「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ」ビバリーヒルズ・コップ アクセル・フォーリー しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)

0.5言いたいことも言えないこんな世の中じゃ

2024年7月9日
PCから投稿

ビバリーヒルズ・コップの続編が30年ぶりに制作され、Netflixで配信。
「オーメン・ザ・ファースト」「フュリオサ」に続き?オッサンホイホイ番外編。

「番外編」なのは、こちら全く期待していないからで、悪気はない。

ただし、大丈夫か。「あの頃」とは違うよ。



はみだし刑事、といえば、古くはダーティハリー、マッドマックスもある意味そうか、
マリオン・コブレッティ、タカ&ユージ、ジョン・マクレーン、そしてこのアクセル・フォーリーといったところがひと時代を作った面々。だが、彼らが活躍したのは、その時代だったからこそ。(タカ&ユージには興味がないので、最新作については語れない)

そもそも居場所やその存在意義以前に、作品やブルース自身が失速した「ダイハード」を例に出さずとも、多様性が必要以上に叫ばれ、コンプラ、忖度塗れ、のこの時代にアクセル・フォーリーに居場所はあるのか、そしてその存在意義は見いだせるのか。

「ビバリーヒルズ・コップ アクセル・フォーリー」




結論からいうと、非常に居心地の悪いことになっている。アクセル・フォーリーはもう定年間近だが、その気配もしないし、相変わらずのスタジャンがイタイ。そうそうこれこれ、という人もいるだろうが、あんた、もういい歳(というか、ジジイ)でしょ。しかも、劇中、紫のスーツを着た姿を見せるが、こっちのほうが似合っているという悲しさ。

オッサンホイホイに徹した猿でもわかる配役に、誰もがわからない(わからなくていい)ストーリー。

そして、こんな世の中じゃ、アクセル・フォーリーは口を閉ざす。みんな、口八丁手八丁というが、本作のアクセル、口八丁は違う。

こんな時代だから、高級ホテルの宿泊代960ドルはちゃんと払う。詐欺まがいのことはもうできなくなっている。これはアクセルが大人になったんじゃなくて、作り手側の事情ほかならない。ここをアクセルの成長ととるか、そしてこんな時代にアクセルが存在する意味があるかというと、きっぱりと「無い」。

いや、チンピラあがりのデカがおとなになったなあ、という感心した人残念。このあと
あろうことか、レビットのほうに車のキーをスらせる役回りを結果押し付ける。

うーーん、居心地悪いぞ。

さらに残念なのは、娘が弁護士のくせして、口八丁でないところ。父親から譲り受けたのは、手錠の抜け方って。アンタ、どんだけ練習したのか。というかね、弁護士さんなら、アンタ、父親譲りの口から生まれた、くらいの設定は欲しいところ。なんで弁護士の設定にしたのか、サッパリワカンネ。

劇伴の使いかたも、残念。オッサンホイホイの材料にしかならず、いや「shakedown」の使い方間違っている。アクションも超スロー。「2」がまあまあ好きなオレにしてみれば、カメラも単調さが目立つ。みんなジジイなんでしょうがない。ついでに、今回、字幕で最初見ていたが、あんまりにエディのセリフがトロくて、山寺さんで鑑賞完了した。

ちょっとだけよかったのは、かたくなに娘が出て行った、悪い、と言ってきたのが、最後、悪い父だったとちゃんと謝るところ。そりゃそうだ。

追記

あ、はみだしキャラ!あったよ、ほらあれ!

「BAD BOYS」!!

ではなくって、たまたま見たテレビのスペシャルドラマ「GTO REVIVAL」。

鬼塚反町英吉はなんと、彼なりに時代に適用しようとしているところが見られ、結構うまい作品だなあ、と思った。

しんざん