決を優先し、その為には、みんな我慢しようと話していると、ドイツ人の彼だけが、自分のせいじゃないし、我慢する理由もない。自分にはそれを求める権利があるという主張を曲げず、毎回のように、怒鳴り合いになっていました。

ドイツ人全員がそうだと言うつもりはありませんが、こんな環境の学校で育ったら、あの彼みたいな大人になるわな・・・と妙に納得してしまいました。

ちなみに、そのドイツ人の彼とは、10年ほど、一緒に仕事をしました。最後は、ちゃんと仲良く握手をしましたので、今では、いい思い出です。

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GF

4.0ありふれた政党。

2024年5月22日
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鑑賞方法:映画館

教師と生徒は、あるあるな題材。
この作品は、学校というちっぽけな箱を、人間がカタチづくるあらゆるコミュニティ(会社、地方自治体、国、世界・・・)の縮図であるかのように表現する。個人的には、「ありふれた政党」という言葉が浮かんだ。

どーしようもない大人たちを散々見せられた後のラストシーンには、いたく救われた。

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ラーメンは味噌。時々淡麗醤油。

4.5目が離せないストーリー

2024年5月22日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

1秒たりとも目が離せない作品で、考え
させられた作品だった。教育のあり方も
考えさせられた作品でもある。
作品は見事。観客に問いかけるストーリー
展開と言えよう。
カーラは正義感でオスカーを守りたかったし、
クラスを守りたかった。しかし、その正義感あふれる行動が生徒、親、同僚に不信感と誤解を
与えてしまう。もし、私がカーラだったらと置き換えて観ると辛い作品でもあった。
作品は素晴らしい。しかし、教育関係者、教師の方、小学生、中学生がいるご家庭の方は全ての事を忘れて鑑賞される事を薦めます。

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ナベウーロンティー

3.0はて?

2024年5月22日
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鑑賞方法:映画館

普通過ぎて見どころがわかんなかったな😭ただ、日本で起きてる『最近の事情』的なものが日本だけのことではなく世界的に起きてるんだと知ったのは新発見。

今後はもっとZ世代を理解しなきゃなんだろーなー。

先生が着ていた赤い良質のざっくりニットが着心地良さそうだった💕

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らまんば

3.0エビデンスとロウ

2024年5月21日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

あるドイツの小学校で起こった、現金盗難事件の話 あの映像だけで用務員のおばさんが裁判をして有罪となるかは疑問だが… エビデンスも用務員の子供に…
仮に用務員が窃盗をしたとして、子供はドンだけ母親が好きなこと それとも貧乏なことを理解しての行動なのか…(多分母子家庭で子供が持ってきた全ての小遣い銭を考えると…)
あの担任がとった行動は全く間違っていない(盗撮についてもたまたまとしておけば…証拠としては認められるはず日本では)が、田舎独特のソリダリティに巻き込まれた感があった しかし生徒のボイコットや先生どおしのやり取りも民主主義らしさ(ドイツの映画だから❔)があらゆるところにちりばめられていたが、先生もメンタル的にかなりマイっていたと思います(トイレのごみ袋で過呼吸対処するのも圧巻)
先生って大変だ〰️ しかし今の日本で先生に成りたくない(デモしか先生)のは痛いほどわかる内容でした

