胸騒ぎのレビュー・感想・評価
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対人ストレスあるある欲張りセットから絶望ホラーへ
実に嫌な感じでじりじりメンタルを削られ、弱ったところで最後にがつんと殴られる北欧謹製ホラー。
冒頭から不穏すぎる劇伴が鳴り響くのに、全体の3分の2ほどが経過するまでは「見るからにホラー」な出来事は起こらないんですねこれが。
旅行先のイタリアで、オランダ人のパトリック一家と知り合ったデンマーク人のビャアン。
後日、手紙で彼らの自宅へ招かれ、車でオランダの人里離れた一軒家を訪れるビャアンたち。パトリック夫婦は明るい笑顔で彼らを迎え入れおもてなしをするが、いちいちちょっとおかしいのだ。
私たちの日常でも、他人とのコミュニケーションの中で、相手の受け答えや物事のやり方に、自分の常識との違いや、その「ずれ」による不快感を覚えることは珍しくない。大人であれば、価値観や文化の違いの範疇と判断して受け流すことが多いだろう。
本作のパトリック夫婦は、そんなリアルな不快感を煮詰めたような行動をとる。ベジタリアンにうっかり肉料理を出すとか、酔っ払って人目もはばからずいちゃいちゃするとか、名物料理の店に誘っておいて当然のようにおごってもらうとか、一緒に楽しく過ごそうとしている他人の目の前で子供を叱るとか。でも、ビャアンたちに対する物言いはいたって普通の人の風情で、本人なりの善意を感じさせる(パトリックはちょいちょい違和感がちらつくが、そのチラ見せ加減が上手い)。そのギャップが不気味だ。
このぎりぎりホラー未満の、日常と地続きの不快感(まあ誇張はしてるけど)で1時間以上話を持たせるのだからすごい。途中、一度は逃げ出しかけたのに娘がぬいぐるみを忘れたと言い出して戻るホラーお決まりの展開や(お決まりなんだけどイラッとする笑)、ビャアンが何故かパトリックに日頃のストレスを打ち明けて泣き出し、2人で採石場で叫ぶというシュールな場面を挟んで、なかなかどうして飽きさせない。
いつホラーになるんだ? とは正直思ったが、決して退屈ではない。同時に、気づくとじわじわとメンタルを削られている。ここまでのパートに見応えを感じるかどうかで、作品の評価が分かれそうだ。
日常の対人ストレスあるあるを濃い味で提供する中に、舌のない少年や胡散臭いチャイルドシッターなどホラーの予兆を散りばめて、物語はとどめのラスト15分へと突入する。
いやもうさすが北欧ホラー、殺し方が陰湿ですわ、などと思いつつ、どことなく様式的なものを感じたのだが、パンフレットによると案の定キリスト教由来の描写だった。舌のない少年のアーベルという名前、石打ちという方法、エンドクレジットを飾った絵画「ガニュメデスの略奪」。(ちなみに、パンフレットがほぼA3サイズという保管に困るデカさでびっくり)
監督は、イタリア=天国、デンマーク=辺獄、オランダ=地獄という構想で物語を作ったそうだ。実際にイタリア旅行でオランダ人と仲良くなり、家に誘われたが断ったという経験があり、「もし行っていたらどうなっていたのだろう」というところから着想したという。(デンマーク・オランダ合作だが、それでいいのかオランダ人)
最後、娘のアウネスが受ける仕打ちがもうきっつい。小さい子供に対するああいった残酷描写は、今時けっこう珍しいのでは。
中盤までで地味に削られてきたメンタルに、あのラストの絶望感は想像以上に効く。パトリックたちの行動原理が最後まではっきりしないのも、いい意味で嫌な後味を残す。
彼らは、奪った子を連れてイタリアのヴィラに出没しては子連れの旅行者を物色し、家に招いて新しい「舌のない子」をゲットして、前の子供は殺してしまう、という行動パターンのようだ。奪ったカメラやスーツケースを売り捌いたりせずコレクションしているところを見ると、手の込んだシリアルキラーというところだろう。
だが、身も蓋もないことを言えば、子供(と、金品も?)を奪いたいなら相手が家に来た時点で両親をヤッてしまえばいいのだ。何故しばらく生かして、(ズレた感覚で)一生懸命おもてなしし、旦那にストレス解消法を伝授したりするのだろう。彼らなりの美学、こだわりがあるのだろうか。
まあ、凡人の理解の範疇にある方法を取らないのが異常者の常で、だからこそ恐ろしいのだろう。
他人事とは思わせない丹念でリアルな描写の先にある地獄
根拠があるんだかないんだか(いや、あるんだけど必死で好意的に解釈することもできなくもない)胸騒ぎがするイヤ~な空気がずっと持続していて、最後の最後でその寸止め状態をかなぐり捨てて超胸くそ悪いサイテーな状況になだれ込む。
