劇場公開日 2024年6月7日

「アメリカ映画に初主演、井浦新の人間味、カリスマ業界人役、國村準の安定感、藤谷文子の脚本と助演が光る、静かに心温まるアメリカン人情劇」東京カウボーイ ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アメリカ映画に初主演、井浦新の人間味、カリスマ業界人役、國村準の安定感、藤谷文子の脚本と助演が光る、静かに心温まるアメリカン人情劇

2024年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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日本の企業がアメリカ・モンタナの牧場を買い取り、
東京のビジネスマンが単身乗り込み四苦八苦する。
現在というよりは、まさに30年前、バブル期に考えた企画らしい。

内容は、言ってしまえば、ある程度は想像してはいましたが、期待通り。
静かに心温まるアメリカン人情劇です。

日本人が、郷に入れば郷に従い、カウボーイを理解し、コミュニケーションをとろうとする姿が認められて、次第に心を開くようになる。
仕事も数字一辺倒で、プロジェクトで扱う商品の味にすら興味を抱かない。
相手の心を理解しようともしない男が、大きく成長する。

単に異文化の「衝突」の話でもなく、「協力・調和」の面も強い。
全体的に、相手を嘲笑したり、バカにしたりしない脚本・演出がいい。

監督は、三十年前に寅さん映画で山田組を経験したことがあり、
謙虚になること、傾聴することの大切さを学んだという。
そのことも大きかったのではないかだろうか。

そして、海外作品にありがちな、日本描写の不自然さがないのも良いです。
各国パートのスタッフは、現地チームが担当し、また、脚本・出演の藤谷文子のおかげださそうです。(もういちいち誰もセガールの娘さんであるとか、平成ガメラのミューズとか言われないクリエイターに。)
アメリカ映画に初主演となった、井浦新の人間味、変わっていく姿がいい。
そして、さすが今や国際派としても活躍する國村準!
いかにもやり手のカリスマ業界プロの役、
アメリカ人相手にジョークまで繰り出して、堂々と懐に入り込む説得力が素晴らしい。
久石譲の長女で40年前の当時4歳の時「風の谷のナウシカ」の劇中歌(ナウシカ・レクイエム)を歌った歌手の麻衣の歌唱、藤谷文子作詞によるエンディング主題歌も聞きものです。

ITOYA