倭文(しづり) 旅するカジの木

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倭文(しづり) 旅するカジの木

解説

日本神話に登場する幻の織物・倭文(しづり)に着目し、「衣」の神秘的な始源をたどったドキュメンタリー。

邪悪なものをはらい、身体を守護する神聖な力を持っていたという幻の織物・倭文。その力の源について解き明かす鍵は、衣服の始源を担った「カジの木」にあった。中国南部を原産とするカジの木のルーツをさかのぼり、台湾、インドネシアのスラウェシ島、南太平洋のパプアニューギニアへと旅していく。さらに日本各地で倭文の痕跡を追っていくと、古代国家の重要な謎が明らかになる。現代の織物作家たちが倭文の創造的復元に取り組む姿も映し出す。

「チロンヌプカムイ イオマンテ」など映像作品と文筆によって独自の“映像民俗学”を開拓してきた北村皆雄監督が、5年の歳月をかけて本作を完成させた。謎めいた日本神話の再現映像には、大駱駝艦主宰の麿赤兒と俳優としても活躍するアーティストのコムアイが出演。モデルの冨永愛が語りを担当。

2024年製作/119分/日本
配給:ヴィジュアルフォークロア
劇場公開日:2024年5月25日

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映画レビュー

堅牢な土台の上での創造

2024年10月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 例えば、映画やドラマで観る卑弥呼は衣服を身に着けています。でも、あの服って一体何の素材から出来ており、それをどう織ったのでしょう? それを確かめるべき同時代的文献もない中で、「昔の日本人は何を着ていたのか」の疑問から、素材としてのカジノキに辿り着き、それを最新の科学的手法で証明し、どこから伝わったのかまで検証し、その上でそれを再現し、更に現代の新しい布にまでしようとする試みを描いたドキュメンタリーです。

 まず、古代の布はカジノキで出来ていたと言う事を想像だけで突っ走らせるのでなく、一つ一つ事実を押さえて検証する手順が素敵です。それがこの映画の信頼性を高め、堅牢な土台を築きます。それがあればこそ、現代の織師、染色家、紙漉き職人などの人々の試みが輝きます。過去から現在そして未来へのその道筋が出来て行く過程は見ていて「カッコいいなぁ」と思えました。

 そして、羨ましかった事。僕はアルマーニのスーツを着たいなんて全く思わないし、リーバイスのビンテージ・ジーンズを穿きたいとも思いません。しかし、本作に登場する職人さん達の着ている普段着のセーターやシャツは素朴なのにとても魅力的でした。手を伸ばしてその風合いに触れてみたいと思う程で、色合いも派手さはないのに惹かれます。本当のおしゃれってこういう事なんだろうなと妙な所で感じ入ったのでした。

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