「 主人公(タロン・エガートン)は、犯罪グループに言わせれば、「昇格...」セキュリティ・チェック ララリレロさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公(タロン・エガートン)は、犯罪グループに言わせれば、「昇格...
主人公(タロン・エガートン)は、犯罪グループに言わせれば、「昇格できない、よくいる冴えない男」なのだ。本人もなんとか空港業務の主要な仕事に就きたいと上司にアピールしているくらいだから、そう見える。ところが、犯罪グループが簡単に操れると思っていたこの男が、誰よりもタフだったという設定だ。インターネットをチェックした犯罪者は、彼が高校時代に陸上部に所属していたと言っていた。それは伏線だと思うが、とにかく主人公が全速力で走るシーンがけっこうあった。
アクション映画とすれば、けっこう面白かった。出来もそう悪くない。サスペンスにあふれている。
しかし、この種のアクション映画では一般的なことだが、気に入らないことがある。
それは、犯罪者側の犯罪目的だ。多数の罪もない人々を殺害する大規模なテロの理由がほとんどまったく語られないということだ。彼らの口から語られることはまずない。この映画においても、タフな女性刑事の相棒的なITに詳しい協力者がその背景を解説しているだけだ。主人公は、犯罪者の犯罪意図も何もわからずただ危機を回避するためにコマネズミのように走り回るだけだ。こういった描き方が不満だ。悪者なら悪者らしく、悪に徹して、悪事を働く理由を語らせればいいではないか。
この犯罪の目的は、こういうことだ。(本編を見ながら自分なりに理解した範囲でのことで、違っていたらゴメン)
「脅かされた民主主義を守る法案」を提出した代表的な存在の、ある女性下院議員を狙った犯罪らしい。
この法案が通れば大金が動くという。この法案を支持しているのは軍需産業だが、どうもこの法案は議会を通過しそうにない。
そこで、この下院議員が搭乗する飛行機にロシアの神経毒ガスを撒いて、乗客もろとも殺害しようということだ。この大事件が起きれば、ロシアが邪魔者を殺したとという世論の声が高まり、議会は彼女の法案を通す。その結果、軍需産業は大儲けするという筋書きのようだ。従って、軍需産業に雇われた犯罪者が奇想天外な計画を実行するということらしい。
アクションのスケールに比べ、犯罪目的や手段がちゃちい(安っぽい、粗雑、へなくれ、嘘くさい)のだ。目的達成のためにこんな大規模で迂遠な計画を立てるのは、愚かとしか言いようがない。もっと気の利いた手段があるだろう。
だから、もう一度言うが、この種のアクション映画には一般的なことだが、見ていて文句を言いたくなる。面白くても、気に入らない。