「エンタメど真ん中、頭はわるめ」セキュリティ・チェック さいてょさんの映画レビュー(感想・評価)
エンタメど真ん中、頭はわるめ
賛否でいうと、賛。たのしめたよー。って感じ。
結構幅広いエンタメ作品を手掛けている、ジャウム・コレット=セラ監督だが、特長として、ニューロティックスリラー風のエンタメが得意って印象がある。具体的にいうと、
なにか異常な事が起きていて、それを自分だけが知っていて、事態終息のために奔走すると、周りに異常者あつかいされる。みたいなやつ。代表作『エスター』も、これ系なので、本作おもろかった人はおすすめ。
そんな、監督でダイハード的なテロリストぽいやつから指示受ける話の本作、そりゃおもろい。指示役とのやりとりはスリリングでよかった。余計な会話も色気あったし、主人公を追い詰め、洗脳しようとするところもヒリついた。
・空港という舞台設定をあますところなく使った場面展開は手際よく観てても画面に飽きなかった適役である人物と対峙してからも、『こいつを捕まえたところ事態はおさまらないし、こいつも大きい悪の歯車のひとつか』と思わされるところは、リドリースコット『悪の法則』を思い出し深い恐怖を覚えたし、昨今
話題の闇バイトや、飛躍して自分の仕事のことを想起させた。このへんはうまかった。
悪かった点は
・ラストにいたるまでのトリックの見せ方が雑で、主人公の機転に『え、それ意味ある?』と疑問をもった。
・適側の作戦も、もっと上手くできたのでは?と思う点もあった。けっこう他力本願だし、スーツケースに鍵かけてないこととか細かい点は敵側の矮小化につながるのでしっかりつめてほしかった。
・家族のために今の職場での出世を決意し仕事への取り組み姿勢を変える主人公に対し、個人的には好感をもっていたが、結論が家族のために歯車となる人への否定にもつながっていて腹立った
全体としては、テンポ良く楽しめる部分はあったので好意的な感想となった。主人公の行動や、犯人側の行動に対しツッコミどころも多々あるのは事実だが、前半のキャラクターへの追い込みがしっかりしてる分、そこまでノイズにならなかった。
テレビで観ることを想定されている作品ってことを踏まえると良作と言える。