どんな嫌な話でも、大抵は映画だし、フィクションだしで距離感を持って観られるつもりだったが、これは本当に気分が悪くなるレベルでひどい。
いや、単に目を覆うようなひどい描写ならほかの映画にもある。この映画は全体の9割くらいまでは、ありえなさそうでありえそうな、共感はしたくないけどあるよねあるよねわかるよと言いたくなるような、日常からほんの少しズレただけの「知ってる感覚」が続くのだ。
その途方もなく居心地の悪いリアルさの先に、常識を突き抜けた理解不能な残虐さを突きつけてくるので、そのときにはもはや自分とこの映画とを切り離せなくなっていて、大変なダメージを受けたのだと思う。
とはいえ世の中にはいわれのない悪意が存在していることは頭ではわかっているからこそ、この映画を頭ごなしに否定できないのではなかろうか。しかも役者たちが上手すぎて、どのシーンも演出を含めてクオリティがやたらと高い。観たくなかったけど観てよかった。ブラムハウスのリメイクはアイデアを借りた別物であり、人に薦めるならやはり、オリジナルであるこちらの底なしの悪意を味わってほしいと思う。
中盤までは“気まずい系サスペンス”として斬新で秀逸
デンマーク出身で監督・脚本を兼ねたクリスチャン・タフドルップは、休暇を過ごしたイタリアで出会った家族の家を6カ月後に訪れ、気まずい思いと我慢を強いられる羽目になった経験から本作の着想を得たという。
都会暮らしのデンマーク人夫婦ビャアンとルイーセとその娘が、旅先で意気投合したオランダ人夫婦の自然に囲まれた家に招かれる話。オランダ人夫婦は気さくで社交的で、言語障害があるという幼い男児は陰気な印象であるものの、ビャアンが特に乗り気になり妻と幼い娘を車に乗せてオランダの田舎へ週末旅行に出かける。
監督の実体験が基になっているように、よく知らない家族から自宅に招かれた時の気遣いや遠慮、部屋や食事を提供してもらっている負い目や申し訳なさといった心理状態は、たいていの人が共感できる部分だろう。ほかにも、街中や店内などで幼い子を厳しく叱りつけている親を見かけた時のいやな気持ちなど、誰にも身に覚えがあるような気まずさ、困惑、不快な感覚を巧みに織り込んで緊張感をじわじわと高めていく序盤から中盤が秀逸で、“気まずい系サスペンス”とでも呼ぶべき新たな分野を開拓しつつあるのを目撃した思いがする。打楽器とストリングスで不穏な気配を醸し出すBGMも効果的だ。
ビャアンが自分たちの絶望的な未来の可能性を知ってからを終盤とするなら、ここからはまあまあありきたりなホラー展開になってしまうのが惜しい。ビャアンは知り得た情報をなぜ家族と共有しないのか。なぜ死に物狂いで運命に抗おうとしないのか。そうした大勢が抱く違和感よりも、結局はタフドルップ監督が決めたエンディングに至る筋書きが優先されたのだろう。中盤まであれほどリアルだったビャアンたち夫婦の心理や言動が、終盤で急に作り物っぽくなるというか。
なお、2022年製作の本作はハリウッド版リメイクが順調に進み、今年9月に米公開予定。主演のジェームズ・マカヴォイが、招かれるゲスト側ではなくホスト側の夫を演じるというから、ストーリー上のひねりも大いに期待できそうだ。
最後まで目を背けずに見終えることができるか
傑出した作品が近年生み出されている北欧ホラーから新たに届けられた悪夢のようなヒューマンホラーです。人間の悪意や恐ろしさを描いていて、見た後は、あなたの知人や友人が信じられなくなってしまうかもしれません。
見ていくうちに誤解や違和感が増していき、戻らなければいいのに! という願いは、映画的なお約束によってことごとく打ち砕かれることでしょう。ホラー映画好き、恐怖好き、痛いシーン好きな人でも、最後まで目を背けずに見終えることができるかで、その濃度が試される作品です。
One Screwed Up Movie
In Speak No Evil, as a psychological horror film, it's clear from the start that something is amiss with the hosts of this family vacation, but it is far from predictable. Towards the end the film crosses lines that might categorize it as exploitation. There's nothing to feel good about walking away this film, which clearly was the intent. Indeed, a fathomable nightmare at the worst scale.
