「テキサスホールデム」ポーカー・フェイス 裏切りのカード Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
テキサスホールデム
TOHOシネマズシャンテで「ポーカー・フェイス/裏切りのカード」を。
ラッセル・クロウは、父親の死後10日目に撮影まであと5週間で前任者が降板した脚本・監督を依頼され一旦は断るものの、コロナ禍のオーストラリア映画界の雇用機会を失わないために(彼は少年時代オーストラリアに在住)依頼を受ける。アメリカだった舞台をオーストラリアに変え、脚本を書き出演交渉をして映画を完成させた。
そういう事情で時間がなかったのだろう、脚本が充分に練られていないのと編集がイマイチである。
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ポーカーと言えば5カードドローだと思っていたら、色々なやり方がある事を知った。本作で行われるのはテキサスホールデムである。
しかし、本作はゲームとしてのポーカーを描いた映画ではなかった。
少年時代からポーカーが好きだったジェイクはオンラインポーカーゲームの開発で成功を収め、その技術の軍事転用で莫大な富を得る。(各国がこぞって導入するオンラインポーカーの軍事転用技術って何だ?!)
ジェイクには死別した妻との間に一人娘がいて深く愛している。後妻は彼との間に子供を欲しがるが、一人娘で充分とパイプカットをしてしまう。
病気による余命宣告を受けたジェイクは一計を案じる。自宅に幼馴染みを集めて多額の金を賭けたポーカーを行うが、その裏には彼の企みが隠されていた。参加者にはベンツを始め、各自にお気に入りの高級車が与えられ、彼の家に向かう。ワインで乾杯するが、参加者は途中から体調不良になる。ジェイクは参加者に先住民族から入手した毒を盛ったのだ。一人は彼の後妻と不倫していた。
ジェイクは彼らを殺すつもりはなく、先住民から教えてもらっていた致死量以下で、余命宣告を受けた彼と同様に彼らに死の恐怖を味あわせるためだった。
ところが、参加者の兄が仲間2人と共にジェイクが所有している多くの高価な絵画を盗もうと散弾銃で武装して押し入って来る。
パニックルームに逃げ込み強盗をやり過ごそうとするが、余命が短い事を知った娘がジェイクの後妻と家にやって来てしまう。
強盗に愛娘と妻を人質に取られたジェイクはパニックルームを出て強盗の前に姿を現す。
ジェイクの持っていた銃には弾丸が1発しか入っていないが、ポーカーフェイスで3人の強盗と対峙する。押し入った時に飲み残しの毒入りワインを飲んだ兄には不調が現れ始める。ジェイクはブラフで金庫に保管していた毒を解毒剤と思わせ、致死量を注射させて兄を倒す。
パニックルームに隠れていた参加者達は邸内の電源を落とし、強盗二人に襲いかかり押さえこむ。強盗の一人は絵画に詳しく、一番高い200万ドルのセザンヌの画を盗もうとしている時に襲いかかられ、散弾銃を発砲してセザンヌの画を穴だらけにして呆然として散弾銃を落とす。
ラストは、亡くなったジェイクの遺言書が公開される。1/2は遺贈、残りは娘に、そして不倫していた妻や幼馴染みにも各5,000万ドルが贈られる。
冒頭、若き日のジェイクがポーカーをするシーンがあり、その他後半に繋がるインサートショットもあるが、あまり有効でないし、絵画にやたらに詳しい強盗や途中で退場して消えてしまう美人ディーラー等良いキャラの登場人物がいるのに活かし切れていない。脚本と監督兼務で疲れていたのかラッセル・クロウ自身も今ひとつさえない。脚本がもっと練られていて編集が良ければもう少し面白い映画になっただろう。
上映時間94分とダラダラ描いていない所は評価出来るが。