劇場公開日 2024年6月21日

「楽しめたけど、劇場版には向かなかったかも」映画 おいハンサム!! 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5楽しめたけど、劇場版には向かなかったかも

2024年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

TVドラマシリーズを大いに楽しんだので、劇場版も楽しみしていた。

【物語】
家族の幸せを願う父・伊藤源太郎(吉田鋼太郎)と、迷いながらも幸せを探しながら日々生きる長女・由香(木南晴夏)、次女・里香(佐久間由衣)、三女・美香(武田玲奈)、そしてマイペースで家族の心の支えになっている母・千鶴(MEGUMI)。

仕事は好調だが思うような恋愛には巡り合わない長女・由香(木南晴夏)は元カレ・大森(浜野謙太)とクサレ縁とも言える微妙な距離感を継続。 結婚に失敗したバツイチの次女・里香(佐久間由衣)は次の恋に前向きだが、不倫に落ちそうな危険を自ら察知し、京都の知人宅を訪れ、彼女にずっと思いを寄せる幼なじみ・たかお(宮世琉弥)と再会。 そして三女・美香(武田玲奈)は相変わらずダメダメな漫画家志望の婚約者との結婚に踏み切れない中、強く言い寄ってくる男(野村周平)に揺れ動く。

そして、源太郎の暴発が向かう先は・・・

【感想】
劇場版も大いに楽しむことが出来た。

本作の優れている点は伊藤家5人の見事なキャラ立ちにあると思う。いや、基本的にはどこにでもいるオヤジ、どこにもいそうな奥さん、今どきの娘たち。ありがちな庶民の家族なのだが、ちょっとずつ常識からはみ出している。思っていることは“あるある”だけど、普通は“思っててもやれない”ことをちょっとずつやってしまう。

例えば、妻と娘を深く愛し、仕事はバリバリ頑張っている父源太郎。それだけ言えば普通なのだけど、娘を愛するからこそ急に娘たちを集合させて人生のうんちくを垂れてしまったり、娘に危険が迫れば着の身着のままゴルフクラブを持って外に飛び出してしまったりする。気持ちは分かるがあんなこと出来ない(笑)

5人の家族それぞれがそうだ。基本的にはそれぞれの言動は主婦“あるある”、 若者“あるある”なんだけど、部分的に常識”を超えた思うがままの行動をとる。 その言動が笑えるし、観ていてとても気持ち良いのだ。現実社会ではやりたくても出来ないことだから。
正確に言うと、伊藤家の5人に限らず周囲の人も同様。 彼らの言動の“あるある”と“それ無いわ!”のバランスが絶妙なのだと思う。

ただ、ちょっと思ったのはこの劇場版を楽しめるのはTVドラマファンに限られるかも知れない。TVドラマを数回観ると5人のブレないキャラが沁み込んで来て、益々面白いのだが、映画で初見の人がどれだけ入り込めるか。 また、ドラマの毎回のエピソードは特別なことは無く、日常的な出来事に過ぎない。そこに5人がどう反応するかを楽しんで来た。ところが、2時間枠の有料の劇場版にしようと思うと、劇場版らしい特別なエピソードを考えようとか、2時間通しで何かメッセージを残そうとかついつい考えてしまったことだろう。 肩の力を抜いて、ボーっと楽しめることが良かったTVドラマと比べて、「ちょっと力んじゃったかな?」と少々感じてしまった。

何かしながら、横目で眺めてクスクス笑いながら観る深夜TVドラマにはハマっていたのだが、劇場版に向かないかも。

それでもTVドラマファンはそれぞれのキャラクターとの再会を楽しみ、シーンそれぞれを楽しむことはできます!

泣き虫オヤジ