クソ映画すぎる(誉め言葉)
この映画はクソ映画すぎます。見ている間中はイライラし、不安になり、不快になり、悲しい思いをし、恐怖を覚え最後は憤慨します。
見ていて心地よい箇所は全くありません。
二人の優しい夫婦がむちゃくちゃにされる話しです。
ただただ不快になる映画ですがこういう映画が好きな人には満点な映画だと思います。
無抵抗
小屋でたくさんの写真をみて全てを理解した夫。それなのにそれをしっかり伝えず妻、子供を起こし逃げて結局捕まり子供の舌を切られ奪われる。そして言われるがまま夫婦さ全裸になり石投げられて殺される。ただただこの夫婦にイライラする。抵抗することもなく子供奪われ死んでいくとか意味不明。胸糞映画だが映画としては普通に観れたのである意味面白かった。
他人の家で気を遣う時の地味に嫌な雰囲気を味わえる
相手が喜んでくれているので直接文句が言えずにもやもやが溜まっていきます。終始居心地の悪さを感じながら相手を気遣って無理に笑顔で接するので接待をしている時のような嫌な気分になります。映画の最期で旅行カバンが大量にあるのを見てそれまでの伏線が繋がりました。救いが無くて最悪です
善と悪
「Speak No Evil」を観て、こちらのリメイク版だったと知り遅ればせながら配信で鑑賞しました🏃♀️💨
評判通りの胸くそ映画ですね(._.)…
北欧の映画はトーンが静かで暗いものが多い印象ですが、不気味な音楽とデンマーク家族のどこからどこまでが善意と悪意なのかが分からない感じが「何か良くない事が起きる…」感を演出したまま、本当に救いなく終わってしまいました。
「医師」という肩書きに安心してはいけない…
不気味で不穏な雰囲気はいいが…
悲惨な結末に至るまでの脚本が都合が良過ぎるきらいがある。何度も逃げれるチャンスがあったり(それはそれであの連中の不気味さの現れではあるが)急に打ち解け合ったり、逃げる道中に何故奥さんに死体を目撃した事を説明しなかったのかとか、我が子があんな目にあってるなら車内でアメリカの"カレン"の如く暴れ狂うだろうに従順過ぎるだろう等。ヨーロッパのそこそこ富裕な人々の華やかで美しい生活の上面を引っ剥がせばそこには邪悪が潜んでいるかもしれない。この夫婦とあの夫婦、自分に正直で人間らしいのは果たしてどちらか?リメイク版である「スピークノーイービル」はこの問題にどう答えるだろう。
よく知らない人には、ご注意を!!
《ストーリー》
イタリア旅行中に仲良くなったオランダ人夫妻から、家に招待を受けた
デンマーク人夫妻が意味不明の酷い目に遭う話し。
理不尽で不可解な映画だった。
可愛い少女(娘)は舌を切られて・・・
・・これからは、あそこに居た無舌症の男の子の代役?
それにしても無抵抗なデンマークから来た夫婦。
逃げるのに失敗した(車が砂地でストレンジ・・・
・・・妻が殺人鬼夫婦に電話で“助けて“と呼び寄せたのか?
そして娘は舌を切られ・・・拉致され・・・
デンマークから来た夫婦は、
「服を脱げ‼️」との命令を素直に聞く。
そしてこの場面から、BGMはメサイアか?
レクイエムか?知らないが
女声コーラスが、美しく厳かに鳴り響くのだった。
夫婦は裸で素直に崖を下って行く・・・
岩だか?石だか?
次々と襲ってくる・・・そして石にぶつかり倒れた、
折り重なるように力尽きて2人は死に絶える。
これは「石つぶてで追われる」
異教徒かなんかの儀式で、
生まれながらの原罪なの?
キリストが処刑された“ゴルゴダの丘“なのか?
