劇場公開日 2024年5月17日

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「私は一体どうしたら良いんだ…」ありふれた教室 かめさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0私は一体どうしたら良いんだ…

2024年6月19日
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鑑賞方法:映画館

その場にいないのにずっとそんな風に考えちゃって胃が…
そしてそんなこと考えあぐねてなにも行動に移さない内にあれよあれよと事態がコロコロして…
私は…俺は…ムリョクダ…(; ;)

子供も教師も全員の一つ一つの言動を、同じ立場なら私もしてしまいそうと思える妙があり、様々なシーンの空気感がリアルで身につまされる感覚を休まずずっと味わいました。
生徒に怪しい人を聞くのがそんなに悪いことか?
抜き打ちテストがそんなに?
盗難問題解決のための録画が?
新聞で真実(多分)を暴露するのが?
というテンションで私も「やれー!やるぞー!」ってなりそう。
この映画では俯瞰して見てる立場だから「一度立ち止まれ?」って思えるけど、問題の渦中に居るとアドレナリン的物質が生成されるんですよね…分かる…

何の問題も解決しないけどそれがやはりリアルで良いですね。
しねーのよ、解決なんて。しねーの。
だから今すぐ警察呼んで国家権力で思う存分監視カメラつけまくって尋問しまくって。
盗難は犯罪だから。
学校だけで解決しようとしないで国家権力に頼って。
まあ盗難事件に目を向けるとモヤモヤエンドですが、「お金が盗まれたときに問題なのは金額ではなくその行為そのもの」である通り、この映画の主題は盗難事件ではなくそれをきっかけに試される人間力なんでしょうな。

エンド直前の二人きりの教室、なにも明確なことはありませんけど…
カーラの「こんな展開は望んでいなかった」を受けて、何かノートに書いたものをうけて、カーラから託されたルービックキューブのアルゴリズムを解読したみたいに、二人でこの問題のアルゴリズムを解読したんだろうなと信じます。
明らかにオスカーの勝利を宣言するラストカットでしたけど、オスカーに水を渡して見つめるカーラからは敗北や絶望を感じませんでした。
オスカーも母親のために立ち上がったようなものなのに、着信には答えないし…
そもそもオスカーVSカーラではなく、集団に追い詰められた2人VS生徒や教師陣だったのかも。
こういう考察は普段人任せですが、オスカーは学校という権威に勝利し、カーラは教師として納得のいく"解答"に辿り着いたんだと信じる。信じます!

せった