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ろくさん

3.5不寛容(Zero Tolerance)方式

2024年5月21日
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鑑賞方法:映画館

公開1週目のサービスデイ、シネスイッチ銀座の午前回は客入り少なくガラガラです。
99分と決して長くはない作品ですが、終始キリキリとイライラで観終わって非常に疲れます。
生徒は多人種混在で個性も豊かですが、思ったよりも真面目な様子でいわゆる「学級崩壊」というようなことはありません。むしろポイントとなりそうなのは学校側。作品冒頭にて気になるワード「不寛容(Zero Tolerance)方式」が出てきますが、正直よく解っていなかったので鑑賞後すぐにスマホで調べ、Wikipediaのその項目を斜め読み。なるほど。でも、今回はこれを学校教育の現場に取り入れることの是非については度外視しようかと。邦題にある『ありふれた教室』とある通り、どこにでも起こりうるトラブル(事件以前)であり、この方式の採用による問題といった作品ではないと思ったから。ちなみに原題『Das Lehrerzimmer』は「職員室」の意です。
カーラ(レオニー・ベネシュ)は、「教育」に集中させてくれない多忙な状況と次々に発生する揉め事に悩まされながらも、日々真摯に取り組みながら「生徒のため」を考えて良き教育者であることに努めています。普段の授業を観ていても、生徒に対する問題の提起の仕方はよく考えられており、生徒自身に考えさせる機会を与えて押し付けることはしません。(特に、体育の授業での「6人一緒に台に乗り続ける方法」はお互いの寛容さがあって出来ることで、それを彼が解いて、且つ壊すシーンは印象的です。)生徒一人一人にきちんと目配せをして、相対し方にも注意を払いつつ向き合うことで落ちこぼれを作らないよう実に熱心に働くカーラ。しかし、その聡明さと目配せの良さが裏目に出た「ある日の職員室で起きたトラブル」をきっかけに、転がるように事態が悪化していくのを見せられ続けます。
まず誰が見ても明らかな問題は絶対的な「リソース不足」。人が足りないため、代講など皆少なからず複数の仕事を兼務しており、職員室内は常に空気の悪さを感じます。そして、厄介ごとに対してやや拙速で雑な対処が目につきます。そこはやはり問題解決の専門家と言うわけではありませんから、どうしても教師たちの能力不足は否めません。またそもそも問題を起こらなくするための抑止力的なセキュリティは殆どなされていません。或いはそれを補う言い訳としての「抑止のための不寛容方式採用」なのではと穿ってみるしかありません。さらに質の悪いことに、最後の砦であるはずの校長がまた困ったもので「私には十分で確かな経験がある」のごり押し一本やり。経験は能力を示すものではないですし、職責としては如何なものかと思える言動にイラつきます。って言うか、この状況こそが今までの蓄積によって起こっていることだと考えれば、その経験こそが原因で、本作は起こるべくして起こったことではないかと思うのです。
本作は教育現場における社会問題を題材とした作品でありつつ、どんどんと追い込まれるカーラの様子を見続けるサスペンスホラーとしての面白みもあり、賞レースなどでの実績も納得の出来栄えです。なかなかしんどい作品ですが、興味があれば是非。空いてます。。

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TWDera

4.0徐々に追いつめられていく姿から目を離せない

2024年5月21日
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鑑賞方法:映画館

昔はなりたい職業の上位に学校の先生が入っていた気がする。今や一部の志ある若者しか目指さない過酷な職業という印象すらある。学級崩壊、コンプライアンスの厳しさ、多大な業務量、そしてモンペアの対応。どれもつらそうだ。心を病んでしまう教員が多いのも納得してしまう。
この映画を観て思ったのは、ドイツも日本とそんなに変わらないじゃないかということ。日本でも移民の生徒が多くなっているし。ただ、校内で盗難がこんなに頻発するのは考えにくいけど。
自席のノートパソコンのカメラで盗難の現場を押さえた教員のカーラ。穏便に事を収めようとしたが、徐々に問題が大きくなる様がとてもスリリング。一つひとつの選択が大きく間違っているわけではないが、ボタンのかけ違いが物事の歪みをどんどん大きくしていく。犯人が誰かというサスペンスではなく、カーラが追いつめられていくスリラーとして面白かった。
だからスッキリしない終わり方でも仕方ない。あれはあれでリアルな感じがする。いろいろと考えさせられる映画だった。決定的な証拠とは言えないけどあそこまで言い張れるメンタリティとか、すべての生徒を守るべきなんだろうかとか、聡明な子であっても母への愛で目が曇ってしまうのかとか。生徒、生徒の保護者、教員の信頼関係が教育現場のそれではなく、もはや顧客とサービス提供者のそれになってしまっていると感じた。それはそれでいいのかもしれないが、個人的には違和感を覚えてしまう。

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kenshuchu

4.5エンドロールのオーケストラ音楽はいかにして演奏できたのか

2024年5月21日
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【オススメしたい人】
・教育に興味がある人
・正しいやり方について悩んだことがある人
・そして、日本の学校に通ったことがある人

日本の義務教育では自分で考える力を養うことが難しい、なんてのはしばしば聞かれる指摘だが今作でもそこが気になった

「これが普通の授業なんだったら、そりゃ考える力が問われるわ」と思わされる
でもそれは本筋でもないんだよね。そんな教育を受ける生徒達と、受けて育った大人達がぶつかる難問の物語

