「グレン・パウエルのコスプレを楽しむ映画だけど、ラストはちょっと重めかな」ヒットマン Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
グレン・パウエルのコスプレを楽しむ映画だけど、ラストはちょっと重めかな
2024.9.17 字幕 MOVIX京都
2023年のアメリカ映画(115分、PG12)
実在した偽の殺し屋のエピソードを基に描くクライムミステリー
監督はリチャード・リンクレーター
脚本はリチャード・リンクレーター&グレン・パウエル
原案は2001年10月のテキサスマンスリーの記事「Hit Man(執筆者:スキップ・ホランワース)」
物語の舞台は、アメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズ
ニューオーリンズ大学にて心理学と哲学を教えているゲイリー・ジョンソン(グレン・パウエル)には裏の顔があった
それは、殺人依頼者を逮捕し、事件化させないためのおとり捜査に関わるもので、彼は主に小道具などのバックアップを担っていた
だが、主任捜査官のジャスパー(オースティン・アメリオ)が不道徳な事件で逮捕され、その代わりを務めるように言われてしまう
ゲイリーは依頼者と接触して「自白と金銭」を引き出すことが仕事で、彼の最初の捜査は「厄介な依頼人クレイグ(マイク・マークオフ)」だった
うまくクレイグを誘導したゲイリーは、その後も多くの依頼人を未遂に導き、法廷での証言台にも立ってゆく
そして、その仕事に慣れた頃、彼の元に夫を殺したいと願う若き妻マディソン(アドリア・アルホナ)がやってきた
ゲイリーは、マディソンが衝動的に依頼をしていると感じ、その依頼を取り下げるように仕向けた
物語は、その後マディソンと交流を持つゲイリーの様子が描かれ、それは殺し屋ロンを演じ切ると言うものだった
恋仲に発展した二人だったが、ある日、離婚したと聞かされていた夫のレイ(エヴァン・ホルツマン)とばったりと会ってしまう
レイの様子から、マディソンに危険が及ぶと感じたゲイリーは、彼女にそれを告げる
だが、マディソンは何を思ったのか、護身用の銃を購入し、それを使用してしまったのである
映画は実在の人物のエピソードを基にしたフィクションで、おとり捜査のエピソードは本物、後半のレイ殺害に関するくだりがフィクションとなっている
元記事も英語版で読めるし、考察記事などもググると出てくる
映画のラストでは、実際のゲイリー本人がアーカイブで登場するが、Wikiのようなページは存在しない
基本的に「ラブコメ」の領域に入る本作は、ゲイリーとマディソンの恋の行方を眺めるもので、それが主軸になっているためか、ラストは倫理的にアウトのハッピーエンドになっている
この終わり方でOKと思う人もいれば、さすがにそれはまずいでしょと思う人がいるのも当然で、人は変われると言うメッセージがあっても、それを鵜呑みにはできないところがある
ゲイリーが哲学を教えているだけあって、そういった談義が登場し、元妻アリシア(モーリー・バーナード)との会話もそう言った言い回しの多い流れになっていた
このような会話劇が好きだと面白いと思うものの、思っていたのと違うと言う人がいても驚かないように思えた
いずれにせよ、軽く観る感じの映画としては最高で、いわゆるポップコーンムービー的なところはあった
ラストは事故と言う感じならまだ擁護できると思うが、事故(自殺)に見せかけた殺人になっているので看過はできない
フィクションを織り交ぜるとしても、もう少しマイルドにした方が良かったのではないだろうか