「コメデイにとどまらない哲学性」ヒットマン コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
コメデイにとどまらない哲学性
実在した「偽殺し屋に扮したおとり捜査官」をモデルに、コメディドラマ(映画)にしたと言うことで、中身はまったくの創作のようでした。
予告編では全体の1/2~2/3くらいが、「おとり捜査官が殺人依頼の犯罪者と恋に落ちてしまった」ことが主要なエピソードのように見せていましたが…
その話は本編115分中、ラストの30~40分くらいしかなく。
素の彼は善良だがヘタレな弱虫で、心理学の面でのただの警察サポート役な大学講師でしかない人物なのに…
担当捜査官がスキャンダルで離脱したせいで、急遽ピンチヒッターでおとり捜査官をする羽目になり。
コスプレというか「変装によるおとり捜査」でなりきりをすると性格が変わって大胆になり、多羅尾伴内的な活躍をしていき、だんだん性格が変わっていくそのギャップや変化を見せるコメディが、尺の大半でした。
だから予告に騙されたような感覚で観る羽目になりました。
しかも、オチはいくらなんでも倫理的にどうよ、という。
「着想にはモデルがいるけど完全創作」なのはクレジットされているとはいえ、これモデルの捜査官にとってはめちゃくちゃ不本意かつ不名誉な内容じゃないかと、かなり心配になりました。
ただ、その「だんだん性格が変わっていく」部分、考え方が理想から現実に寄り添いつつも思いやりにあふれた哲学的なものになっていくあたりが、いろいろ考えさせられて、単なるコメディにとどまっていなかったのは興味深かったです。
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