舞台はドイツ。主人公は中学1年(相当)の教師
校内で繰り返される窃盗に学校全体が困らされていた

他に悩みがあってつい盗みを働いてしまったとある生徒。主人公はその子に語りかけ、最後は反省してみんなで卒業を向かえる

・・・なんて話じゃないんだな。そんなきれいな話では許してくれない
いびつなのか真っすぐなのかも分からない物語

映画の序盤オーケストラの調音前のようなバラバラの音が使われていた
エンドロールでは音の合ったクラシックが流れる

この学校がいかに調律されたかを見ることは誰にとっても価値があるはずだ

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作務衣もん

3.0ドイツの公立小学校の様子、独の職場の雰囲気がわかる

2024年5月20日
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女教師が、校内で起きた盗難事件の対応で誤解が生まれ、大問題に発展していく。
生徒からも、同僚からも、責められ。。
ドイツの職員会議の様子が興味深い。校長は皆の意見を聞く。子供の意見も聞く。
悪意の無い事でも、人は誤解し、人を攻撃し、分かりあう事は無い、分断。
あるいは分断は 解決できないし 、それに抗わず 受け入れろとのメッセージ。
ドイツの公立小学校の様子、独の職場の雰囲気がわかる。

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東條ひでき

3.5「向き合う」だけでなく「寄り添う」ことも大切だ

2024年5月20日
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カンニングにしろ、授業中のサボりにしろ、窃盗にしろ、悪いことをした人間が誰も謝らないのはどうしたことだろう?それどころか、反抗的な態度を取ったり、開き直ったり、逆恨みしたりと、やりたい放題なのは、権利意識に関する「お国柄」の違いによるものなのだろうか?
特に、窃盗の容疑については、それが、謂れのない濡れ衣だったとしても、ふてくされて「謝罪しろ」と噛みつくのではなく、弁明するなり、反論するなりして、自らの身の潔白を証明するべきではないのか?(そうしない時点で、罪を認めてしまっているようなものだが・・・)
そうした「悪い奴ら」にしっかりと向き合い、誠意を持って彼らに接しようとしている主人公が、逆に非難され、追い詰められ、消耗していく展開には、相当にストレスが溜まるし、その理不尽さと不条理さには、モヤモヤしたり、イライラさせられっぱなしだった。
彼女が、窃盗犯を見つけるためにパソコンで動画を撮ったことが、保護者から叱され、生徒たちの不信感を招き、教師たちの間に亀裂を生むのだが、「動画の何が悪いのか?」と思ってしまうのは、やはり、人権意識の違いだろうか?
ただ、主人公に落ち度があったのも確かで、どうせ動画を撮るのなら、犯人が明確に識別できるような構図で撮影するべきだっただろうし、それができなかったのであれば、敢えて容疑者を「泳がせ」て、現行犯として捕まえられる機会を待つべきだっただろう。
確定的な証拠もないまま、疑わしい人物を犯人扱いしてしまった主人公や校長の対応は、相手に良心があり、簡単に自白するだろうと妄信した「性善説」に基づくもので、「不寛容」を謳う割にはお粗末としか言いようがない。
ラストでは、この映画が、犯人探しのミステリーではなく、それぞれの正義が衝突する様子を描いた人間ドラマであったことが明らかになるのだが、最後まで生徒に寄り添う(「向き合う」ではないところがポイントか?)先生であろうとする主人公の姿は印象的である。
声高に権利や主張を振りかざさなくても、彼女が差し出したルービックキューブのように、相手にそっと「思い」を伝えることはできるのだということが分かり、ギスギスし通しで息苦しかった物語の末に、少しホッとすることができた。

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tomato

5.0スリリングな展開に驚愕させられます

2024年5月20日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

 タイトル通りのありふれた教室での一部始終を、緊迫のサスペンスで描く一級の映画作品。先進国ドイツの公立小学校の一コマですが、日本でもこんなことは多分日常茶飯の出来事かと。松たか子の「告白」2010年、是枝裕和の「怪物」2023年、テレビドラマ・天海祐希の「女王の教室」2005年などでも問題提起されてますね。ほぼ正方形の窮屈なスクリーンサイズで展開される、全編キリキリと神経を逆なでさせられるような迫力の熟成が凄い。

 完全に全編学校の中だけで描かれる、EUの北側諸国では当たり前のように原色の「青」があちこちに使われる学校内が舞台の総て。もちろん教室から職員室、廊下から体育館そして敷地内に限定されるが一応屋外も。しかし、本作はホラーではありません、超常現象もゾンビもサイコパスもモンスターも変態も一切登場しません。皆ごくフツーの一般人、そう私達と全く同じで全く同じ次元に居る。その仔細な人間関係がちょっとしたボタンの掛け違いで恐怖のどん底に陥られるわけです。

 舞台となる小学校は「不寛容」をアピールしているわけで、仔細な事もとことん原因と対策を講ずる立派な方針のようで、だから、まあまあ、では済まない。それは長い試行錯誤を経て決めた学校なりの方針なんでしょうから。細やかな窃盗事件が校内で起きたようだ、犯人探しに生徒を誘導尋問にまで追い立てるのはその証左。こんな学校に新学期より転任してきた女性教師カーラが、自らの財布の中身を確認の上、ジャケットのポケットにしまいそのまま職員室に置いたままに、ご丁寧にパソコンで動画撮影まで施した上で。案の定、財布の中身が減っており映画は大きく動き出す。

