「スパイも地元がお好き」ザ・ユニオン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
スパイも地元がお好き
ニュージャージーで建設作業員として働くマイク。悪友らとつるみ、母親と二人暮らし、一度も町を出た事がない。平凡過ぎる人生の40代独身男。
そんなある日、高校時代の恋人ロクサーヌと25年ぶりに再会。ウハウハ浮かれるが、彼女は“下心”があって近付いてきた。睡眠薬で眠らされ、目が覚めるとそこは…
ロンドン。彼女はスパイ組織“ユニオン”のエージェント。
イタリア・トリエステで“CIAの裏切り者”を捕らえる任務が失敗。ロクサーヌ以外のメンバーは死亡し、CIA局員たちの情報が記されたデータが盗まれてしまった。
ロクサーヌはマイクをスパイとしてスカウトに現れたのだ…。
一般人がスパイになる。ベネディクト・カンバーバッチ主演の『クーリエ』でもそんな話あったっけ。
あちらは実話基のスリリングなサスペンスだったが、こちらは気軽に見れるアクション・コメディ。
スパイは諜報機関に属するエージェントが多いが、ユニオンのメンバーは労働者階級。元Amazonのオペレーターもいる。
マイクもそんな経緯でスカウト。目立たず、人ゴミや社会に紛れて。誰も建設作業員がスパイとは思わない。
その設定は面白いが、別に労働者階級スパイである必要性は…。もうちょっとそれを活かした活躍が欲しかった。マイクも訓練は受けるが、たかだかちょっと訓練を受けただけで現場に出れる…? 内通者の正体もすぐ分かってしまう。
ツッコミ所は多々だが、いちいち気にするのは野暮。シリアスな『クーリエ』じゃないんだから。
カーチェイス、追跡、銃撃戦、格闘とアクションはふんだん。
今回はタフじゃないマーク・ウォールバーグとクールなハル・ベリーのケミストリー。掛け合いやロマンスの匂わせなど、実際に長年の友人故の相性の良さ。
印象的な台詞もあった。
口論となり、ロクサーヌはマイクの人生を“つまらない”と言ってしまう。
それに対しマイクは反論。俺の人生は平凡かもしれないけど、友人や家族に恵まれて真っ当だ。君にはいるか?
スパイの世界で生きる者に問い掛ける。
無事ミッション・コンプリート。
一回きりの筈が、“次の任務”の誘い。
さてさて…?
でも今は地元をエンジョイ。
スパイも地元がお好き。