「出来映え、キレは悪いが‥」ビバリーヒルズ・コップ アクセル・フォーリー keebirdzさんの映画レビュー(感想・評価)
出来映え、キレは悪いが‥
愛がある。
フットワークの軽すぎる?ストリーミングメディアのお陰か、最近数々の名作フランチャイズ・(最後の)カムバック作があって出来の良いの悪いのもありますが、概して成功作の多くには
・昔の作風や音楽に囚われすぎず(加えるのは塩一つまみ〜一振り程度)、自然に現代雰囲気や当世の流行り効果を取り入れる
・ストーリーの趣向も過去の成功のおなじみから離れる(つまり基本的に別物)が、気にさせないよう展開を速くバッサリorアッサリ見せる
・娘や息子、新米への物語的世代交代が必須(というか主人公の老いた活躍の支え)でその絡みや演出が肝
かと自分では思ってます。私にとってそんな典型的な及第点作品は「ダイ・ハード」(名作とは言ってない)辺りです。
客観的には、上記3点を上手く織り込めていない本作は名作、快作とは言えないかも知れません。
ただ良く考えると、本作はこういった「締めのカムバック作」ですべき要点を殆ど敢えて無視した珍しい、いや果敢な映画とも思えます。
中盤はちょっと普通に進行がダレますが、思えば以前の2、3作目もそうでありある意味“おなじみ”(エディ大成功を切り拓いた一作目は流石にキレが違いますが)。つかみに重要な序盤〜は、昔ほぼそのままの音楽とハチャメチャアクション展開(エディの若干のスロー化がある意味リアルで良し)で、昔の仲間が皆アクセルより確かに偉くなったり引退してたりまた明らかに老けて描かれていますが、アクセルは未だヒラ刑事?のまま、基本的に昔と同じことを30年やっている設定です。そしてスロー化・パパ化は兎も角、捜査専心の行動原理は昔のまま、年寄りの冷や水ぽくすらない。
悪役ボスが出てきた瞬間に分かりアクセル自身がそう言ってますが、これを今どきの刑事物で陳腐と言うか明快な進行設定と言うかは本作を「犯罪都市のコップ映画」として見たいか「エディ・マーフィーのアクセル・フォーリー映画」として見るかにより印象・評価が端的に変わるでしょう。私は、スミマセン80年代を知るおっさんですので自然と後者であり、従って映画もラクに気持ち良く見進められました。
年月を経て涙もろくなった、郷愁じみた自分のモノの見方を大評価はしませんが全否定もできません。そんな私が本作を見ると、この映画には昔大成功、大活躍、ハチャメチャ展開して劇場の皆を楽しませた「ビバリーヒルズ・コップ」と、その未だ死んでいない、隠居しない主人公への愛があるように思えてしまうのです。
若い世代の二人がイマイチ作中の役どころ、要求される演技共に“世代交代”とはなっておらず役者さんやファンには少々不完全燃焼かも知れません(ホントはそことても大事ですが‥)が、今回アクセル・フォーリーのリハビリ作として堪忍願いたいところです。
結論として私は楽しく鑑賞できました、劇場の大画面で見てもイイ映画ではないかと思います。