 被害者にも関わらずカーラは人間不信の地獄に叩き付けられる展開に、でも気丈にも彼女は冷静を装い事を生徒に寄り添って何とか収束しようと尽力するも、これでもかの罵詈雑言の渦中に。ああすればよかった、こんな事するんじゃなかった、全ては後の祭り。しかし、カーラの言動はすべて観客の納得行く範疇で、周囲の思わぬリアクションにカーラともども観客は苛まれる仕組み。理想主義者が管理社会のがんじがらめに翻弄させられる悲劇でもある。それはちょっとやり過ぎでは・・・と言ったところで不寛容はもう誰にも止められない。この辺りの追い込み描写が流石の力量を発揮し映画的興奮を生み出す。

 日本だったら、そりゃないでしょと思うかも知れませんが、生徒も親も言わなきゃ損な意識は全く同じでしょう。生徒新聞も随分と強烈ですが、日本で言ったら中学生に該当する上級生の年齢でしょう。親の集まりだってあんなもんでは済まないでしょ日本でも。現役の先生方が鑑賞されたら、とてもじゃないけれど、冷静には観られないのではないでしょうか?

 結局、学校事務の被疑者女性は確かに盗ったのか否か、映画は答えを出さずに、その息子の反骨精神を祭り上げて映画は終わる。真実はどちらでも、その経緯をこそ描きたかったわけで。物事の手順に正解があるはずもない、自らがベストと考えた行動が、どっちに混んんでも非難は避けられないのが今ってわけです。恐ろしい。原題は「先生の部屋」すなわち職員室なんですね。

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クニオ

3.5中島みゆきじゃなくてメンデルスゾーン

2024年5月20日
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中二病真っ盛りの奴らにジャーナリズムwという刃物を与えたら危険極まる。偏向報道や風説流布がコミュニティに与える混乱や分断が主題ではないだろうが、個人的にはそちらが印象的だった。
ラスト近く、ルービックキューブが再登場する少し前に担任が問題児童の隣の机で書き物をするシーン、対面してお互いの顔を見るのではなく、肩を並べて同じ景色を見るというのは何かヒントを与えてくれているようだった。

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ひろちゃんのカレシ

3.5名探偵もヒーローも現れない生々しさにイライラ

2024年5月19日
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主人公の一貫した正義感と、校長先生の機械的で「ゼロ・トレランス」な対応だけが頼みだった。観ているうちに誰が正しいことを言っているのか、縋りどころが分からなくなってきて、私も1回大声出させて、という気持ちになりました。

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やぎ

4.5教育に携わる人間として、この映画に出てくる教室は、本当に「ありふれ...

2024年5月19日
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教育に携わる人間として、この映画に出てくる教室は、本当に「ありふれた」教室であることを強調しておきたい。ものすごくリアル。

改めて教育現場は、サスペンスであり、ホラーであり、ドキュメンタリーであることを思い知るとともに、教育観と暴走は紙一重であることに背筋を正す。教員を志す人間が減っていることの証明にもなる作品。

ラストカット痺れたな〜でもこうなるのよ。ご機嫌とるか、諦めて公的機関に頼み込むかが今の時代現実的なもので。

ほとんどが学校内で撮られてるのも良い。家庭の様子なんて、教育現場側からすると一部しかわからないし、類推せざるを得ないし、だからこそ間違ってしまうこともある。

劇伴が好みだった。

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わたろー

4.0昭和の時代なら

2024年5月19日
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『二十四の瞳』の生徒思いの大石先生なのですが
時代が変わるとそれが仇になる。
自分は昭和の方がいいなぁ。

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Oki

4.0ずっと気の抜けない映画 最後が『え?これ?』って思ったのは、 私が...

2024年5月18日
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ずっと気の抜けない映画

最後が『え?これ?』って思ったのは、

私が理解しきれていないから?

もう一回見ないとダメかな?

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jung

3.5真相は闇の中…

2024年5月18日
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これ、サスペンススリラー、か?誰もが何かを掛け違えて物事悪化させまくるヒューマンドラマと思うが…。疑わしくは罰せず、からスタートしないと後が大変、と思う自分が正解がどうかは別として生徒たちと先生がたが理解しあうってなかなか難しい、と思う。金八話は遥か昔に成立する時代か。

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peanuts