「胸騒ぎ」のデンマーク夫婦はほぼ無抵抗で、
屠殺場へ引かれる牛のように観念したかのように殺されてしまう。
前半からグダグダしていて、不平の多いベジタリアンの妻が
何か違和感に(胸騒ぎ)を覚えて、逃げようとするものの、
娘が「ぬいぐるみ」を忘れて車は引き返す。
そして二階に上がり夫が見たのは、
壁に貼り付けられた旅行者らしき夫婦と子供たちとの
記念写真。
夫の「胸騒ぎ」
それはこの家の主は殺人鬼のサイコパス?というもの。
これも唐突で計画性のない展開に思える。
なんと言っても「殺人の動機」に説得力がなくて、
行き当たりばったり。
オランダ人夫婦(特に夫)の悪趣味で刺激的な暇つぶしが
とんでもない行為だった。
現実には、現実にはもっと酷いリンチを
理不尽に受けて死ぬ人がいる。
景色と宗教音楽と女優たち(少女含めて)が
美しかった。
「胸騒ぎ」の原題「Gaesterne」は
デンマーク言語で「ゲスト」だとか。
見なきゃ良かった。
やっぱりそう来ますか。ネタバレ読んでから見たので結論を知ってたから最期まで見れたけど、悲惨の一言。確かに逃げられたかな。ガソリンは多分抜かれてたね。逃げられないように仕組まれてる。現実なら、逃げられるかも。でも、本当の人さらいならもっと上手くやるだろうな。自分の子ども殺す必要ないし。明らかにホラーに意図的にしている。怖いわ。
人間同士のあるあるトラブルで終盤まで引っ張ってほしかった。
あらすじを見た感じ、「旅先ではテンション上がって意気投合しちゃったけど、私生活が垣間見えてくると価値観がかなり違って戸惑う」という人間関係あるあるのストーリーだと解釈。
確かに序盤~中盤はそんな感じなんだけど、終盤はサイコスリラーに。
私が面白みを感じていた人間関係のすれ違いというテーマが置き去りにされちゃったかんじで、ちょっと肩透かしを食らいました。
だって、殺人&子供誘拐家族と価値観が合うはずがない。だから、あるあるにならない‥。
単純に「穏やかな意識高い系都会家族」と「田舎で感情表現率直な伝統家族(子どもにも手を上げがち)」の意識のずれがだんだん広がっていって、最後に悲劇が…みたいなパターンではいけなかったのだろうか。
犯人側の家族も何が目的であんなことをしているのかよく分からなかった(お金目的なのか趣味なのか)。割といつでも逃げられる環境にしていたり、むしろ逃げたくなるような居心地悪めの「おもてなし」をしたり、本当にやる気あるのか?
子どもの死体を見たのに車内で妻子にその情報を共有しない(おかげで妻が殺人家族にヘルプの電話をする)、裸になれって言われて素直に裸になり無抵抗で石で撃ち殺されるなど、後半の設定が出てきてからストーリーがご都合主義の方向に迷走したようにしか見えない。
中盤まではあるあるのイヤーな感じがよく出ていたので、残念。
まあそっち系のいつものやつです🥳
ファニーゲームとやってる事は結局一緒のやつっすね!
ずーっと不快な気分を終始楽しめる胸糞ディズニー作品ではありましたね🙂
とりあえず緊張感が無いし緩いんですよ🤤
まず脚本の弱さの話ですが普通にこの人たち行方不明になったんだから警察とか捜索するんだろうけど普通にあのハガキで足取り掴めて直ぐにバレるやろ👮
更に言うと口が聞けなくても書く事は出来るでしょ✏️
不快な気分や嫌な描写が多い作品て色々ありますが人間ドラマがしっかりしてる訳じゃないから冷たい熱帯魚や空白やミッシングのように嫌な気分をずーっと食らう感じにもならないし困りましたね😨
とはいえ最後まで飽きないで観る事は出来ましたよ。
これ個人差でストレスのかかり方が違うだろうから感じ方に差がハッキリ出ますよね(ストレスかかりますが自分はそこまで酷い感じでも無くて🫢)
あとストレスレベルだと落下の解剖学のほうが異常にストレスかかって劇場で大声で叫びそうになるシーンとかあって落下のほうがストレス度合いが自分的には高いかな🤤(胸糞も通り越したら笑いになるんですが最近ならヘレディタリー・落下の解剖学はストレスが極度にかかり過ぎて8週くらい回って逆に笑ってしまったシーンありました🤮)
また脚本の話ですが🪨あんな重たい石をそんなに正確に投げる事できるのかよ?(結構ファンタジー過ぎるんよ!)結局死体の処理はどうしたんだろうとかボーって考えていましたね🤓
ラストの15分くらいで超最悪な事が起こってるんだからもう少し上手く嫌な気分にさせて欲しかったです🤗
マーターズのように胸糞の向こう側体験まで辿り着いてないし劇場に行かなくて良かったです🫡
まあ色々考えるとアリ・アスターとかミヒャエルハネケとかはやはり胸糞不快作品という意味では同じようなジャンルですが色々と上手なんだと再確認出来ました。
ハリウッドでリメイク決まってますがオリジナルがそもそもアレなのにリメイクするんだ😧
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