「気持ち悪い」パレード Jongoさんの映画レビュー(感想・評価)
気持ち悪い
この映画に限ったことではないですが、死後にも救いがあるとでも言いたげな映画は非常に居心地が悪いです。おそらくこの時点でnot for meな映画だったのでしょう。そこは飲み込みました。ただ、それにしても首を捻る箇所がいくつかありました。
まず、あの百鬼夜行みたいなシーンですが、なぜあれを見せられると長澤まさみも森七菜も急に素直になるのか謎でした。僕らも助け合ってると言いたいのかもしれませんが、長澤まさみはともかく、森七菜の未練は誰の助けも必要としていません。そもそも月1の会合を見せられたからなんだって言うんですか。
そして、未練の解消と成仏のジャッジも謎。現世の未練を解決しても「あ、もうちょっと延長」が出来るなら一生あそこにいたいわ。いろんな人とコミュニケーション取れるし、鍋も美味しそうだった。死んだら完全な「無」なんだし(作り手はそう思っていないのかもしれないが)
最も顔をしかめたのがリリー・フランキー演じる自称映画プロデューサー。誰がどう見ても河村光庸です。「この世界を書き留める」使命を持った坂口健太郎に「頑張れよ!もっと書いてくれ!」と彼が鼓舞するシーンは背筋が凍りました。
映画と作家を過度に結びつけるのは良くないと思いつつ、故・河村プロデューサーを映画に登場させて自分に激励を送らせているようにしか見えなかったです(生前に本人から言われたのかもしれないけれど)。死人に口無しを良いことに、生者が死者を都合の良いように操っているようで非常に不気味でした。
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